タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

泣くほど辛いこと

2013-06-25 21:35:01 | 不妊症
6月はラベンダーと夾竹桃(きょうちくとう)が花盛りです。
新しく学生さんと一緒に今年はさらにラベンダーを増やしたので、
来年の今頃がまた楽しみです。
医院の入口が少し見通しが悪くなっていたので、雲南黄梅を切ったのですよね。
医院の前は小、中、高生の通学路ですから、これでみんな安全だね。

不妊外来はできれば3年は辛抱してほしいと、初めての診察の時にお話しています。
私的には、30代では2年、40代では1年以内に保存的な治療は終えるようにしています。
これくらいの期間が必要かつ十分な時間だと考えています。
逆に言うと、それよりも短い時間では、なかなか結果がついていきません。
毎年何十人もタマル産の不妊外来を受診されるのですが、
その内の半分の方は1年もしないうちに再診されなくなってしまいます。
ですが1年から2年の時間を頂いた方は、殆どの方が妊娠されています。
実際の成績は産婦人科のホームページに載せています。http://www.tamar.jp/pg73.html


ところが案外、この2年という時間は皆さんにとって、かなり負担になるようです。
最近では、できちゃった婚が多いですから、意識しないうちに赤ちゃんができるのですよね。
ですが女性でも大学を出て、就職もして、結婚しても共働きで、
さあそろそろ赤ちゃんでも、という年齢になると今度はなかなか赤ちゃんを授からないのです。
赤ちゃんなんて、簡単にできるものだと思っていたのに。
今日のニュースでも初産の年齢は30歳を超えた、と報道されていました。

先日のことですが、不妊外来を受診されてまだ半年も経っていないのに、
基礎体温を付けて、タイミングをとるのに疲れた、と泣かれるのです。
私としては、温泉にでも行って、ゆっくりするのがいいと指導しました。
気が落ち着いてから、また治療を続けるのも善し、続けないのもまた1つの選択でしょう。
その方は一子不妊と言って、他院で上の子を産んでからの不妊の方でした。
何が何でも、というわけでもなかったのかもしれません。

もう1つの選択として、初めから体外受精を受ける、という選択も考えられてもいいかもしれません。
残念ながらタマル産では8年程前に体外受精は経営上の理由で、やめてしまいました。
毎日毎日するほどの症例のある施設でしか、やればやるほど赤字が増えますからね。
それは置いておいて、今でも体外受精をしている方の立場なのに、
体外受精に対して否定的な考えを持つ先生もおられます。
例として、一通りの保存的治療をして、人工授精も4ないし6回程しても妊娠しない場合、
適応だと考えます。
そこで体外受精専門施設に紹介しても。なお保存的な治療をされる場合が有るのが事実です。
そうなると結局疲れてしまわれるのです。

外国ではだんだんと保存的な治療はしない方向に有るようです。
やはり晩婚化のせいで残された時間が少ないのと、
仕事を持っている関係で来院できない、ということもあるでしょうし、
日本のように、なるべく保存的な方法で、という偏見が有るのかもしれません。

京都大学で初めて体外受精で妊娠された時、
その頃私は研修医ながら主治医として、排卵刺激に携わったものです。
それからすでに26年、めまぐるしく治療方法も変わってきました。
結論めいた事を書けば、やはり初めに示した通り、まず保存的な治療をするのがいい。
そして、1年ないし2年間治療しても妊娠されない場合は体外受精をするのがいい、
それが言いたいのです。
このステップアップ法が、もっとも確実で、治療成績を上げる方法だと思いますよ。
だからもう少し肩の力を抜いて、2人3脚で頑張っていきましょうよ。
抽象的な話でしたが、このことを治療を始める際にまず確認しています。