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捨てる決断、アップルの教訓

2010-10-27 23:16:45 | iPad

今日は昨日の某全国紙に掲載された記事の一部を紹介します。

 21世紀の最初の10年が過ぎつつあるが、この間最も輝いた企業はどこだろ。独断と偏見で選ぶなら、経営危機の瀬戸際から、「株式時価総額でIT企業の世界一」にまで復活したアップルの名を挙げたい。
 十数年前のアップルは内紛や商品戦略の失敗が続き、お粗末の一言。旗艦「マッキントッシュ」は昔からのファンを引き留めるのが精いっぱいで、IT革命が生んだ新規の顧客は競合のマイクロソフト陣営に持って行かれた。今はやりの言葉を使えば、世界の大勢から孤立し、仲間内で盛り上がる「ガラパゴス商品」の色彩が強かった(今の日本の携帯電話と一緒です)。
 創業メンバーだったスティーブ・ジョブズ現CEOがアップルに復帰して真っ先に手掛けた仕事は何だったか、アップルの全盛の今しか知らない若い読者にとっては驚きだろう。
 ライバルであり、旧知の仲であるマイクロソフトのビル・ゲイツ会長(当時)に、二つのことを頼み込んだ。
一つはマイクロソフトの応用ソフトをアップル製品でも動かせうよう改良して欲しいという依頼、もう一つは資金援助(出資)だ。幸いこの二つの頼みをゲイン会長は応諾し、アップルは辛うじて命脈をつないだ。
 そこまで追い詰められたアップルが復活できた原動力は何か。大きかったのは「捨てる決断」である。
 同社は2001年に従来の基本ソフト(OS)に見切りをつけ、「OSX(テン)」と呼ぶ新OSの切り替えた。コンピューターの頭脳であるOSの全面刷新は半端なことではない。
 OSがバージョンアップではなく新規のモノに切り替われば、以前のOSに準拠した応用ソフトや使い手の熟練は水泡に帰す。古くからのアップルファンには抵抗もあったが、ジョブズ氏の決断で押し切った。
 その理由は、多機能端末「iPad」をいじってみれば、すぐ分かる。iPadの使い勝手はパソコンというよりテレビに近い感覚で、電源を入れるとほぼ同時に画面が立ち上がる。競合ソフトに比べて、アップルのOSがそれだけ「軽い」からだ。
 旧OSにしがみついたままではアップルを支える商品を競争力は生まれず、今日の繁栄はなかっただろう。「捨てる決断」が功を奏したのである。
 さて、今の日本を見渡せば、以前のアップルのような会社が多いのではないか。過去にはそれなりの実績があるが新時代に対応できず、展望が開けない。
 未曾有の環境変化に直面する企業にとって「捨てられないリスク」「過去にしがみつくリスク」は日々大きくなっている。


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