サロネンといえば思い出すのが、1990年代にロスアンジェルス・フィルと共演した一連のストラヴィンスキー。シェーンベルクとは違った意味で古典化が進まないストラヴィンスキーの様々な曲を、まるで普段着のような感覚で実にあっけらかんと、かつスポーティーに演奏して、随分と驚いたものです。今や有数のオーケストラ・ピースとなった「春の祭典」なども、かなり早めのテンポでウルトラ・スムースに演奏して、この曲につきまとう野趣だとか、複雑なリズムだとかいう、「難関」をもはや「解決済みの問題」としていともやすやすと演奏していましたし、それ以降の新古典派だの、12音なんかを駆使した曲でも、キレのあるリズムと独特の軽みを帯びたスリムなアンサンブルで、非常に分かりやすい演奏をしていたのです。
この演奏はオケがロス・フィルではなく、サロネンの地元と思われるストックホルム室内管弦楽団ですが、前述のサロネン的なところはここでも十分に出ていて、もうなんの疑問もなく「ロマン派最終ステージを飾る名曲」と思える演奏しています。そのロマンチックさは、サロネンの制作した隠れ名盤バーナード・ハーマン集のそれとボーダレスに感じるくらいで、おそらく戦後はおろか、いわゆる「現代音楽」ですら、リアルタイムで間に合わない世代(サロネンは1958年生まれ)にとっては、ハーマンも「浄夜」も20世紀のロマン派という意味でさほどの違いはないんでしょうね。まさに世代とい他はありません。
ちなみにこの演奏で、もうひとつ印象の残るのは、その温度感の低さですかね。このところ聴いた何種類かの演奏は、割と暖色系のサウンドに仕上がっているものが多かったですが、こちらは凍りそうに冷たい....訳でもないですが、フレージングは清潔だし、オケもスリムである種心地よい冷気のようなものが感じられるサウンドになっています。これはサロネンとストックホルム室内管弦楽団という北欧コンビによる演奏のせいなのかどうかわかりませんが、独特のひんやりした感覚があってユニークです。
この演奏はオケがロス・フィルではなく、サロネンの地元と思われるストックホルム室内管弦楽団ですが、前述のサロネン的なところはここでも十分に出ていて、もうなんの疑問もなく「ロマン派最終ステージを飾る名曲」と思える演奏しています。そのロマンチックさは、サロネンの制作した隠れ名盤バーナード・ハーマン集のそれとボーダレスに感じるくらいで、おそらく戦後はおろか、いわゆる「現代音楽」ですら、リアルタイムで間に合わない世代(サロネンは1958年生まれ)にとっては、ハーマンも「浄夜」も20世紀のロマン派という意味でさほどの違いはないんでしょうね。まさに世代とい他はありません。
ちなみにこの演奏で、もうひとつ印象の残るのは、その温度感の低さですかね。このところ聴いた何種類かの演奏は、割と暖色系のサウンドに仕上がっているものが多かったですが、こちらは凍りそうに冷たい....訳でもないですが、フレージングは清潔だし、オケもスリムである種心地よい冷気のようなものが感じられるサウンドになっています。これはサロネンとストックホルム室内管弦楽団という北欧コンビによる演奏のせいなのかどうかわかりませんが、独特のひんやりした感覚があってユニークです。