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貧困率世界2位、「構造改革」がもたらした格差

2006年08月03日 | ニュース
「経済協力開発機構」(OECD)という国際機関が、加盟国の経済情勢を定期的に分析・審査して、審査報告書として公表しています。そのOECDが7月20日、初めて一定の紙面を割いて「対日審査報告書」という報告書を出しました。
その中でOECDは日本の格差問題を取り上げ、日本の所得格差が1980年代半ば以降大きく広がり、相対的貧困率(その国の平均的な生活水準の一定割合の所得を下回る人を貧困層と定義して、その貧困層が全体に占める比率で表す)は「今や最も高い部類に属する」と書いています。
「対日審査報告書」に掲載された勤労世代の相対的貧困率の国際比較によると、2000年時点で、すでに日本は先進諸国の中でアメリカに次いで2位となっています。
このような状態になった原因は、一体何なのでしょうか。
それは小泉内閣が本来やるべき貧困と格差の是正とは正反対に、国民に痛みを押し付ける弱肉強食の「構造改革」を推し進めているからにほかなりません。
財界・大企業がグローバル企業間の大競争に勝ちぬくため、資本の競争力を回復・強化することをめざして、現代国家が課してきた資本に対する負担と規制を軽減・緩和する「構造改革」を推し進めた結果、生まれた格差です。
報道では、対日審査の会合に出席した日本政府の代表が「格差拡大の主因は高齢化による人口構成の変化」だとする日本政府の公式見解の立場で反論したそうです。しかし、OECDはこれを退け、高齢化は「格差拡大の一因」ではあるが、「主な要因は労働市場における二極化の拡大にある」と再反論して報告書に明記したというのです。このやり取りを小泉首相はどう考えるのでしょうか。
「対日審査報告書」は、日本の非正規雇用の割合がここ10年間で10ポイント以上増えて30%を超えたこと、パートの時給がフルタイムの40%にすぎないことをあげているそうです。
そして、景気が回復したとしても非正規雇用の一部しか解消せず、「労働市場の二極化が固定化するリスクがある」と警鐘を鳴らしています。
小泉内閣は、「構造改革なくして景気回復なし」と叫び「構造改革」を引き続き推し進める一方、「格差の拡大は確認されない」「格差は悪いことではない」と開き直り、景気が良くなればいずれ解決すると言ってきました。【政府は「格差」は確認していないのに(認めていないのに)、「景気がよくなれば(格差が)いずれ解決する」とは一体どういうことでしょうか?】
こうした主張は、OECDの警告により、国際社会にもまったく通用しない議論だということがはっきりしたということです。
「対日審査報告書」ではもう一つ重要な分析をしています。それは税や社会保障など所得再分配で貧困率がどれだけ是正されたかということ。それによると日本は是正の割合がもっとも低い国になっています。このことからも、小泉内閣が行ってきた「大企業・大資産家には減税、庶民には増税・社会保障負担増」というまったく逆立ちした政策を取ってきたことが証明されます。


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