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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

キース・ジャレット・トリオ/星影のステラ

2006年02月23日 23時47分02秒 | JAZZ-Piano Trio
 キース・ジャレットがゲイリー・ピーコックとジャック・ディ・ジョネットと組んだトリオ、通称スタンダーズは最初(1985年)のライブ盤です。ご存じの通り、彼は現在でもピアノ・トリオの最高峰としてジャズ界の頂点に君臨していて、出すアルバムはことごとく高い評価を得ている訳ですが、個人的にはこのアルバムがスタンダーズとしては一番か二番くらいに好きという感じです。

 理由は「星影のステラ」が入っていること。そもそも「星影のステラ」という曲自体私は大好きなのですが、おそらく数あるこの曲の演奏でも、これは間違いなくそのトップに来る名演中の名演だと思うからです。まず冒頭のソロがいい、思索的なムードの中、メインの旋律を最初は薄っすらと、そして次第にはっきりと暗示しつつ3分間ほどラプソディックにソロを展開していく訳ですが、キース流の叙情と「星影のステラ」の旋律が微妙に交錯して、静かな緊張感を感じさせるのです。そしてその後、いよいよテーマが今度はトリオで演奏される訳ですが、最初にベースが流れるように入ってきて、次にブラシが楚々と続く阿吽の呼吸感は最高です。こんな「星影のステラ」やられた日には、ほとんどのジャズ・ミュージシャンが敗北感を抱くんではないかと思うほどですが、少なくともこの前半部分はスタンダーズが見せた「最高の瞬間」のひとつであることは間違いないところだと思います。もちろんそれ以降、次第にテンションが高まり、ホットな展開に発展してく流れも見事だし、キースの音楽にエレガントな品格を与えるゲイリー・ピーコックのベース、キースの音楽のユニークさを独特の句読点で、リズムの点から拡大していくデジョネットのドラム(とくにシンバル)と、三者の絡みはほとんどエクセレントです。

 それにしても、このトリオ、何回か中断も挟んだりしながらも、結局は20年以上やってきたことになるんですねぇ。なんかもう最近になると、「ケルン・コンサート」などで有名なソロ・パフォーマンスより、「スタンダーズのキース」のイメージの方が強くなってしまったような感はあるし、ピアノ・トリオにしても、もうこれ以外メンツでやることを想像する方が難しくなっているような気がしますが、個人的にはやはりこの作品あたりが、一番鮮やかな印象が残ってますね。
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伊福部昭 ビルマの竪琴 (Soundtrack)

2006年02月23日 00時31分40秒 | サウンドトラック
 先生の映画音楽は多数のサントラが出ていますが、特撮関係の作品は1作品=1アルバム単位で出ているものも多いものの、一般映画となるとシリーズ物の一貫としてダイジェスト収録、企画が複数のレコード会社から出されていることが影響なのか、同じ作品が分散していることが多いのは、いかにも惜しまれます。贅沢な望みかもしれませんが、どこかのレコード会社で先生追悼企画として、もう少しきっちりと筋の通った伊福部昭映画音楽選集でもやってもらえんでしょうか。

 例えば「ビルマの竪琴」ですが、私のもっているCDだと収録曲が見事に2枚に分散しています。とっかえひっかえ聴けばいいでしょうが、それぞれ抜粋された曲が入り組んでいるために、仮にこっちを聴いたから、次はこっち....という形で聴いたとしても、映画に登場した順番とは全く違う形になってしまうから、どうも居心地が悪い。そういう訳なので、先ほど2枚のCDに分散している「ビルマの竪琴」と「女中っ子」の音楽をリッピングして、ひとつのトラックにまとまったものは、波形編集ソフトで元の形で切り分けて、改めて映画の順番にそった形で再構成し、それをCDに焼くという作業をしてみました。けっこう面倒でしたが、これでようやく両作品の音楽が心安らかに聴けるようになったという感じです(もっとも、どちらも全曲の半分にも満たないマテリアルでの話ではあるんですけど)。

 この2作品には、有名なレクイエムの旋律が使われています。特撮映画ファンには第一作のゴジラで、芹沢がゴジラととも海底に没する場面その他で使われた、荘重で身を切られるような悲しみに満ちた音楽ですが、これが「ビルマの竪琴」にはメインタイトルで使用され、「女中っ子」ではラストで使われています。個人的にはレイクエム的であると同時に「自己犠牲のテーマ」と呼びたいような気もするこの旋律は、やはり先生の傑作だと常々思っていたものの、先の理由であまりきちんと聴けた試しがなかったので、手間はかかりましたが、これからは安心してこの旋律を楽しめます。
 でも本当にどこかのレコード会社さん、企画してくれないかなぁ>決定版「伊福部昭映画音楽全集」。
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