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原発事故の「収束宣言」は拙速(2)【東京新聞】

2011年12月25日 | 国際・政治

2011年12月16日、野田首相は東京電力・福島第一原発事故の対応で、工程表ステップ2の「冷温停止状態」を実現と判断し、「収束宣言」を発表しました。このことに対し、多くのマスコミや国民から「拙速すぎる」「実態を無視したものだ」「被災者の気持ちを逆なでするもの」との批判が寄せられています。そこで昨日の「朝日新聞」主張に引き続き、今回は「東京新聞」から主張を紹介します。(サイト管理者)

<事故収束宣言 幕引きとはあきれ返る>

福島第一原発の「事故収束」を野田佳彦首相が宣言した。放射性物質の放出や汚染水の懸念も残り、絶対安全の保証はどこにもない。廃炉までの長き道のりを考えれば、幕引きとはあきれ返る。
「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至った」と述べた野田首相の言葉に誰もが耳を疑ったことだろう。
原発建屋内ではいまだに高い放射線量が計測され、人が立ち入れない場所もある。さっそく現場作業員から「政府はウソばかり」と批判の声が上がったほどだ。
そもそも「冷温停止」という言葉は正常運転する原発で用いられる。「状態」というあいまいな文字を付けて宣言にこだわる姿勢は、幕引きありきの政治的な思惑からだろう。
廃炉へ進める節目とすることや、「いつ戻れるのか」という避難住民を少しでも安心させようという狙いがあろう。全国の原発の再稼働はむろん、世界へ原発輸出を進める底意もうかがえる。
だが、福島第一原発は「収束」どころか、溶け出した核燃料が格納容器内でどうなっているかもつかめず、ただ水を注ぎ込み、冷却しているにすぎない。
循環注水冷却システムが正常に機能すればいいが、大きな地震が襲えば、再び不安定化する心配はつきまとう。綱渡り状態なのが現状ではなかろうか。
放射能汚染水処理も難題だ。建屋への一日400トンもの地下水流入は続いており、保管タンクはいずれ満杯になる。むろん海への放出など、漁業者や国際的反発などから安易に考えるべきでない。
廃炉となると、核燃料取り出しに「10年以内」、炉の解体など最終的に「30年以上」かかる見通しだ。その過程で放射能漏れなどの事故が起きる可能性もある。要するに課題山積なのだ。
原発から半径20キロ圏内の警戒区域と北西に延びる計画的避難区域を新たに3つの区域に再編する予定だ。年間放射線量が20ミリシーベルト未満を「解除準備区域」、20ミリシーベルトから50ミリシーベルトを「居住制限区域」、50ミリシーベルト以上を「長期帰還困難区域」に分ける。
「解除準備区域」では除染とともに住民が戻れるようにするというが、子育て世代が安心して帰還できるだろうか。社会インフラの機能回復も見通せないままだ。
収束宣言の内実は、原発事故の未知領域に足を踏み入れる「幕開け」といった方がいい。


【出典】2011年12月17日付け「東京新聞」社説

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