長野県立歴史館(千曲市)外観 撮影日191110
特別企画「土偶展 国宝土偶―縄文文化の多彩な個性」
■ 国宝の土偶は5点しかなく、全てが勢ぞろいしているとあっては観に行かないわけにはいかない。ということで最終日の昨日(10日)、千曲市にある長野県立歴史館まで出かけてきた。展示室内は撮影が禁止されているが、展示室外の廊下に掲示されている土偶の資料などは撮影可、ということだったので下の写真を撮った。個性的な土偶5点が並んでいる。
左から
① 縄文の女神 :山形県舟形町・西ノ前遺跡 約4800年前 高さ45.0cm
② 縄文のビーナス:長野県茅野市・棚畑遺跡 約5300年前 高さ27.0cm
③ 仮面の女神 :長野県茅野市・中ッ原遺跡 約4000年前 高さ34.0cm
④ 合掌土偶 :青森県八戸市・風張1遺跡 約3500年前 高さ19.8cm
⑤ 中空土偶茅空 :北海道函館市・著保内野遺跡 約3500年前 高さ41.5cm
5点の中では②縄文のビーナスが好き。
①縄文の女神は木彫のような印象で、これは後ろ姿ではないかと思った。側面のフォルム・カーブが独特だった。
②縄文のビーナスと③仮面の女神は茅野市尖石縄文考古館で既に観ている。過去ログ
④合掌土偶は他の4点とは違い、座位で名前の通り合掌した姿で、最も具象的な姿だ。この土偶の写真は今までに何回か見たことがあり、今回の展覧会で実物を見ることができてうれしかった。存在感のある土偶で一番時間をかけて観た。
⑤中空土偶茅空は両腕が欠損している。両脚で挟んでいるように見えるパイプ状の穴が気になるが、この展覧会のことを報じた新聞記事(*1)によると、この穴が体の中の空洞とつながっていて、火で焼く時に破裂しないように工夫したものだという。体の中に水を入れ、脚のこの穴から何かに注ぐために使われたという見方もあるそうだ。想像はたくましくしておいた方が良いだろう。確かに空気抜きの穴であればもう少し目立たないようにつくろうとするのかもしれず、何かに使うことを目的につくったのかもしれない。
1万年以上も続いた縄文時代、国宝の土偶は約3500年前から5300年前に制作されている。人の造形力は今も昔も変わらないのかもしれない。現在の「芸術品」は5000年後まで伝わるのだろうか、そして未来人を感動させることができるのだろうか・・・。
土偶を見ながらこんなことを考えていた。
最終日ということでかなり混んでいた。入場待ちしている時、入場者が14,000人になったとアナウンスしていたが、最終的には15,000人を超えたようだ(後日正確な数字を確認出来たら修正したい)。
*1 信濃毎日新聞2019年11月2日付17面「みんなのひろば」
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