透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

サードブック

2024-03-10 | A あれこれ


 我が僻村の図書館協議会委員を昨年(2023年)の4月からしています。今月8日の夜に会議があり、小学6年生に本・サードブックをプレゼントする事業を令和6年度から実施する予定との報告がありました。既に実施している4か月児が対象のファーストブック、小学1年生が対象のセカンドブックに加えてサードブック、ということなんです。

**中学入学後に読んで欲しい本や自立読書へ向けたステップアップとなる本、心のよりどころとなるような本**(配布された資料による)を3冊推薦して欲しいと、委員に対して要望がありました。小学校の先生方にもお願いするようです。

中学1年生に読んで欲しい本・・・。自分が中学1年生の時にどんな本を読んだのか、全く記憶にないので、当時の読書体験を参考にすることができません。覚えているのは中学生の時(2年生の時だったかと)に松本清張の『砂の器』を読んで、こんなに面白い小説があるんだ、と思ったことです(過去ログ)。でもこの推理小説を中学生に是非読んで欲しいとは思いません。

中学生ともなると読書力にかなり個人差があるでしょうから、本選びは難しいのですが、あれこれ考えて3冊選びました。

21世紀版 少年少女古典文学館 1『古事記』橋本 治(講談社2009年11月17日第1刷、2011年8月30日第3刷)
中学生(漢字にはふりがながついているので小学生でも読むことができます)に読んで欲しい本として真っ先に浮かびました。分かりやすくて実におもしろく書かれています。2012年に初めてこの本を読み、その後繰り返し何回か読んでいます。この本はブログを閲覧していただいている皆さんにもおすすめします。(過去ログ

ちなみに、第2巻には竹取物語(北 杜夫)と伊勢物語(俵 万智)が、第17巻には西鶴名作集(藤本義一)、第21巻には里見八犬伝(栗本 薫)が収録されています。他の巻にも三木 卓、吉村 昭、平岩弓枝、谷川俊太郎、阿刀田 高、瀬戸内寂聴、田辺聖子、村松友視といったよく知られている作家が担当した作品が収録されています。北 杜夫のファンとしては竹取物語も読んでみたいです。

『ボッコちゃん』星 新一(新潮文庫1971年5月25日発行、2022年8月20日128刷)
昨年(2023年)新たに買い求めて読み直しました。長くて10頁くらいのショートショート(超短編)集。読書が苦手という中学生でも読むことができます。星 新一は超短編の名手、読むと考えさせられることが必ずあるので中学生に読んで欲しいです。(過去ログ

この新潮文庫(2022年、128刷)のカバー折り返しに載っている作品リストを数えると45冊もあります。『ボッコちゃん』を読んでおもしろいと思ったら、小遣いで他の文庫を買って読んで欲しいとの願いから選びました。

『坊っちゃん』夏目漱石(集英社文庫1991年2月25日第1刷、2019年6月8日第48刷)
名作と言われ、ずっと読み続けられている日本の近代小説も読んで欲しいと思います。夏目漱石、芥川龍之介、太宰 治、宮沢賢治、森 鷗外・・・。誰のどの作品でもよいのですが、中学生にすすめるとなると、やはり漱石のこの人気作品かな、と思って選びました。集英社文庫のカバーのイラストが中学生に好まれるかな、と思います。新潮文庫の安野光雅のカバーも好いですが。岩波文庫の地味なデザインが好きという6年生がいればうれしいですけど。

『坊っちゃん』の初読は漱石の作品を何編も集中的に読んだ高校生の時だったかと思います。私はこの小説を今年の1月にまた読み、新たな気づきがありました。(過去ログ

小学6年生には5年後、10年後にはもう誰も読まないような一過性の作品ではなく、成人してから、いや年を取ってからでもまた読んでみようと思われるような作品をプレゼントしていただきたいと思います。