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マイク・マイニエリ/ワンダー・トラスト

2007年04月13日 23時31分00秒 | JAZZ-Fusion
 マイク・マイニエリはステップス(アヘッド)のリーダー兼ヴィブラフォン奏者として80年代から活躍している人だが、私は肝心のステップスの全盛期の作品をほとんど聴いたことがなく、この時期のマイニエリがメインに聴ける作品としては、私がもっている唯一の作品だ。私はマイク・マイニエリというと、渡辺香津美の「ToChiKa」や「Talk You All Tight」といった作品でプロデュースやゲスト参加で知ったクチなので、この作品もそれらの作品にあったニューヨーク的なソリッドなハードさとをフュージョンらしいスムースさの絶妙なバランス....といったところを期待したのが、購入して一聴した感想としては、大局的にはそういう作品ではあるとしても、いささか予想とは違ったなという印象ももった。

 1曲目の「クロスト・ワイアーズ」では、浮遊感のあるリズム的なモチーフがテーマ全編に渡って流れ、テーマも幻想的、ソロもインブロというより、空間的に配置されたオブジェクトのように聴こえ、のっけからNYフュージョンというは映画のサントラのように聴こえる音楽なのである。2曲目の「サラの感触」はテーマではマイケル・ブレッカーのサックスをフィーチャーされる、しっとりしたジェントルなバラード風な作品だが、中間部のマイニエリのソロの転調具合などかなりしつこく作り込まれたアレンジで、やや胃もたれする。3曲目「特急列車」はアルバム中、一番オーソドックスなNYフュージョン的な作品といえるかも...。軽快なサンバのリズムにのって、ブレッカー、マイニエリ等が奔放なソロをとっていくが、このリズムだったらもうすこしpopにまとめてもよかったとも思う。4曲目ブレッカーのソプラノ・サックスでテーマを奏でる70年代風な作品で、陰りある曲調からアグレッシブな展開となっていくが、マイニエリのソロはとても幻想的なムードをもっている。6曲目の「バンブー」は東洋風かつミステリアスな雰囲気を持った作品で、渡辺香津美がアコギでゲスト参加しているが、ちと散文的すぎた感もある。オーラスのタイトル・チューンは、マイニエリのちとアブストラクトなヴァイブをフィーチャーしたアコスティックな作品だ。

 という訳で、旧A面はエレクトリック、旧B面はアコスティックみたいなムードでまとめているようだが、全般的にスポーティーなフュージョンというにはポップさが足りず、ハードコア・フュージョンというには正統派な趣がありという具合に、スムース・ジャズ的な面で見るとアブストラクトと、どうも中途半端な作品という気がする。よくわからないけれど、ありきたりな音楽にしたくないという意欲が、ちと先走りしてしまい、いささか考えすぎな音楽になってしまっているのではないか。マイニエリといえば「ラヴ・プレイ」が有名だけど、あれなどどんな音楽をやっているのだろう?。
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