透明タペストリー

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火の見櫓の形状の体系的分類(修正)

2023-02-09 | A 火の見櫓っておもしろい

  ①-1,2
 昨年末から年始にかけて火の見櫓の形状分類に関する記事を数回投稿した。それらをまとめて再度書いて、形状分類について通欄できるようにしておきたい。

※2023.02.09 修正

火の見櫓の研究のスタートとして形状分類は欠かせない。研究対象が何であれ、分類は「基本のき」であろう。それで対象の総体を明らかにし、その中に研究対象を位置付ける。この場合、なんとなく形状が似たものをひとつのグループ、分類肢にまとめるのではなく、論理的根拠に基づく体系的分類をしなくてはならない。

①に電柱の写真を載せた。どちらも柱が2本の複柱で、柱の本数だけに注目して分類すれば両者は同じ分類肢に入る。だが、①-1と①-2では柱の役割が違う。①-1では主柱と控え柱とに役割を分担している。①-2では2本の柱が構造的役割を等しく分担している(積載荷重を等しく支えている)。このことにより、両者を区別し別の分類肢を設定する。この捉え方を火の見櫓の分類にも適用する。

 ②-1,2
電柱に対応させて火の見櫓を挙げた。どちらも柱3本だが、後方の柱の役割が電柱と同様に異なる。


1 火の見櫓の大分類 ― 柱の本数を基本とする分類

柱1本
・火の見柱 
・火の見柱梯子掛け
柱2本
・火の見梯子 
・2本柱梯子掛け
柱3本、4本
・火の見梯子控え柱付き(②-1)
・3柱(4柱)1構面梯子(②-2)
・火の見櫓 (→2 中分類)

 ②-2について柱3本または4本から成る梯子として、3柱(4柱)火の見梯子としていたが、柱3本または4本の櫓で1構面が柱という捉え方に変えて、3柱(4柱)1構面梯子と変える。要するに今まで梯子として捉えていたのもを櫓として捉えるということ。柱が3本、4本(それ以上)であれば立体的な構造、即ち櫓と捉えるということとの論理的矛盾を整合させたい。1月4日に書いた下の記事(茶色の文章)を修正する。

柱の本数は櫓の最も基本的な要素。それで3柱、4柱というように柱の本数に代表させて櫓の特徴を捉え、表現している。ブレースや火打ちなど櫓の他の要素の分類は今後の課題だが、梯子状に組まれた構面には注目して分類要素とする。


 
左:長野県茅野市 右:長野県塩尻市

分類上、悩ましい形だ。梯子と後ろの柱が横架材で繋げられ、更にブレースまで設置されている。櫓の構成上、3本の柱が等価、同じ役目を負っている。だから論理的にも構造的にも火の見櫓だと判断して問題はなく、火の見櫓と分類上同じだと見做しても良いと思う。だが、区別したい。論理的な整合性が取れないことは承知の上で⑥を3柱火の見梯子としたい。

追記:2023.02.09にこの捉え方を改めた。



柱6本の火の見櫓 茨城県小美玉市 撮影日2016.09.04 

茨城県小美玉市、結城市には柱6本の火の見櫓があったが共に撤去され現存しない。


2 火の見櫓の中分類 ― 火の見櫓の構成要素の形状による分類

火の見櫓の構成要素の内、柱の本数と屋根、見張り台の平面形状に注目すれば網羅的に分類することができる。

 ④-1,2
④-1 柱3本 屋根6角形、見張り台円形 ④-2 柱4本 屋根4角形、見張り台4角形

3柱6〇、4柱44と表記する。コードナンバー的に36〇、444という表記もできる。具体的な表記でも一向に構わない。目的に応じた表記をすればよい。


3 火の見櫓の小分類 ― 火の見櫓構成要素の分類 その1 脚の分類


火の見櫓の構成要素とその名称

火の見櫓は⑤に示す構成要素から成る。これらすべての分類をする必要があるが、現時点で分類できているのは脚のみ。それ以外の構成要素の分類は今後の課題である。

以下、過去ログの再掲。

 


① 開放 


   
② ブレース囲い 左:片掛けブレース 右:交叉ブレース


 


③ ショート三角脚



④ ロング三角脚



⑤ ショートアーチ脚



⑥ ロングアーチ脚



⑦ 束ね(たばね)脚



⑧ トラス脚


⑨ 複合型 ①~⑧の組合せであることから、次の例の様に名付ける。

     
ブレース囲い前束ね脚  ブレース囲い前トラス脚


注:現時点では火の見櫓の形状のみに注目し、高さや材質を分類の観点にしていない。

2023.02.09修正




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