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ザ・フォーク・クルセダーズ/戦争と平和

2007年04月12日 23時23分34秒 | JAPANESE POP
 ザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」が日本でメガトン・ヒットした時、僕は小学3年だった。その頃の僕は、愚兄がビートルズ・ファンだったおかげで、小学のガキとしては、かなり早熟な洋楽ファンだったりしたはずなのだが、この曲はインパクトがあった。当時はサイケという言葉が日本でどのくらい一般化していたか覚えていなが、早回しによるエキセントリックなボーカル、途中で聴こえるドラマ仕立てのセリフ、エンディングでビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」がお経代わりに歌われるのもパロディ感覚などなど、調子の良さとシュールな感覚がないまぜになった、まさに絵に描いたようになサイケ調という気がという気がしたものだった。この曲のメガトンの大ヒットのおかげで、ザ・フォーク・クルセダーズはテレビの歌謡番組などにひっぱりだこだったが、従来型の歌謡曲にまじってこの曲が-キワモノ扱いだったとはいえ-、大々的にフィーチャーされても、妙な感じがしなかったのは、「価値観の転換」が進んでいたこの時代だったからかもしれない。

 その後、ザ・フォーク・クルセダーズはあっという間に解散、その後、グループサウンズ・ブームがきて、それが終わろうとしてた頃、ザ・フォーク・クルセダーズMkIIといえるような加藤和彦と北山修による「あの素晴しい愛をもう一度」が大ヒットした。この曲はサイケとはほとんどなんの関係もない、どちらといえば正統は60年代フォークの残光のような曲で、じめじめとした四畳半臭い私小説風なフォークをてんで受け付けない私でも、光り輝くようなメロディや格調高い詩などに魅了されたものだったが、この再結成フォーク・クルセダーズのアルバムには、その「あの素晴しい愛をもう一度」の再録音ヴァージョンが収録されている。オリジナルの伸びやかさのようなものは今一歩だし、さすがに枯れた感じはぬぐえないものの、この曲の場合「曲の良さ」の魅力が絶大なので、今聴いても素晴らしく魅了される。実をいうと、僕はこのアルバムを購入してきた時、「帰って来たヨッパライ」の21世紀版のようなものを期待していただが、そういう方面の曲はないでもないものの、笑いやユーモア、パロディ、シニカルなセンスなどが、正直いって微温的で楽しめなかったし、正調フォークのような曲もしっくりとこなかったのは残念なことだった。

 そんな訳で、結局、この曲ばかり聴くことになってしまうのである。僕にとって、再結成フォークルは「あの素晴しい愛をもう一度」の再録ばかりを聴くことになってしまう。ちなみに彼らが60年代に出したアルバムには「帰って来たヨッパライ」以外にどんな曲が入っていたのかを知っているか、知らないか、でこのアルパムの楽しみ方は大分変わってしまうような気がするのだが、私は残念ながら後者なので、このアルバムの楽しみ方はこんなものになってしまう。そういえば、木村カエラをフィーチャーしたサディスティク・ミカ・バンドなら、存分に楽しむポイントを押さえているつもりなのだけど(笑)。
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