12月18日、来日した韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と野田佳彦首相との会談で、李大統領が旧日本軍の「慰安婦」問題について「優先的に解決する真摯な勇気を持たなければならない」と両国政府間協議を求めたことに対して、野田首相が「決着済み」と答えたことに、日本平和委員会、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(日本AALA)は19日、交渉に応ずるべきだとの「声明」を野田首相に送付したことを発表しました。
■日本平和委員会の「声明」では、李大統領の発言は、韓国国民の強い怒りと要求を背景になされたと指摘。一方、野田首相の回答は自民党政権時代と同じく、朝鮮半島の植民地支配と日本の蛮行を真摯に反省しない立場に立っていると批判しています。
そして、深刻な人道的被害を直視し、被害を生めた諸国民への謝罪と補償を誠実に行うよう求めています。
■日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(日本AALA)の「声明」では、野田首相の「慰安婦」問題は「解決済み」とする論は、歴代自民党政権が主張してきたことを踏襲したものだと批判。国内外から早期解決と謝罪を求める声が上がっていると述べ、憲法の精神にもとづき、真摯な態度で誠意を持って早期に解決するよう求めています。
次に日本AALAの「声明」を転載します。(サイト管理者)
<日本政府は真摯な態度で、旧日本軍「慰安婦」問題についての謝罪と補償を>
野田佳彦首相は、昨日の李明博大統領との日韓会談で、「慰安婦」問題は「法的立場は決まっている。決着済みだ」、またソウルの日本大使館前に設置された元「慰安婦」を象徴する少女像が設置されたことに関し、「誠に残念だ。早期に撤去してほしい」と述べたことについて、怒りをもって抗議します。
「決着済み」論は、歴代自民党政権が主張してきたことを踏襲したものであり、1965年の日韓請求権協定で個人請求権を放棄したことで決着済みと主張してきましたが、しかし韓国側は「慰安婦」問題は協定に含まれないと当時の外交文書を公開して主張、この事実をもとに韓国憲法裁判所は、元「慰安婦」の個人請求権で日本政府との交渉を求めました。
李明博大統領は、「慰安婦」問題が「両国関係の障害」と指摘、「優先的に解決する真摯な勇気を持たなければならない」と政府間協議を求めました。少女像設置については、「日本政府がもう少し関心を示してくれれば、起きなかった。誠意ある措置がなければ第2、第3の像が建つ」と撤去に応じない考えを示しました。
「慰安婦」問題については、2007年の米下院議会決議をはじめ、オランダ、カナダ、EU、韓国、台湾、ILOや国連人権委員会などからも早期解決と謝罪を求める勧告を受けています。国内では37の市町議会で意見書が採択されています。国会では2000年から10回も「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」を民主党、共産党、社民党の共同で提出し続けてきました。早期解決を求める「請願署名」も提出され続けています。
元「慰安婦」の方々はすべて高齢、無念のうちに他界する方は跡をたたず、元「慰安婦」として韓国政府に登録した方234人のうち、生存者は63人に減っています。
日本国憲法前文に「われらは平和を愛し、専制と隷属、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」と書かれています。元「慰安婦」問題の解決には、この憲法の精神に基づくべきではないでしょうか。
今こそ日本政府は、「未来志向の日韓関係」を望んでいるなら、元「慰安婦」問題を真摯な態度で誠意をもって早期に解決するよう、私たちは求めるものです。2011年12月19日
日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会
代表理事 秋庭稔男、小松崎榮、四ッ谷光子
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