タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

乳がん検診の結果が出ました

2016-10-19 20:47:06 | 婦人科
加東市の漣(れん)くん、9月10日生まれ。
「優しく、元気いっぱいで、たくましい子に育ってください。
とにかく痛い(笑)、何人産んでも痛いです。
皆さん優しいです。」

タマル産で、3人産みましたね。
もう無理と言われていましたが、まだ若いですからね。

ところで、タマル産の職員のワンちゃんが、子宮がんになったのだそうです。
手術もして、アガリスクを飲まされて、しょっちゅう診察に通っているのだそうです。
保険も利かなくて、人が受診するより高額の医療費だそうですよ。
だいたい人間だって、アガリスクなんかは飲みませんよ。
原因はやはりパピローマウィルスなのでしょうか?
ごめんなさい、獣医ではないので知りません。

先日来、乳がん検診のお話をしていますね。
今日、市役所に行ったら、ピンクリボンと標語が有りましたよ。
乳がん検診を受けましょう、というものです。

ですが乳がんって、若い女性でも多いのに、40歳以上しか受けられませんよね。
しかも痛いと評判のマンモグラフィーです。
ようやく厚生省は、超音波検査での乳がん検診の一般化も模索しだしたというニュースです。
でもね、もっと簡単な方法が世界的に治験されているのです。
それが、先日来お話している、マイクロRNAという検査なのです。

ある女性が10月1日に、乳房にしこりが有ると言って受診されました。
以前、マンモグラフィーもしたことが有るそうです。
しこりが有るのならもう一度マンモを受けるようにお勧めしたのですが、
ぜひマイクロRNAの検査を受けたいと言われるのです。

それではと、乳がん検診用の超音波検査をしてみたのですが、しこりは見られません。
こういう時は自信が持てませんよね。
本人はしこりだと言われるのですから。
はっきりと乳がんではないとは言い切れないでしょ?

そこでマイクロRNAの検査をしたのですよ。
そして、本日19日に結果が届きました。
検査してから土日も挟み、18日要したということになります。
少し長めですね。結果は以下です。



どうです?
48歳の女性で、乳がんの可能性はA、すなわち可能性は低いと出ました。
これなら安心ですね。
これ以上、マンモグラフィーなどは受ける必要が無いわけですから。
マンモでは条件が良くても、最低5ミリ以上の大きさにならないと引っ掛かりません。

それに対して、マイクロRNAの検査なら、未病の状態で分かるのです。
要するに、しこりになる前に分かるということですよ。
乳がんなら乳がんのマイクロRNAは、乳がん細胞からしか出ません。
ですから血液中に存在すれば、乳がんなのです。
ただし「がん」とは、はっきりとした形にならないと「がん」とは呼びませんから、未病の段階です。

さらに、「がん」は転移することが怖いのですが、
転移はこのマイクロRNAと関係しています。
血液中に流れて、他の臓器に生着することで転移します。
ですから、転移がおこりかけているかどうかまで推定できてしまう優れものなのですね。

これからマンモグラフィーを受けようかどうか迷っている方が居られたら、
まず採血だけで、しかも超早期に、未病の段階で分かる検査ですから、
気楽に受けられてはいかがでしょうか。

もし結果が、「がん」の可能性が高いと出ても、
まだ腫瘍になる前かもしれませんから、
マンモグラフィーでは陽性とは出ないかもしれませんよ。
そういう場合は、がんになりにくい食事をするなどすることで、
病気の発症を遅らせることができるかもしれません。

乳がんだけでなく、男性に多い膵臓がんも、良い適応です。
というのも、膵臓がんは検査で引っ掛かるほどのがんであれば、
もはや手遅れの状態だからです。
未病の段階で見つけなければいけないのですよ。

年末までキャンペーン価格ですから、他のほとんどの「がん」が分かるセット検査もオススメです。
http://www.tamar.jp/nyuugan

事実は小説よりも奇なり

2016-10-17 20:33:45 | 産科
篠山市住吉台の共生(ともき)くん、9月10日生まれ。
「たくましく、しなやかに、自分も周りも幸せにできる人に。
家族みんなでお産に立ち会えてうれしかったです。3人目は早くて、その分痛かったです。
3人共この病院です。いたれりつくせりでご近所にこの病院が有って、ラッキーだったとしみじみ。」

