脳損傷の治療。サンバイオの挑戦。

脳というのは、心や魂とは違い、細胞の一種なので、治療は可能だという考え方を元に、今、2001年にアメリカで創業した日系のバイオベンチャー企業のサンバイオが、傷ついた脳を治療する夢の治療薬の実現まで、あと一歩のところまで迫っているという。脳はほかの器官に比べて、子供のころからあまり成長しないところと思われてきた。だから、脳梗塞や脳疾患など、脳細胞に損傷が起こると、通常はリハビリなどの運動を通して、回復を図るのだが、それでも後遺症が残ってしまうという現実があった。サンバイオが取り組んでいるのはＩＰＳ細胞などの幹細胞と同じ、人の骨髄から採取して、培養する間葉系幹細胞を利用する。この幹細胞を損傷部分に注入するとその周りに正常な細胞が集まり、損傷部分を修復するという研究成果から治療薬「ＳＢ６２３」を開発したものだ。まだ試験段階だから、治療薬として承認されるまでにはまだ日にちはかかりそうだが、この会社は幾多の失敗を繰り返しながら、成功を目指しているという。人間にとって、特に老齢化の進む現在においては脳の治療は医学の最後のフロンテイアだ。言語が不明瞭になった人が正常に話すことができるようになる。歩けなくなった人が歩けるようになる。まあ、夢のような話である。（くちなし亭、12月4日）

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