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シェーンベルク 交響詩「ペレアスとメリザンド」 聴きくらべ [2]

2007年04月27日 22時06分18秒 | マーラー+新ウィーン
・バルビローリ指揮ニュー・フィルーモニア管弦楽団
 67年の録音で、私が持っている「ペレアスとメリザンド」としては一番古い演奏です。おそらくカラヤンとベルリンの演奏が出るまでは、ほとんど唯一といってもいいような演奏だったのではないでしょうか。演奏の方はといえば、この作品が未だ海のものとも山ものつかった時代のものだけあって、非常に激くかつ陶酔的なものです。
 バルビローリというと良く旋律を歌わせ、全般に柔らかいタッチの音楽を作り上げるイメージがありますが、この演奏では「トリスタン」の如く陶酔的なところは確かにそういう特色を良く発揮しているものの、不協和音を叩きつけるようなところやSE的といいたいような音響的な部分では容赦ないタッチ激しい音楽を演出しています。その様は表現主義というより、むしろアシッド....いや、サイケデリックといいたいような色彩感があってなかなか凄いです。
 ちなみに、この録音はデッカのフェイズ4のEMI版ともいえるマトリックス6という録音方式がとられているようですが、かなりハイ上がりのデモ効果満点の高解像度ぶりが、この演奏のサイケデリックさを否応なく盛り上げています。

・シノーポリ指揮フィルーモニア管弦楽団
 こちらはバルビローリ指揮のものから四半世紀後の91年の録音。オケは同じフィルハーモニア管弦楽団ですが、四半世紀という年月がこの作品を熟成させ、ロマン派の名曲として古典化したのを如実に物語る実に落ち着いた演奏といえます。同じオケとは思えない角のとれた柔らかい音色は録音の違いあるんでしょうが、やはり解釈という要素も大きいのだと思います。シノーポリ指揮の演奏は先日のマーラーや「浄夜」でもそうでしたけど、ことオーケストラ・サウンドということに関しては、割とダークでモノトーンな雰囲気が強いのが特徴ですが、今回はバルビローリの極彩色の演奏を聴いた演奏ですから、なおさらそうした特徴を強く感じさせます。
 また、他の演奏だとあまり聴こえてこないディテールを、妙なところで浮き上がらせたりするところもこの演奏の特徴かもしれません。全体としては非常に落ち着いた渋い演奏なのだけれど、時々妙に微細なところをクローズ・アップする....そういうところが、昔、この人が精神医だったところに関連づけられたりしたのかなぁ。
コメント
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