タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

夏期研修会のテーマはこれです

2013-06-07 21:42:42 | つれづれ
昨日はタマル産の夏期研修会がありました。
皆さんも見覚えの有る顔がありますか?
お産された方は、思い出していただけたかな?
最前列にはトライやるウィークの学生さんたちも居ますよ。
毎年、この時期に合わせて研修会をしているのです。ラッキーでしたね。

お隣のお菓子の里での食事会の後は、タマル産に帰っての勉強会です。
今夏のテーマは2つ、1つは早産児のカゼの予防です。

早産児とは妊娠22週から36週までに生まれた赤ちゃんのことを言うのです。
タマル産で産めるのは妊娠34週から36週の早産児です。
赤ちゃんの体重にして、約2,000グラム以上がおおよその目安です。
これ以前の週数で早産しそうな場合は、遠く、神戸市の病院まで搬送しなくてはいけません。
小さく生まれた赤ちゃんは、カゼをひいても重症化しやすいので、
赤ちゃんなら2歳までにほぼ100%かかるRSウィルスというカゼのウィルスをやっつける
パリビズマブという商品名の筋肉注射をしておくと、重症化を防げるのです。
厚生省のRSウィルスのページ
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/rs_qa.html


もう1つのテーマは救急医薬品について、なんです。
いつの間にか、手術室にはいろんな薬品が増えてきました。
病気の種類は増えるわけではないのですが、治療法はどんどん変わりますからね。
産科ではとくに救急で使う医薬品が多いのです。
まだ一度も使用したことのないような薬も有ります。
それは本当の救急医薬品で、そんな救急が無かったとも言えるからです。
そのうちの1つに、DICという病気が有ります。

簡単に言うと、出血が止まらなくなる病気なんです。
これはいろんなシチュエーションで起こるのです。
例えば妊娠高血圧症候群というすごくポピュラーな病気があります。
むかしでいう妊娠中毒症という病気のことです。今はそうは呼びません。
ひどくなると、お腹の中で胎盤が剥がれてしまうことが有ります。
1/3以上も剥がれてしまうと、胎児が亡くなってしまう恐ろしい病気です。
ですが原因ははっきりとは分かっていないのです。

妊娠高血圧症候群になると、胎盤が剥がれて、そこから組織因子と呼ばれる物質が出る。
これが全身の毛細血管に流れて、そこで小さな無数の血栓を作ってしまうのです。
するとそれを溶かそうとする機構が働いたり、血を固めるもととなる材料が不足したりして、
他のところの子宮で、出血が止まらなくなるのです。もちろん生命に関わります。

他にも、妊娠中期の子宮の中での流産やお産の時の羊水塞栓症という病気や、
産後の弛緩出血の後に引き続いて起こる場合や、前置胎盤という病気の時に出血した後に、
このようにDICという病気が発症して、さらに血が止まらないということになります。
そんな時に使う薬は何だ?という勉強会でした。
昨日勉強したところなので、職員の皆も頭に入りましたよね?
こうして、緊急対応は定期的に繰り返しておかないと、いざという時に役に立ちません。

最後に本物の救急対応です。消防署への通報訓練で締めくくります。
タマル産と篠山の消防署は直通の電話線で結ばれているのです。
非常ベルが鳴ったら、同時に消防署でも非常ベルが鳴る仕組みです。
だからこちらから消防署に電話をしなくても、向こうから先に電話がかかってきます。
このためだけに、NTTに毎月電話代を払っているのですよ。
それで思い出しましたが、タマル産で万一エレベーターが止まっても、
日立ビルサービスさんに通報されて、これもまた自動的に対応されます。
これだけ、非常事態に備えているのですね。
年に2回はそのことを確認しておかなくっちゃいけません。

昨日は中学生さんたちも居て、楽しかったですね。
また明日から通常の業務に戻りますよ。
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