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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

LUIS ENRIQUEZ BACALOV / Quien Sabe ?

2007年04月23日 20時27分58秒 | サウンドトラック
1966年に制作されたマカロニ・ウェスタンのサントラです。私はこの映画を多分観ていませんし、このジャンルそのものが苦手の範疇なのですが、おそらく10年以上前に気紛れて購入してきたものだと思います。映画そのものは、メキシコ革命を舞台にした、政府を奪った武器を、革命軍に売りつける群盗を中心としたドラマのようで、主演はジャン・マリア・ボロンテで、クラウス・キンスキーなども出ているようですが、このあたりから察するに、この作品どうやら「荒野の用心棒」みたいなヒーロー型のドラマではなくで、もうちょっとダーティーなアクション編みたいな仕上がりのようです。監督はダミアーノ・ダミアーニで、この人も昔はその名前を頻繁に聞きましたが、彼が演出のタッチは全く記憶にない....。

 さて、肝心の音楽ですが、担当したのはルイス・エンリケ・バカロフという人。今調べてみたら、この人最近でも現役で1994年の「イル・ポスティーノ」でなんとオスカーを受賞して今やすっかり大家となってしまったようです。昔はイタリアの映画音楽家の中でも知る人ぞ知るという感じだったように思いますが、その知名度が急激上がったのはやはりニーノ・ロータの死後、フェリーニの「女の都」なども手がけるようになったあたりからでしょうか。もっとも彼はそれ以前からアレンジャーとしてカンツォーネやロックと関わりをもったりして、いろいろな活動をしていたようですが....。
 ともあれ、これはおそらくエンニオ・モルリコーネの後塵を配したB級映画音楽家といったとポジションで作られたものでしょう。音楽的には非常にユニークで、これはおそらく彼がアルゼンチン出身という影響が強いのでしょうが、まずはメイン・テーマできこえるハープを効果的に使ったエキゾチックで鄙びたムードが独特の印象を残していますし、アコスティック・ギターをフィーチャーした叙情的な作品も良い味を出しています。また、かなりモダンに処理されたオーケストレーションも特徴的で、7曲目では「ペトルーシュカ」そっくりな響きが出てきたりして、けっこう楽しいものがあります。

 それにしても、ルイス・エンリケ・バカロフという人、前述のとおりオーケストレーションはユニークだし、イタリア的なところとエキゾチックなところが妙に入り交じった旋律もおもしろいし、けっこう看過できない存在かなぁ....と思い始めました。とりあえずオスカーを受賞したという「イル・ポスティーノ」でも聴いてみようかな。
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シェーンベルク 浄夜(弦楽合奏版)/湯浅&アルスターO

2007年04月23日 00時05分29秒 | マーラー+新ウィーン
 湯浅とアルスター管弦楽団の組み合わせによる新ウィーン楽派の音楽は調度2年前の今頃にウェーベルンの作品集を取り上げたことがありましたけど、新ウィーン以外にも日本作曲家選輯(先日取り上げた山田耕筰もこのコンビです)とかアメリカン・クラシックスなんかもナクソスで沢山振ってますから、さしずめ「ナクソスの20世紀音楽専用ハウス・コンダクター」といったところなのかもしれません。ちなみに湯浅卓雄は1949年生まれですから、目下58歳(もっと若いかと思ってました)、指揮者の世界では世代的にも中堅といったところでしょうが、彼が専属契約したナクソスは現在世界で一番売れているクラシック・レーベルですから、ひょっとすると、小澤という別格を除けば、彼は現在世界で一番CDの売れている日本人指揮者ということになるのかも....?。

 さて、このコンビによる「浄夜」ですが、これまたずいぶんとさっぱりとした演奏となっています。これが収録されたのは98年ですから、私がもっている「浄夜」の演奏でも最も新しいものになりますが(したがって、今回の連続レビュウもこれが最後の演奏です)、もはや全くといってほど、声高になったり、激高することない、実にさっぱりとした「浄夜」という感じがします。また、これは指揮者が日本人というせいもあるでしょうが、とにかく全体が実にあっさりとし、さりげなく繊細さが行き渡っているみたいな感触があって、調度小澤が指揮したマーラーなんかと共通する、まるで冷や奴食べてるみたいな感覚がある音楽になっているような気もします。
 ちなみにオケのアルスター管弦楽団ですが、アイルランドの比較的新しいオーケストラのようで、ほとんど無名なローカル・オケですから、超一流のアンサンブルという訳にはいきませんが、良く歌いなかつ柔軟さが感じられるオーケストラ・サウンドはなかなかのもので、「浄夜」を堪能するにはなんの問題もありませんでした。それにしても、このサウンドは湯浅だからこうなったともいえなくもないと思いますから、他の指揮者がこのオケを振るといったいどんなサウンドになるんでしょうね?。
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