中国政府は未だに天安門事件に関する文字をねっとで見つけると一所懸命削除に走る。天安門事件は中国政府にとって悪魔の出来事だったのかもしれない。問題は、最初の処理を完全に誤ってしまった。最初に間違えたことを即座に訂正すればそれでよかったのだが、間違いを訂正せずに、そのまま覆い被せてしまったのだ。隠そうという意図があったからなのかもしれないし、その場を隠せば何とかなると思ったのかもしれない。
時の政府要人たちは、事件の責任が自分たちに掛ることを恐れていた。いや、これほど大きな事件なのだから、誰が何処かで何も言わなくても誰(国民の多くが)にでも解ってしまうはずだ。それを敢えて隠そうとしたために取り返しがつかなくなってしまった。問題は、時の政府首脳のうちトップは責任者として辞めさせることになった。後の要人たちは次の全国人民大会まで在籍していた。
しかし、問題は次の政府要人たちである。彼らは天安門事件があったことを全国に正式に発表することをしなかった。これは大失態である。ここで公表して全責任を追及して全ての処理を済ませておけば、現時点のようなことは起きなかった。毛沢東が起こした紅衛兵による文化大革命が最終的には4人組の仕業という形で終息してしまった。毛沢東自身は何ら責任者として処罰を受けることはなかった。文化大革命で数百万、数千万人の犠牲者があったといわれているが、以後、責任追及のための調査などは一切行われていない。
天安門事件は、死者数千人に上るといわれている。亡くなった人の数さえはっきりしないこの事件は、未だに「天安門事件」という言葉を一切使えないようにするだけにとどまっている。まるで天安門事件なんて全くなかったかのように政府は押し通しているのだ。今後、10年後、100年後の中国の歴史を考えるとき、本当の歴史を人民の誰も知らないようにするつもりなのだろうか。
歴史を覆い隠したまま中国現代史を造ったとしても真実の歴史は何時かは研究しなければならない時が来るはずだ。それが出来なければ近代国家へは進まないだろう。共産党一党独裁が崩れる時を待つしかないのかもしれない。共産党は責任が取れない政権なのだ。無責任政党の代表だというしかない。