シノーポリがフィルハーモニア管を振った92年の演奏。シノーポリは新ウィーン楽派の作品をかなりの吹き込んでいますが、主たるソースはこの録音と同じ年に彼の手兵となったドレスデン・シュターツカペレに集中していて(ちなみにレーベルはワーナーレーベル、CD8枚組のボックスセットになっています)、グラムフォンでの録音はこれくらいかもしれません。相方がフィルハーモニアであるところからして、おそらくマーラー全集の延長線で企画されたんでしょう。おそらく、その他の曲もフィルハーモニアで録音するつもりだったのでしょうが、彼がドレスデンの首席に就任したことで、レーベルの異動などもあり、結局フィルハーモニアとはこれだけという結果になったんではないでしょうか。
演奏の方はやはり80年代以降の同曲に演奏に共通する、あまり深刻にならないビューティフルな演奏といえますが、さすがにシャイーやレヴィと比べると、多少表現主義的な激しさが見え隠れしてます。シノーポリのマーラーはスタンダード演奏をベースにしつつ、ホットな部分とやや突き放したような客観性のようなものが妙な具合にバランスしたところユニークでしたが、この演奏でもそういうところが随所に感じられます。
まず、昨夜のレヴィほどではありませんが、この演奏もかなり遅目です。悠々としたテンポで実にじっくりと歌っていて、多少突き放したような印象を与えるくらいですが、これが主人公たちの情念というか心の葛藤の表現したような音響的な部分になると、ここぞとばかりにドラマチックな表現に切り替えているようであり、シノーポリらしい手練手管を感じさせます。また、色彩感という点でもシャイーのような健康的なカラフルさというよりは、前半と後半の明暗をあまりくっきりと分けず、全体に割とほの暗い色調のサウンドで統一しているように感じさせるあたりも、ひょっとするとシノーポリの個性なのかもしれません。
演奏の方はやはり80年代以降の同曲に演奏に共通する、あまり深刻にならないビューティフルな演奏といえますが、さすがにシャイーやレヴィと比べると、多少表現主義的な激しさが見え隠れしてます。シノーポリのマーラーはスタンダード演奏をベースにしつつ、ホットな部分とやや突き放したような客観性のようなものが妙な具合にバランスしたところユニークでしたが、この演奏でもそういうところが随所に感じられます。
まず、昨夜のレヴィほどではありませんが、この演奏もかなり遅目です。悠々としたテンポで実にじっくりと歌っていて、多少突き放したような印象を与えるくらいですが、これが主人公たちの情念というか心の葛藤の表現したような音響的な部分になると、ここぞとばかりにドラマチックな表現に切り替えているようであり、シノーポリらしい手練手管を感じさせます。また、色彩感という点でもシャイーのような健康的なカラフルさというよりは、前半と後半の明暗をあまりくっきりと分けず、全体に割とほの暗い色調のサウンドで統一しているように感じさせるあたりも、ひょっとするとシノーポリの個性なのかもしれません。