透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「松本清張の残像」

2021-03-11 | A 読書日記

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 月々の小遣いは定額。本代にまわせるのは、新書本4冊程度(しかない)。毎日出費をきちんと記録していると、このようなことがはっきり分かる。今週は本の購入を控えなければならない。それで自室の書棚から松本清張関連の新書を取り出して読んでいる。

今日(11日)朝カフェで読み始めたのは『松本清張の残像』藤井康栄(文春新書2002年)。この本を読んだのは10年くらい前かな、と思いきや、20年近く前のことだ。

著者の藤井康栄さんは文藝春秋の社員として**松本清張の作家生活四十年のうち、私は三十年を担当編集者として過ごした。**(8頁)**私はこの全集や文庫本もふくめて百八十冊あまりの本の誕生にかかわっている。**(20頁)という方。

本書で藤井さんは『半生の記』を読み解き、編集に携わった『昭和史発掘』誕生の舞台裏を明らかにしている。新書ではなく、単行本から文庫化されるような内容で興味深い。

**「負けてはならない」という向学心は、松本清張の生涯を貫く。倒れる日まで弛まぬ努力で他を圧倒した。**(56頁)この件(くだり)を読んで、涙が出た。