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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

チャーリー・パーカー・ウィズ・ストリングス

2006年02月21日 23時15分48秒 | JAZZ
 私はオーケストラ・サウンドが大好きなもんで、ジャズでも「ウィズ・ストリングス」とか「ウィズ・オーケストラ」なんかには目がないクチです。曲を自由にインプロヴァイズするのがジャズ的な本質的な部分だとすると、スコアがあって初めて成立ストリングスなりオーケストラなりサウンドとは本来相容れないはずですし、あえてやったとすると、ジャズ的な部分がかなり制約を受け、窮屈な音楽になってしまうであろうことは誰でも想像できるところなので、どちからといえばポピュラー・ミュージック寄りなところで受けることはあっても、ジャズという点からするとあまりまっとうに評価されなかったようです。

 このアルバムはおそらく「ウィズ・ストリングス物」の走りといえる作品です。とても有名な作品ですからご存じ方も多いでしょう。チャーリー・パーカーといえば、モダン・ジャズの開祖みたいな人で、ダイアル盤を筆頭にした全盛期のめくるめくフレーズの洪水の如く吹きまくる演奏は確かに凄いものがありますが、そうした盛りが過ぎて、結果的に晩年となった1950年にどういう風の吹き回しかストリングスとともに録音したアルバムがこれなんですね。当時はパーカーもヴァーブに映って商業主義に堕したという批評もあったようですが、その出来映えは素晴らしかった。ストリングスの優雅な響きとパーカーの良く歌うサックスが時に寄り添ってみたり、対照的な感情表現してみせたりと、まさにつかず離れずといった感じで、甘くてちょいと苦い、いかにも夜と酒が似合いそうな音楽は、求道的なジャズを理想とする方には、ちょいと軟弱だったでしょうが、これはこれでひとつのジャズの王道だったような気もします。

 それが証拠に、このアルバムをきっかけにした後続のジャズ・ミュージシャンは大物になると、そのステータスを証明するように大抵ウィズ・ストリングス物を作るようになったんですね。キャノンボール、ベン・ウェブスター、スタン・ゲッツ、クリフォード・ブラウンなどなど枚挙にいともがありません。でも、結局、このアルバムに匹敵するくらいのウィズ・ストリングス・アルバムってほとんどなかったような気がします。そのくらいここで聴けるエレガントなストリングスとパーカーの歌いまくる組み合わせの妙のようなものは、ある種のマジックのようなものすら感じるくらいですから。「ローラ」のような元々ちょいと退廃的な響きがする曲での、パーカーのフレーズにはほんと陶酔的です。

 そんな訳で個人的には大大大好きなアルバムなんですが、ただ、惜しむらくは1950年録音ということで、音が悪いのはちょいと致命的かもしれません、これがせめて10年後に録音されていたら....と思いつつ、音の悪さは酒と想像力で補って聴いております。今ももちろんそう(笑)。
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サンタナ/フェスティバル

2006年02月21日 00時08分48秒 | ROCK-POP
 サンタナの久々のメジャー・ヒットとなった「アミーゴ」の勢いを借りて作られた1977年発表の第8作。音楽的には全く前作と同一路線といってもよく、メジャーなポップ・シーンに目配せをしつつ、フュージョン的な心地路良さを従来のラテン風なリズムにミックスした70年代後半のサンタナ・モードといえます。とにかく前作同様何か吹っ切れたように、ひたすらポップで快適なサウンドを繰り出していく訳ですが、そのあたりに「サンタナってもっと不器用なロック野郎じゃなかったけ?」などと、若干の疑問をどこかで感じつつも、この心地よさには思わず脱帽してしまうというアルバムでもあります。

 収録曲では、冒頭のメドレー「カーニバル~子供達の戯れ~喝采」が圧巻。ホイッスルからいきなりラテンパーカッションの乱れ打ち、サルサ風のリズムを伴ってコーラスでひとしきり軽快に歌った後シンセ・ソロを挟んで、曲がミドルテンポになるとサンタナがギターが登場、ウェスト・コースト風なコーラスと絡みつつ、グレッグ・ローリーを思わせる懐かしいオルガン・ソロなども交えて、徐々にテンションを上げていくあたりはスリリングだし、そのピークでサンタナ的なリフが炸裂するラストの曲に雪崩れ込んでいく構成も見事です。前回も書いたとおりこの時期のサンタナはおそらくキーボードのトム・コスターが音楽を全面的に仕切っていたと思うのですが、この曲は「トム・コスターが翻訳したサンタナ・サウンド」の最良のものといえると思います。いや、こんな回りくどいことを書かずとも、既にサンタナの名曲なんだろうとは思いますが。

 他の曲では「ギブ・ミー・ラブ」「リーチ・アップ」はもろにAORサウンド、「レット・ザ・ミュージック・セット・ユー・フリー」「大河のように」はディスコ風とこの4曲あたりが一番ポップな曲となりそう。「真夏の夢」はジプシー風なアコスティック・インストでひょっとすると当時流行のサンタエスメラルダあたりを意識したのかも、「哀愁のボレロ」は「哀愁のヨーロッパ」の続編にあたる当時のサンタナのもう一方のメルクマールである哀愁の欧州ムードただようあの路線で、今回はボレロのリズムから始まるのがミソですかね。ラストとの「情熱のマリア」は冒頭のメドレーと呼応するサルサ風のリズムをフィーチャーしたホットなナンバーです。

 という訳で、これも「アミーゴ」に負けず劣らず充実した作品ということになりましょう。あっ、そうそう、全く個人的な好みなんですが、前作の「アミーゴ」と本作は随所でトム・コスターの弾くストリング・シンセが聴こえるんですが、この冷たい音色がなんともサンタナのサウンドにやたらと心地よいです。ストリング・シンセってイギリスのバンドの専売特許じゃなかったのねぇ。
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