猩猩(ショウジョウ)という架空の動物がいる。無類の酒好きで、人間の罠にはまる。海に住む猩猩を捕まえるために、人間たちは海岸沿いに、酒樽と柄杓(ヒシャク)とその足元の草を靴のように編んでおく。こうしておけば、猩猩たちは勝手に罠にはまってくれるのである。猩猩はまず、酒樽に気づく、人間達の罠であることにも気づく。だが、酒の誘惑に負ける。柄杓でがぶ飲みしなければいいのさ。指で舐めよう。そのうち、酔わなければいいのさと柄杓で飲み始める。なあに、酔ったって、草で編んだ靴の中に、足を入れなければ大丈夫なんだ。そして、ついに、こう思うようになる。草の靴に足をいれたって、踊りださなければいいんだよ。お分かりでしょう。こうして、猩猩たちは草の靴に足を取られて、みんな人間達に捕まってしまったというお話です。よくある話です。けれど、この話を思い出して感じたことは、ノーベル賞を受賞した山中教授のような科学者の研究も、この猩猩の一歩、一歩の積み重ねのような気がするのです。その多くは、この猩猩のように、失敗を繰り返していたに違いありません。
Y-FP Office Japan
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