時、既に、遅し。

中国の海南省で、火力発電所の建設に反対する住民６０００人規模のデモが起こり、一部が暴徒化したという。反対する理由は火力発電所の建設により、環境破壊が進むというものだが、日本では火力発電所の環境破壊対策技術は進んでいるので、東京湾の海沿いにいくつも建設されている。中国の技術が劣化のままかどうかは知らないが、解決策は幾らでもあるように思われるものへのこれほどの住民の反発の裏には政治不信が渦巻いている結果だと思われる。幾つかの報道で、中国の江沢民・前国家主席、胡錦濤・国家主席、習近平・国家副主席の３氏が、共産党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会の候補者名簿で合意したと伝えている。注目されるのはその名簿である。政治改革を強く主張する汪洋・広東省党委書記（５７）がはずされ、経済重視の王岐山副首相（６４）が登用されている。つまり、中国指導部は政治改革を望まず、これまでの経済重視の政策を推し進めることにしたのである。この中国指導部の意思を、中国の人たちに、押し付けておける間は良いが、一たび、暴発の引き金が引かれたときには、汪洋氏の登場は、とき既に遅しということになるだろう。

Y-FP Office Japan