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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

DEVO / Q:Are we not men? A:We are Devo

2006年02月18日 21時39分33秒 | ROCK-POP
 懐かしいアルバム。多分20年振り以上に聴いたことになると思います。これが発表されたのは70年代終盤頃だったと思いますが、当時のロック・シーンにはパンク/ニュー・ウェイブというムーブメントが吹き荒れていて、とにかく60年代後半以降のニュー・ロックを全て否定することで、新しいロックの創造するってな、集団的なダダイズムのようなことになっていました。今からすれば想像しにくいことですが、70年代ロックと共に生きてきたような人間は、こうやって生まれてきた新しいロックを拒否するか、そこから何かを見いだして新しい同時代ロックとして聴いていくか、ひとつの大きな岐路みたいな状況になっていたんですね。

 ディーヴォのこのデビュウ作は、当時のニュー・ウェイブ・シーンを象徴する作品として、かなりもてはやされたものでした。パンク・ブームがあっという間に終わり、その次にニュー・ウェイブが「パンクにテクノ風味をまぶしたようなロック」だとすると、このアルバムの音楽はまさにそういう特徴を兼ね備えているだけでなく、「おまえたちは人間?、いやディーボ」あと「退化」などという、今ではお寒くなりなりそうなキャッチが、当時がやたらとカッコ良かったし、当時のアングラに席巻していたニュー・ウェイブ的音楽の最大公約数的なところをすくいとって、ある種のポピュラリティをもった音楽をつくっていたというのもきっと良かったんだと思います。
 かくいう私もニュー・ウェイブに開眼したのは、イギリスだとXTCとウルトラヴォックス、アメリカだとこのディーボとトーキング・ヘッズあたりということになるんだと思いますが、ディーボの場合、実はこのデビュウ作の前に「ノー・ニューヨーク」というコンピレーションにアングラ時代の曲が収録されていたダダイズム的ムードたっぷりのサウンドが強烈だったもので、このアルバムにもその方向を期待した訳ですが、前述の通りかなりポップな音だったのが意外だったりもしました。当時はレコード会社に強要されたかなとか思いましたけど、2枚目以降は更にこの傾向が加速したような記憶がありますから、本当はそういうバンドだったんでしょう。

 ともあれ四半世紀ぶりに聴くこのアルバムですが、実に「まっとうなロック」に聴こえるのが不思議です。当時はキワモノすれすれのトリッキーな音というイメージでしたけど、ブライアン・イーノがやったと思われるアブストラクトなSEとかテクノ風な感覚や「ひきつったような」と称されたヴォーカルなども、実は確かなテクニックに裏打ちされたよく練られたアンサンブルとアレンジをベースにした「良質なギターポップ」の上物としてのっかっているだけだったのが、今聴くとよく分かます。
 という訳でこのアルバム、長い風雪に耐えたおかげて、アナーキックなところやエキセントリックなところはキレイっぱり時代の洗い流されてしまい、核心の音楽部分だけが残ったというところでしょうか。
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JOHN MCLAUGHLIN / Electric Guitarist

2006年02月18日 18時53分17秒 | JAZZ-Fusion
 シャクティとのコラボレーションが続いたマクラフリンが再びエレクトリック・ギターで、マハビシュヌ流のジャズ・ロック/フュージョンに舞い戻った78年の作品。「エレクトリック・ギタリスト」というタイトルは、カッコ良いのか、ダサいのかよくわからないが、マクラフリンの気負いのようなものだけは伝わってくる。また、ソロ名義ということで、参加するメンツは曲毎に豪華な布陣をしいていて、後年の「ブロミス」ほどではないけれど、やはりこのアルバムである種総決算的な音楽を目論んでいたことは確かだと思う。こういうアルバムなので、収録曲をメモっておくことにしたい。

1.New York On My Mind
 ビリー・コブハム、ジェリー・グッドマンに加え、スチュアート・ゴールデンバーグが参加し、新旧マハビシュヌの合体のような布陣による作品....となると、ハイ・テンションなソロの応酬をバリバリしていくようなもの期待してしまうのだが、聴こえてくるのは、78年という時期を反映したかのような、割とAOR風にリラックスしたミディアム・テンポの曲である。ヴァイオリンとギターのユニゾンによるテーマや中間部で披露される各人のソロなどマハビシュヌ以外の何者ではないのだが、ちょっと渋かったかな。

2.Friendship
 こちらはサンタナ・バンドと後期マハビシュヌ・バンドとの合体で演奏される、一連のコラポレーションの延長というか、その結論みたい作品。ふたりが共演すると、妙に説教臭く辛気くさいムードになりがちだったりするだが、ここでは当時のサンタナ・バンドを仕切っていたトム・コスターががんばったのか、音楽的背景を考えなくてもふたりのギタリストの共演作として素直に楽しめるのがいい。

3.Every Tear From Every Eye
 このアルバムでは一番、ニューヨーク・フュージョンっぽいというか、その後のマクラフリンの動向を予告するような作品。これもミディアム・テンポで割りと渋目に進んでいくのだが、ここではやはりデビッド・サンボーンが参加が大きく、彼に触発されたのか、静かだが冷たく燃えるようなマクラフリンのソロを展開していく。

4.Do You Hear The Voices You Left Behind?
 旧B面に移って、最初の曲はチック・コリア、スタンリー・クラーク、チャック・ディジョネットという一際豪華な布陣による作品。早いサンバ風なリズムなのはコリアの参加を意識してのことか?。ともあれこのトロピカルなリズムにのって前半からマクラフリンがソロを全開し、デジョネットも鋭敏に反応、中盤以降に登場するコリアはRTF風なエレピで応酬、後半では各人のソロをフィーチャーした4バース・チェンジが聴き物。

5.Are You The One? Are You The One?
 トニー・ウィリアム、ジャック・ブルースとのトリオ、つまり初期のライフタイムを再現したメンツで演奏される。ここでもかつてのような壮絶さというより、ジャム的にリラックスした感じで旧友の再会を楽しんでいるという感じ。マクラフリンもマイルス時代の頃のようなアブストラクトなフレーズを繰り出している。

6.Phenomenon: Compulsion
 編成がどんどん小さくなっていってこちらはビリー・コブハムとのデュオ。意外にもこれがアルバム中では一番ハイテンションな作品で、マハビシュヌというのはいわばマクラフリンとコブハムがジェネレーターになって、あの壮絶さを生み出していたことがよくわかる作品とでもいったらいいか。

7.My Foolish Heart
 最後はソロでビル・エヴァンスで有名なスタンダード作品を演奏している。今聴けば、これもマクラフリンらしい演奏なのだが、当時としてはこういうジョー・パスやジム・ホールを思わせたりもする、コンザバティブな演奏を彼がやったのはかなり意外だったのではないか。

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