そうですか、もう3人になりましたね。
お母さんの優しさが周りにも伝わってきますから、この子もきっと周りを幸せにしてくれることでしょう。

さて、先週のブログはお産の話で終わりましたが、
その夜、一度に5人も陣痛のお母さんがやって来られました。
さらに次の日にはもう1人。
もちろんそんなことは初めてですよ。
LDRは2つ、分娩室兼手術室も有るので、3人重なってもなんとかなるのですが、
5人では追いつきません。
早く生まれそうな方からLDRに入ってもらって、手術室も使って、あとの方は病室で待機していただきました。
みなさんにはご迷惑をおかけしました。

結局その夜は、胎児の状態が悪いお母さんが多くて、
1人は吸引分娩、1人は他院に搬送して帝王切開となりました。
通常ならタマル産でするところなのですが、他にも帝王切開になるかもしれない方が居られたからです。
5人のうちへその緒が首に巻いている方4人、うち1人は2重巻きの状態と、
一晩中たいへんでした。

そして赤ちゃんも1人、済生会病院で診てもらったので、
1日に2回も救急車を呼んでしまいました。
もちろんすべてが初めての経験ですよ。

タマル産の助産師が、今夜は満月ですか?と聞いたのですが、
実際、満月だったのには驚きましたよ。

以前、「ノーフォルト」という本を紹介したことが有ります。
アマゾンでの紹介文です。
城南大学病院に勤める女性産科医・柊奈智は、
深夜の当直で容態が急変した妊婦の緊急帝王切開手術を行なう。
ギリギリの判断が幸いし、子供は無事に生まれた。
だが数日後、原因不明の出血が母親を襲った。
患者を救えなかったことでショックを受ける奈智に、
さらに遺族が起こした訴訟が追い討ちをかける!

この本を書かれたのは、現役の産婦人科教授です。
だから迫力が有りますし、読むだけで胸が痛くなります。
今年、篠山の丸尾産婦人科の丸尾院長がクリニックを閉められたのですが、
偶然にも、この本を私に読むように渡されたのですよ。
私は発売時に呼んでいたので、お返ししたのですけれどね。
きっと、私に篠山の将来のお産を託されたのではないでしょうか。

この本では、主人公は訴訟やマスコミに追い詰められていくのですが、
最後に、おそらく自殺しそうな雰囲気の中で患者さんのお墓参りに行った時に、
亡くなられた妊婦さんのご主人に出会い、
憎まれていたのでではなく、感謝されていた、というオチです。
そうです、顔も見ない裁判ですからね。
原因を知りたかっただけなのだと。

今日、ある患者さんがタマル産を訪ねて来られました。
不妊外来からお世話して、妊娠27週で夜中に破水し、
救急車で搬送したお母さんです。
20年前だったら助かっていなかった生命でしょう。
わずか1200グラムだったそうですよ。
破水から丸2日は保たせて、帝王切開になったそうです。
できれば32週未満の早い週数では、24時間以上、保たせるのですよ。
そうすると胎児の肺が成熟して、生まれてから肺呼吸ができるようになるからです。

菓子箱を持って来られたのですが、
あの時は一緒に救急車で搬送してくださって心強かったです、というお礼でした。
そうそう、先週、タマル産で帝王切開できずに他院に託したお母さんのご主人からも電話が有って、
お礼を言われました。
どちらも私としては、心苦しかったのですよ。
でも救われた思いです。

人の心の温かさに感謝ですね。

乾燥肌には

2016-10-14 20:55:34 | 美容医療
篠山市大山下の文音(あやね)ちゃん、9月10日生まれ。
「優しい子になってください。
思ったより早く生まれて、安産で良かったです。
皆さん、いろいろ気遣ってくださって、ゆっくり入院生活を送れました。」

