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シェーンベルク 浄夜(弦楽合奏版)/レヴィ&アトランタSO

2007年04月20日 23時43分34秒 | マーラー+新ウィーン
ヨエル・レヴィはこのアルバム以外聴いたことがないのだが、ルーマニア出身のイスラエル系の指揮者である点、また、テラークでマーラーを連続して録音していた点などから、調度、デンオン・レーベルでのインバルを思い出させる。また、アトランタ交響楽団も他の演奏は聴いたことがないが、おそらくアメリカのメジャーの次くらいの位置にオーケストラだと思われるから、先の例えでいえばフランクフルト放送響と似たようなポジションだと思われる。ようするにマイナー・レーベルが見つけた知名度はいまいちだが、実力派中堅指揮者とオケによる、優秀録音アルバムといったところだろう。

 さて、演奏だが基本的には昨日のシャイーやその前のアシュケナージなどと共通する、表現主義的な激しさ、ものものしさを抑えた今風な滑らかさとさっぱりとした感触を持ったものといえる。ただ、シャイーやアシュケナージに比べると、全体に演奏が遅く、普通なら30分前後で終わるこの曲を35分以上かけて演奏しているのはなかなかユニークだ。フレージングなども悠々迫らぬ落ち着きと安定感があり、併せて対旋律がよく聴こえるバランスやある種の克明さなど、ちょっとクレンペラー思わせるものがあったりする。また、オーケストラの響きがけっこう大柄でシンフォニックなのもそれ的だ。もっとも、それでいながら音楽そのものがべたべたしたり、鈍重になったりしないのは、リズムがシャープに決まり、オケのアンサンブルもけっこうきっちりとしているからだろう。

 ちなみにこの演奏、1994年の録音でシャイーから更に5年後のパフォーマンスということになるが、もう何の疑問符も感じ得ない「普通のロマン派の曲」になっているのは、やはり驚いてしまう。同じ譜面を使って演奏しているのに、70年代の演奏との恐ろしく違うこのソフトで楚々とした感触はなんなのだろうか....。
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