タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

単一胚移植

2012-07-24 20:21:18 | 不妊症
今週の不妊外来では1人の方が妊娠されました。
ただタイミング療法での妊娠なのですが、
結局は不妊外来受診をきっかけに、性周期を理解される方が多いのも事実です。

さて今日のテーマは単一胚移植についてです。
最近読んだARTの情報誌から気になったところを。
その前にARTってご存知ですか?
Assisted Reproductive Technologyの略です。さらに分かりませんね。
体外受精などの高度不妊治療を指す言葉なのですが、
私が研修医だったほんの20数年前は、
産婦人科医でさえ、知らない医師が多かったのです。
そういう意味ではこの20年で飛躍的に発展してきた分野です。

体外受精で妊娠率を上げるためには、
体の外で培養をして、胚盤胞という状態まで育った受精卵を
1回につき3個くらい子宮に戻すと、それだけ妊娠率が高くなります。
私が体外受精を柏原でやっていた頃は、日本では3個が標準でした。

ところが2008年4月から日本では原則1個しか戻さないことになりました。
最大2個までは許可されています。
もちろんこれは双子や三つ子にしないように、ですね。
不妊専門病院ではどうしても成功率が高いことが宣伝になりますから、
双子になってでも、妊娠率を上げようとします。
ところが、大きい病院の産婦人科では、双子のたいへんさを知っていますから、
なるべく双子にならないように1個しか戻さないのです。
だいたい、成績が悪くたって、大きい病院には患者さんが集まってきますし、
妊娠率を上げたって、給料が上がるわけではないので、無理はしません。

ちなみに外国ではアメリカが5個まで。
フランスでは日本と同じ、1~2個です。
ただし国によっては、3個以上胚移植して、
三つ子以上になったら、選択的に中絶するという考えもあります。
少し前の日本もそうでした。

結局は比較的若い方なら、1個だけ胚移植し、少し高齢になってくれば
2個返すという流れでしょう。
ただしこれには前にお話した助成金の額も関係します。
経済的あるいは年齢的な負担に余裕があれば、少ない胚でもかまわないし、
その逆ではなるべく高い妊娠率を望むということですね。

次は皆さんの番かもしれないので、
そんなことを考える必要に迫られるかもしれませんよ。

さて写真はコウノトリの郷公園の帰り、天橋立での1コマ。
今年の夏はお産が忙しくなりそうなので、一足早い夏休みでした。

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写真は掲載できないのですが、この間も赤ちゃんが生まれています。




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