テレビ・ドラマや映画に、漫画やアニメの実写版があります。この傾向はかなり以前からあり、映画会社の東映では昭和30年代後半から劇場版やテレビ版を製作していました。最もヒットしたのは「仮面ライダー」(初代は藤岡弘さん)ではないでしょうか。現在公開中の東宝「ALWAYS 三丁目の夕日'64」も原作は漫画です。
実写版は、どうしても原作のストーリーや主役のキャラクターを重ねて観てしまい、期待外れのときがままあります。これは、小説のドラマ化にも言えることです。
何故、このようなことを書いたのかと言えば、今あるテレビ・ドラマが話題になっているからです。題名は「孤独のグルメ」(テレビ東京系毎週水曜日深夜0時43分放送)です。原作は週刊「SPA!」(扶桑社刊)に不定期で連載されている人気漫画です。個人貿易商「井之頭五郎」(演じるのは松重豊さん)が、出かけた先々でふと立ち寄った飲食店(その地域ではかなりの人気店)の料理を食しながら、その味や耳に届く周囲の客の会話から、自身の心理描写をドキュメンタリー調に描いたドラマです。
この漫画・ドラマで特筆すべき点は、全ての店が実名で登場します。フード・コーディネーターが用意した料理ではありません。そして、もう一つあります。漫画で登場した店はドラマでは使わないことでした。これは、原作者がドラマ化するにあたり、出した条件のようです。料理を食べるシーンの撮影は、その店の中で行われています。これによって、原作とは全く異なるドラマとなりました。
主演の松重豊さんは適役です。この人をはじめて知ったのは、数年前にフジテレビ系で放送された山崎豊子さん原作「不毛地帯」です。主人公で上司役の唐沢寿明さんの身代わりとして、防衛庁幹部への贈賄事件の犯人で逮捕される気弱なサラリーマン役を演じてました。このドラマ以降、度々見るようになりました。最近では「不毛地帯」と同じ山崎豊子さん原作「運命の人」(TBS系毎週日曜日9時放送)で、主人公で新聞記者役を演じる本木雅弘さんの上司となる政治部長役を演じています。いろいろな役をこなせる俳優さんですね。
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