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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
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シェーンベルク 交響詩「ペレアスとメリザンド」他/ティーレマン&ベルリン・ドイツ・オペラO

2007年04月30日 23時03分43秒 | マーラー+新ウィーン
 私が持っている「ペレアスとメリザンド」としては、これが8枚目で最後のものとなります。かれこれ2年に彼とフィラデルフィア管のワーグナー集を聴いて感心したもので、その直後に購入したので、例によって放置してあり(困ったもんです。ティーレマンで放置といえば、「トリスタンとイゾルデ」あるんですよね-笑)、本日ようやっと開封して聴いたという訳です。この演奏は、99年にベルリン・ドイツ・オペラを振っての演奏となりますが、前述のワーグナー集と同様、奇をてらったところのない正統派の演奏で、現代に甦った独襖伝統の解釈という感じがします。

 ともかく、非常に安定感のあるピラミッド状のオーケストラ・サウンドと瑞々しいフレージング、ハーモニーが印象的な演奏で、もう何度も書いていることなので気がひけるのですが、この作品の前衛性やエキセントリックなところは全て解決して、ワーグナーからマーラーやリヒャルト・シュトラウスと続いたドイツの後期ロマン派的な音楽のロジックに、この作品を無理なく収めきった演奏ともいえるかもしれません。ひょっとしたらリヒャルト・シュトラウスより保守的に聴こえるくらい伝統的な表情、雰囲気が感じられるほどです。このあたりは、年月の経過による作品の熟成ということもあるでしょうが、作品の中から大きなうねりのようなものを見いだして、大河的な流れの中、伝統的な表情でこれを演奏したこの指揮者のセンスというのもやはり看過できないところだと思います。

 ちなみにこのアルバム、フィルアップにはワーグナーの「ジークフリート牧歌」が収められていますが、続けて聴いても全く違和感がないのは、ティーレマンがまさに「ジークフリート牧歌」と同類の音楽として「ペレアス」を解釈しているからでしょう。それも無理してそう解釈しているのではなく、ごくごく自然にそうなっているところが、この指揮者の世代でもあり、また優れたところでもあるんでしょうね。 
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シェーンベルク 交響詩「ペレアスとメリザンド」 聴きくらべ [3]

2007年04月30日 13時56分44秒 | マーラー+新ウィーン
・ブーレーズ指揮シカゴ交響楽団
 91年にシカゴを振ったもの。ブーレーズはその後、グラムフォンでマーラーを振って時ならぬ再ブレイクをする訳ですが、この演奏もその後のマーラーと共通するような、かつての戦闘的で研ぎ澄まされたシャープさのようないく分後退し、多少角がとれて自然な流れで音楽を作っているように感じます。
 加えて、これもマーラーと共通している点なのですが、とにかくテンポが早く、ある種の軽さのようなものかあります。60~70年代に振った「浄夜」にあった、狂おしいような激しさはほとんどなく、この曲の音色のおもしろさ、あえていえば印象派風なところ(第3部なんてドビュッシーの「海」のよう...)をクローズアップして、さっさと音楽を進めていくという感じです。
 オケのシカゴは相変わらずの名人芸で、各パートの精妙さシャープさはさすがですが、指揮がブーレーズなせいか、やや腰高なところが気にかかります。音質はややナロウで91年にしては、ちょいクウォリティ低めです。

・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 私はこの演奏でもって「ペレアス」を知ったせいか、実にしっくりとくる演奏です。冒頭から雰囲気満点、まるで怪奇映画の始まりみたいな雰囲気ですが(笑)、70年代にこの曲を演奏するということは、やはりこうした不気味さをクローズアップせずにはおられない時代だったんでしょうね。
 ちなみにメインのテーマもいかにも物々しくてワーグナーみたいだし、図太いバスを底辺置いたピラミッド状のサウンドもいかにもドイツ風で、先のブーレーズとはあらん限り対照的な音楽作りになっています。カラヤンとしては、ほぼR.シュトラウスを振るような感じでこの曲に対応していることは明らかで、流れるような美しさ、オーケストラ・サウンドの色彩感の華麗さなどはいつものこととはいえ彼の独擅場となってます。
 あっ、あとけっこう久しぶりにコレ聴いたのですが、意外にもそれほど「激しくない」ですね。もうちょっと壮絶な演奏というイメージあったのですが....。

・レヴィ指揮アトランタ交響楽団
 こちらは94年の収録で、いかにも今時な流れるようにスムースな「ペレアス」です。ブーレーズのように早過ぎることなく、私にとって調度良いぎりぎりくらいの遅さ、堅牢なバランスで、やや歌い回しとかがそっけないところはありますが、ひとまずゆったりと安心して楽しめる演奏という感じですかね。
 「ワーグナー」のトリスタンのような第3部では、テラーク特有の澄み切った音場の中で、高解像度の音楽が展開され、さながら映像的ともいいたいようなサウンドになっていて、なかなか聴きものです。まぁ、ここまで当たり前に刺激のない甘目なロマンチック・サウンドに仕上げられると、もはや1940~50年代のハリウッド映画みたいな雰囲気すらありますけど。
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