タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

子宮頸がんと子宮体癌の割合

2017-12-13 21:56:59 | 婦人科
篠山市黒岡の琴和(ことわ)ちゃん、11月1日生まれ。
「琴の弦のように強い女の子になってください。
2人目でしたが、意外と長くてしんどかったです。
入院中は退院したくないほど、居心地が良かったです。」

次は、痛いと言わないように産んでみたいそうですよ。

さて今日は、婦人科ガンのお話です。
最近はラジオで、子宮頸がんの検診を受けましょう、というアナウンスが聞こえてきます。
確かに子宮頸がんは以前は40代、50代の病気でしたが、
今では20代、30代と、赤ちゃんを産む年齢にまで下がってきていますし、
若い世代では、ものすごい勢いで増加しているのです。

原因は性行為でうつるヒトパピローマウィルスだということは、みなさんご存知ですね?
性行為をする年齢になっていなければ、ならない病気ですよ。
あるいは、特定の結婚する人とだけしか性行為が無ければなりませんね。
だから中学生に予防接種をすると効果が有るのですからね。

私が医師になった30年ほど前は、子宮頸がんは子宮体癌の10倍ほどだと教わりました。
10対1の割合だということです。
だからずっと子宮頸がんの方が多いのだと思っていましたよ。
ところが天理に赴任してみると、なんだか子宮体癌の割合が多いのです。
10対1どころか1対1ほども有ったのですよ。
今でもなぜ天理にだけ子宮体癌が多かったのかは謎です。

それから10年ほどして、丹波市(当時はまだ氷上郡)の柏原で開業しました。
この時に丹波市では、子宮頸がんに対しては市の助成が有ったのですが、
子宮体癌に対しては助成が無かったので、誰も受けなかったのですね。
ですが先の経験から、丹波市でも子宮体癌の検診に助成を付けてもらうように、
市にお願いして、ようやく受けられるようになりました。
でもね、丹波地方で5年間検査してみましたが、
やはり意外と子宮体癌は少なかったのですよ。

篠山市に移転してからは、市とは交渉せずに、
必要が有れば保険診療や自由診療で子宮体癌の検診をしています。
それが全国的な調査では、どうも最近では、子宮頸がんより子宮体癌の方が罹患数が上まったようです。
10対1どころか、いつの間にか1対1になっていて、さらには上回ってしまっていたのです。

子宮体癌は50歳以上の閉経後の女性、
もしくは閉経して10年ほどした女性に多いと言われていたのです。
それが最近では、すべての年齢の女性に増えてきているのですよ。
これではやはり若い女性であっても、不正出血が有るような場合は、
子宮体癌検診もしていかないといけないようですね。

子宮頸がんの治療は、若い女性では、子宮の出口だけ切除することが多いのです。
円錐切除術と言います。
子宮体癌の治療は、若い女性の場合は、子宮は取れないので、ホルモン療法をするのですよ。
もちろん赤ちゃんを望まない場合は、子宮を取ってしまいます。
この場合も、子宮の外まで広がっていることは少ないので、
子宮頸がんのように、大きな手術をする必要性はあまり有りません。

ということで、まずは子宮頸がん検診を受けていただくことです。
そしてこれからは、子宮体癌の啓蒙もしていかなくてはいけないでしょうね。