初めてでも楽なお産なお母さんも居られるのですね。
ですが、たいていは初めては苦労します。
それでも産んだ後は、案外忘れてしまうものですよ。

今も2人の妊婦さんが陣痛で入院されています。
朝から「おしるし」が有ったという電話も2件有りましたから、
今夜から明日にかけては忙しくなるかもしれません。

それでは今日は、乾燥肌のお話といたしましょう。
というのも、寒くなってくると、肌が乾燥してくるでしょう?
そして、年齢とともに乾燥肌は悪化するようです。

肌の表面は、角質層が有りますが、
これには水分の蒸発を抑えるために、油分と水分が混じった皮脂膜を形成しています。
これが年齢とともに減少していくのですね。

角質層の下の皮下組織の細胞間にはコラーゲンなどの骨組みに、
ヒアルロン酸などが存在して、これが水分を保持しているのです。
これも年齢とともに減少するのですね。

よって、保湿剤の出番となるわけです。
タマル産では、ヘパリン類似物質外用スプレー0.3%という薬を置いています。
ローションとか軟膏のタイプも有るのですが、スプレー式のものを処方しています。
使いやすいからですよ。
ヒルドイドとかビーソフテンと言われるものと同じですが、一般名に変更になったのですね。

皮膚科ではアトピーにも使われるのでしょうが、
産婦人科では、妊娠線なんかにも使用できます。
ケロイドを抑える作用も有るからですね。
もちろん妊娠中の薬ですから、積極的にはオススメしませんが、
気にされる方にはいいかもしれませんよ。

乾燥肌とは異なりますが、
来週は、口元と目尻の「しわ」に対して、ヒアルロン酸の注射を予定している方も居られます。
こちらは美容という面での使用ですが、
減少してきたものを補うだけですから、
気軽に施術されてもいいでしょう。すぐに効果も現れますからね。

それでは、お産の状況を見てこなければ。


11月にインフルエンザの予防接種します

2016-10-12 20:51:41 | 産科
丹波市柏原町の瑠愛ちゃん、9月7日生まれ。
「心の優しい、周りから愛される子に育ってください。
1人目より落ち着いてお産できました。
後陣痛で何度もナースコールしても嫌な顔せず、優しかったです。」

瑠愛ちゃんは見るからに優しそうな顔ですから、優しい子に育ってくれそうですね。
生まれた時から、その子の性格って分かりますよね?
少なくとも自分の子たちはそうでしたよ。
泣き方でも分かるでしょう?

生まれる前から名前を考えておられるご両親も多いでしょうが、
名前はやはり赤ちゃんが生まれてから、その子に合った名前を付けてあげるといいでしょうね。

さて、今日は「かぜ」のお話にしましょうか。
そろそろ寒くなってきて、風邪気味の方が増えてきましたよ。

風邪と言っても、大きく2種類有りますよね。
ウィルス性か細菌性かです。

赤ちゃんの生まれてから初めてのカゼと言えば、RSウィルス感染です。
みんななるのですよ。そしてそれはウィルス性ですね。
大人だって同じで、インフルエンザウィルスなんかは高熱が出ますね。
インフルエンザに限らす、いろんなウィルスでカゼの症状を起こします。
それに対して細菌性のカゼはむしろ少ないと言えるでしょう。
ウィルス性が長引いて、細菌も一緒に感染する混合性という場合も有るでしょう。

それでカゼで病院に行くと、ウィルス性のことが多いのに、抗生物質を処方されます。
それは効かないですよ。
だって抗生物質や抗菌剤は細菌性のカゼにしか効きませんからね。
ウィルス性には抗ウィルス剤しか効きません。
もしくは漢方薬のカゼ薬は、抗ウィルス剤と同等かそれ以上の効果が有るとも言われています。

カゼが流行ると、なぜか婦人科も流行るのですよ。
それは抗生物質を処方されたために、カンジダ膣炎という副作用が出てしまうからです。
細菌が死ぬと、ウィルスやカビがかえって増えるのですね。
普段はバランスをとっているのに、バランスが崩れるからです。

それで今年ももうすぐインフルエンザが流行する時期ですね。
11月からタマル産でもインフルエンザの予防接種をしますよ。
と思っていたのですが、今年から事情が変わったのです。
それは妊婦さん用の予防接種が、今年から作られなくなったのですよ。
水銀でできた防腐剤が含まれず、1人分ずつ個別に包装されたシリンジタイプという薬です。

それで今年はどうしましょうか。
とりあえず内科に置いてあるのと同じものしか有りませんから、
内科で予防接種してもらっても構いません。
ですが何箇所も行くのはめんどうでしょうから、
タマル産でも予防接種をしますからね。
妊婦さんは健診のついでに受けてください。
11月1日から11月30日の期間限定の予定です。

ポイントは、赤ちゃんも、妊婦さんも、妊娠していない女性も、
カゼをひいたって、抗生物質は基本的に飲む必要は有りませんよ。
ただし予防接種は、なるべく受けてください、ということです。

流産後の次回妊娠は何ヶ月開ける必要が有るか?

