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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

松田聖子/Candy

2006年02月01日 23時59分07秒 | JAPANESE POP
 80年代の松田聖子といえば、とにかく凄かった。何曲をシングルチャートトップに送り込んだのかは忘れましたけど、出すシングルはことごとくチャートトップに駆け上がりという状態が、一体何年続いたことか。もともと歌謡曲とは全く縁がなかった僕ですが、そういう人間ですら「これはいったいなんなのだ」と思うくらい人気があった。で、その松田聖子をどうして聴くようになったかといえば、それはレンタル・レコードのおかげですかね。「買うほどではないけれど、そんなに流行っているなら、どんな音楽なのか聴いてみたい」という軽い欲求をレンタル・レコードがかなえてくれた。確かこのアルバムが出た80年代前半の頃。

 初めて聴いた時は、もう1曲目の「星空のドライブ」からKOされました。キラキラするサウンドとテクノ風なベース、スピード感溢れるサウンドに、こまっしゃくれたヴォーカルが乗る音楽に、「おぉぉぉ、歌謡曲とかバカにしてけど、いいじゃんコレ」と目から鱗だったんですね。当時の僕はクラシックに耽溺していたというか、まさに勉強か苦行のような感じで聴きまくっていたので(笑)、こういう刹那的ポップ性みたいなものに飢えていたのかもしれず、時期的にも調度良かったというということもあるかもしれませんけど、ともあれこのアルバムあたりから松田聖子を聴くようになったんですね。

 ところで、松田聖子というと、一般には夏物みたいなイメージがあるんですけど、実は秋冬物にも良い曲が沢山あります。黄金時代の彼女は大体年2作のペースで夏と冬のイメージでアルバムを出していて、このアルバムは多分彼女の冬物路線の最初のアルバムになるんじゃないかと思いますが、前述の1曲目はもちろん、2曲「4月のラブレター」の大滝詠一サウンド、3曲目大村がアレンジした歌謡曲とファンキーとテクノの合体サウンドのポップさもう最高でした。
 しかも彼女はその翌年の秋冬に「瞳はダイアモンド」や「スウィート・メモリーズ」あたりで、このアルバムの音楽すら軽く超えてしまうクウォリティを獲得しちゃいますから、やっぱ凄いとしかいいようがなかったです。あぁ、こういうチャーミングな個性って、今の日本にはもう出てくる余地がないだろうなぁ....。
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リターン・トゥ・フォーエバー/浪漫の騎士

2006年02月01日 00時54分36秒 | JAZZ-Fusion
 レーベルをCBSに鞍替えして76年発表された第6作。メンバーは前作と同様の黄金時代のRTFのメンバーです。前作ではポップなファンキーっぽさが特徴でしたが、本作ではネヴィル・ポーターという人が作ったジャケにも記載されている中世風な詩がモチーフになっているようで、いわばジャズの分野では珍しいコンセプト・アルバム。そうした制作経緯があったせいかどうか、音楽的にもドラマティックでスケールが大きく大作指向が強い仕上がりになっています。また、一方で音楽主義的な技術指向という点でもRTF史上最高のテクニカルさがあるのも特徴でしょう。例によって収録曲を軽くさらってみたいと思います。

 アルバムはコリア作の「中世序曲」からスタート、木管楽器を模したようなシンセ・サウンドが中世的なファンタジーを醸し出す部分と、いつも通りのゴリゴリのRTFサウンドが交錯するあたりがおもしろいところ。
 「女魔術師」はホワイト作の凝りに凝ったファンキー・ナンバーで、どちらかといえばディメオラをフィーチャーしている感じ、コリアはシンセとエレピでバックに回りカラフルさを演出。エレピはRTFというより、「フレンズ」あたりと共通するポップなフュージョン色が強くなっているあたりや後半アコピのソロというあたりに、コリアの変貌を感じさせたりします。
 タイトル曲はもちろんコリアの作品ですが、アコスティック楽器のみで構成された幻想的なサウンドで、ある意味、70年代後半のフュージョンによく出てきた無国籍アコスティック・サウンドの応用編のような曲といえるかもしれません。10分という長丁場ですが、真ん中のディメオラ、続くコリアのソロあたりから、にわかにバンド全体のテンションが高まり、ドラマチックな展開になっていくあたりは聴き物です。

 旧B面移るとディメオラ作の「荘厳な舞踏」から始まりますが、これはディメオラらしい8ビートがベースになったロック・サウンド。弾きまくりげんギターと、それを押しとどめるようなコリアのシンセが交互に登場するあたりがミソですかね。ただ、ちょいとばかりテクニカルな遊びに堕してしまったようなところもないでもないですが....。
 クラークの「手品師」はゴリゴリの変則リフでもって組み立てられためちゃくちゃテクニカルな作品で、ここでもコリアのシンセが妙にオーケストラ的サウンド作りをしていますが、ユーモラスで冗談みたいな曲調からしてインターリュード的作品とみるべきでしょう。
 ラストの「道化と暴君の決闘」は「銀河の輝映」のラストに収録された「ソング・トゥ・ザ・ファロア・キングズ」を彷彿とさせるふたつのパートに分かれた大作。全体にバルトークを思わせる作品で、「フォー・カルテッツ」とかエレクトリック・バンドの大作の先駆けともいえなくないでしょう。また、前半はスペイン情緒からちらほらする叙情的なムードの中、各種ソロが展開していく様は名曲「スペイン」を思わせる展開。後半は一点してファンキーなリズムにのってテンションの高いソロ、キメが連打するRTFらしい展開です。
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