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次期戦闘機に1機99億円のF35決定--憲法違反の「敵地攻撃能力」を重視

2011年12月23日 | 国際・政治

政府は12月20日、安全保障会議を開き、航空自衛隊のF4戦闘機の後継機となる次期主力戦闘機(FX)に米国など9ヵ国が開発している米ロッキード・マーチン社製のF35Aの採用を決定し、閣議で了承しました。

防衛省が公表した資料では、FXに求める性能として、「第5世代」機を開発している中国やロシアを念頭に、「高性能戦闘機に有効に対処しうる」とともに「十分な巡航ミサイル対処能力」などを列挙。さらに、「制空戦闘能力に加え、少なくとも航空阻止能力(空対地攻撃能力)を備えたマルチロール(多機能)機」であることを求めていました。

F35は、FA18E、ユーロファイターと今回候補に上がったこれら3機種の中で唯一の「第5世代」戦闘機。レーダーに捕捉されにくいステルス性能を備えた長距離攻撃能力の高い戦闘機で、爆撃能力も持っています。
また自衛隊や米軍の空中給油機で給油をすれば、飛行距離はさらに伸びますが、日本が長距離攻撃能力を持つことで日米が一体で海外作戦できる道が開かれることに懸念が拡がっています。なぜなら、「長距離攻撃能力を拡大する」ことを重視している米軍は、自衛隊を地球的規模の戦争に動員することを狙っているからです。日米両国がF35戦闘機を持ち、長距離攻撃能力を強めれば、周辺諸国の警戒心を高めるだけです。

事実、一川保夫防衛相は同機を選定した理由について「性能面」を強調しています。さらに防衛省は、「敵基地攻撃能力」の付加を強調しています。

これは、主力戦闘機の主任務である「防空」を踏み越えて、「空対地攻撃能力」=敵基地攻撃まで想定されており、憲法上重大です。以前、1990年代に導入された支援戦闘機F2の選定でも「対地攻撃能力」を有していて憲法上問題視された経緯があります。

このF35の調達価格は、1機あたり2012年度予算ベースで99億円とされています。政府は最終的に42機を導入する方針ですが、今後、維持費も含めれば総額1兆円に達するとみられ、現在の財政事情を無視した異常な軍拡だとの批判が出ています。

防衛省はF4の後継機の納入開始時期を2017年3月までと決めていますが、F35は開発中の機体に多数の亀裂が見つかり、米国防総省の開発担当者は運用開始時期が当初の17年から19年以降にずれこむと述べています。そうなると防衛省が設定した17年までにF35が納入される保証はありませんし、遅れれば遅れるほど開発費がかさみ、1機当たりの価格は高くなると見られます。
開発費が大幅に増大していることもあって、米議会では開発の中止や延期を求める声も高まっています。

この開発が遅れているF35を日本政府が採用したのは、F35の購入を強く迫るオバマ政権の要求にすすんで応えた結果にほかなりません。パネッタ米国防長官は10月の日米軍事首脳会談で、F35の採用を迫りました。米国の要求を絶対視して欠陥まで指摘されている商品を買うのは異常というほかありません。

東日本大震災の復興を最優先にしなければならないときに、財政ひっぱくを口実に消費税増税をもちだしながら、憲法上も問題がある戦闘機を買うのは許されることではありません。
F35の採用は財政を圧迫し、軍拡競争を激化させることになります。政府はF35採用の決定を撤回すべきであり、F35の購入費用を東日本大震災の復興と国民生活に回すべきです。

【出典参考】2011年12月21日付け「しんぶん赤旗」、同「主張」など

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