2016-10-07 21:06:02 | 産科

上の写真は、篠山市本明谷の優華(ゆうか)ちゃん、8月31日生まれ。
「優しく華のある女性になってください。
職員の方々はとても親切で、心強かったです。
栄養バランスがとても考えられていて、毎日食事が楽しみでした。」

嫌いなキュウリも食べられるようになったのだとか。
私はキュウリやトマトは大好物ですよ。
お母さんはいつもフェイスブックで、いいねを押してくださるのですよ。
やはり毎日更新しているので、励みになります。

このブログは、連日300人程度の方が訪問してくださるのですが、
昨日は500人以上で、過去最高でしたよ。
逆にきちんと調査しない適当なことは書けなくなってきますね。

昨日の夜から今朝にかけては、3人も続けて赤ちゃんが生まれましたものですから、
タマル産の一番長い日、と言えるかもしれません。
ちょっと乱筆を失礼します。

それで今日のお話は、流産後の次回妊娠は何ヶ月開ける必要が有るか?というものです。
というのも、近畿産科婦人科学会の会誌に、Q&Aが載っていたからです。
回答されているのは、大阪の藤田太輔先生です。
それに私見を交えてお話しましょう。

古い先生(失礼)はよく、流産したら半年開けなさいと言われることが有ります。
私はこれにはずっと疑問を抱いていたのです。
ですがそれには根拠が有って、2005年にWHO(世界保健機構)が統計を取って、
そのように指針を示していたからです。

ところがその後にもたくさん調査が有って、3ヶ月開ければ良いとか、
いいや次の月から妊娠しても構わないというものまで様々なのです。
調査項目は次の妊娠で早産したり、小さな赤ちゃんを産んだりしないか、などが多いようです。

ですが、どうもそれらの結果も、経験上納得がいきません。
だいたい毎月、月経が有るのに妊娠してはいけないなんて、おかしいではないですか。
以前、私も文献を調べたことが有ります。
流産した次の月は普段より妊娠率が高い、というものが有ったのですよ。
これこそが経験的に納得できるものでした。

妊娠するとホルモンの分泌が良くなりますし、
子宮内膜もいったん分厚くなりますから、
次の月も妊娠しやすい身体になるのですよ。
不妊治療でも基礎体温を付ければ、そんな時はきれいな2相性になるのが分かりますよ。

しかも最近は高齢で妊娠される女性が多いですから、わずか1ヶ月でももったいないですからね。
それで、タマル産では以前から、流産後、1回月経を見れば妊娠してもよいと指導しています。
それはさすがに流産後、月経が無いまま妊娠すると週数も分かりにくいし、
出血が続いていることも有るからです。
普通にお産した後でも、できれば月経が有ってから妊娠した方が納得いくでしょう?
それでも月経が無いまま妊娠される方も時々居られますが、
まあそれはそれでいいのではないですか。

1つだけ注意するとするなら、
流産の原因の多くは、高齢での妊娠です。
高齢でない若い女性で流産される方の多くは、本人かご主人がタバコを吸っていることが多いです。
だから禁煙しないと、また繰り返してしまいますよ。

あと知っておいて欲しいのは、流産の後の妊娠では、癒着胎盤になる確率が上がりますよ。
もっとも癒着胎盤の原因で一番多いのは性感染症ですけれどね。

ちなみに話しは変わりますが、帝王切開後、次回妊娠はいつしたらいいかご存知ですか?
1年開けた方が子宮が破裂する危険が少ないとされます。
だから帝王切開後でも1年以上なら、経膣分娩にトライしても良いことになっています。
もし帝王切開後1年以内に妊娠した場合は、経膣分娩は危険だということになっていますよ。
これも以前、私が調べたものです。

ですがこれについても、1年以上開けていようが、
最近ではどこの施設も再度帝王切開をするでしょうね。
あ、タマル産では今月は、既往帝切後経膣分娩を希望されておられる妊婦さんが居られるのでした。
漢字ばかりで日本語らしくないですね?