世界の携帯電話の累計加入件数は3月末で約48億件になったとされ、1~3月だけで1億7500万件増えた。なかでもインドなど中所得層(1人当たり国民所得が935~1万1456㌦)は08年で25億件と普及が進む。
携帯で新興国の人々は頻繁に情報をやり取りできるようになり、当たり前のように受け入れていた不公平な慣行の変革に挑み始めた。
「2476」。南米ペルーで、このあて先に携帯で簡易メールを送ると、首都リマでの農産物の卸売市況が返信されてくる。08年に農務省が始めたサービスだ。市場価格がわかれば、農民は仲買人に農産物を買いたたかれるのを防げ、より値段の高い作物を栽培して売ることもできる。
市場の価格決定メカニズムは、売り手と買い手が等しく情報を入手できるという「情報の対称性」が前提だ。だが新興国では一部の富裕層が情報を独占し、情報を持たない庶民は経済的に不利な立場に甘んじてきた。情報格差が貧困層の階層を固定化し、テロや犯罪など社会不安を招く悪循環にも陥っていた。
そんな情報格差の構造に簡便で安価な携帯の普及が風穴を開けつつある。携帯は情報を一般市民に開放し、健全な市場経済を新興国全体に広げていくのかもしれない。
市場経済が回り出し、中間層が育てば貧富の差に起因する対立も和らぐ。携帯は新興国の安定に欠かせないツールとなった。
写真は現在、南アジア、アフリカの主流となっているNOKIAのGSMモデルです。
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