タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

前にも書いたかな、10デイズルール

2013-06-26 22:04:26 | 婦人科
6月は久しぶりに赤ちゃんが生まれました。
7月、8月と忙しくなりそうなのですが、この6月は予約が少なかったのです。
職員もみな、笑顔が戻りましたよ。また、そのお母さんも楽しい人です。

梅雨らしくなってきた、この水曜日も婦人科のお話をしましょう。
今日、外来で質問されたことにお答えします。
妊娠を希望している方が、検診を受けてもいいか、というのです。
もちろん検診の内容にもよるのですが、放射線を使った検査の場合、
というのは胸部エックス線しかり、バリウムを飲む胃の透視検査しかり、
あるいは注腸検査などがこれに含まれます。

これにはテンデイズルールなるものが有ります。
要するに月経が始まってから10日以内に検査を受けること、という意味です。
本当を言うと排卵するまでに、という意味なのですが、
いちいち排卵しているかどうかを検査するわけにもいきませんから、
ある程度余裕を持って、10日以内なら安全ですよ、ということなのです。
ですが正確には28日周期の人であれば、14日目くらいまでは大丈夫なわけです。
でもやはり、10デイズを守るべきでしょう。

排卵というのは月経が始まって14日程すると、卵巣から人間の卵が飛び出すことを言います。
もちろんまだ無精卵ですよ。これがお腹の一番底のダグラスか、という名前の凹みに落ちます。
数ミリリットルの卵胞液という液体にプカプカと漂っているところを、
イソギンチャクのような、2本の卵管のどちらかに、吸い取られていくのです。
その途中の卵管の膨らんだところで、少しの時間留まっています。
ここには事前に精子がやってきていますから、すぐに受精します。
ここから7日ほどかけて、子宮に流れ着き、貼り付いて、着床が完了というわけです。

詳しく書き過ぎましたが、排卵して1週間は受精卵は丸裸の状態で卵管の中を漂っている、
すなわち無防備だということですね。放射線の影響を最も受け易いのは当然です。
影響が有れば子宮に貼り付かないか、分からないうちに流産しているわけです。
この場合はエコーでも見えないでしょうから、化学的流産と言って、流産には数えませんが。

胸部エックス線の検査を受けたくらいでは影響はまず有りませんが、
透視検査を受けた場合は、3回くらい受ければ影響有りと言われますから、
癌で放射線療法を受けた、というような場合でない限り、放射線の影響はまず無いのです。
それでも心配な方は、エックス線検査の時に、防御服というエプロンを借りるといいでしょう。
ですが、放射線技師の方がそこまでするなら、検査はしてくれないかもしれませんが。

よく歯科に努めている衛生士さんから、妊娠したんだけれど、大丈夫でしょうか?
と聞かれることが有りますが、私ならすぐに仕事をやめるでしょうね。
私なども、大学で研究していた頃は、放射線量を測るガイガーカウンターというのを付けて、
ホルモンの検査をしていました。女性ホルモンというのは極く微量ですから、
放射性物質の同位元素を使って調べるのですね。
でもガイガーカウンターって、その場ですぐに分かるものではなくて、
1ヶ月に1回くらい、現像してもらうものですから、結果はとっても遅いのですよ。

まあそんなたわいもない話ですが、
私の同級生やクラブの先輩でも、福島県や周辺の出身の先生がおられて、
今も毎日、少なくなった医療施設を掛け持ちで飛び回って頑張っておられるようです。
受けた放射線量なんて気にしていたら、仕事にならないと言われていました。
献身的なその仕事ぶりを、決して忘れてはいけません。
先日、舞鶴市を通る機会がありましたが、地元や日本の産業を護るために、
その国土を犠牲にする必要が有るのかな?
そのうち日本は住める所が無くなってしまうのでしょうね。

さきほど生まれた赤ちゃんをアップしておきましたので、Facebookも見てくださいな。
この子どもたちの未来を残すために。http://www.facebook.com/tamarclinic

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