タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

腫瘍マーカーはガン検診には適しません

2017-12-06 21:32:11 | 婦人科
丹波市柏原町の彩那(さな)ちゃん、10月30日生まれ。
「自立した女性になってください。
お産は2人目ですが、やっぱりたいへんでした。
病室も広く、親切にしていただき、過ごしやすかったです。」

赤ちゃんの名前は、お姉ちゃんが付けてくれたそうですよ。

タマル産では、明日はクリスマス会兼、冬季勉強会なのですよ。
それで買い出しに行こうとしたら、高速道の上でパンクしてしまいました。
生命に関わりますね。
レッカーのおじさんは、昔タマル産で生まれた赤ちゃんのお爺ちゃんでした。
うちのカミさんも以前レッカーを利用したのですが、その時もそのお爺ちゃんだったのですよね。
その赤ちゃんは、もう高校生だそうです。
お母さんのことも、ちゃんと覚えていますよ。
とくに開業した頃のお母さんは、鮮明に覚えていますからね。
というのも、手探り状態だったからでしょうね。

さて、今日外来に来られた患者さんのことです。
人間ドックで、たまたま腫瘍マーカーのCA125という検査の数値が少しだけ高めだったので、
婦人科受診を勧められて来院されました。

どうもみなさん、この腫瘍マーカーの意味を勘違いされておられるので、
言いたいことを言ってみましょう。
まず、腫瘍マーカーなんて、検診に入れるべきではないのですよ。

例えば、一番相関が有りそうなのが、男性の前立腺ガンに対するPSAという腫瘍マーカーです。
ところがこのPSAという検査、やっても仕方ない、と分類されているのですよ。
それでも検診に入っていたりするでしょう?
だって、PSAが陽性でも、そのうち3人に2人はガンではないのですから。
こういうのを偽陽性が多い、と言います。
結局、PSA検査によって、前立腺ガンの死亡率に変化は無かったのですよ。

腫瘍マーカーというのは、確かにガンで上昇することは有りますが、
ガンでなくても上昇したり、ガンなのに上昇しなかったり、
ガンでも大きくならないと上昇しなかったりなのです。
それでどんな時に有効な検査かと言うと、
他の検査でガンであることが分かっていて、しかもある腫瘍マーカーが上昇している時に、
治療効果の判定や、再発を見る参考程度に利用することは可能なのです。
本来、人間ドックで早期発見するために使用するための検査ではないのですよ。

では例えば、乳がんの早期発見はどうすればよいのでしょうか?
これも今のところ日本では、40歳以上はマンモグラフィーを2年に1回するということになりましたが、
どうもこれも確実ではなくて、日本人にはあまり適していないようで、
近い将来に変更されることでしょう。

スクリーニング検査ですから安くて、簡単で時間がかからないものが適しています。
しかも偽陽性や偽陰性が低い方が良いのに決まっていますね。
そんな検査は有るのでしょうか?

まず、腫瘍マーカーは先に書きましたように、論外です。
その次は画像診断が有力ですね。
ですが日本人にはマンモは適さないのですよ。
外人のように、脂肪ばかりの乳房なら適すのでしょうが。
画像診断で今のところ一番感度が良いのは、PETです。
ただし費用は乳がんのみの場合でも5万円くらいでしょう。時間もかかります。
感度としては、1センチ以上なら描出されるでしょう。
全身のPETなら25万円くらいでしょうか。

次に感度が良いのはMRI、その次にエコーやマンモという具合ですね。
けれどマンモでは偽陽性も多いでしょう?
毎年、要再検で帰ってくるのではないですか。
それではストレスが溜まりますね。

もっと良い検査が有ればどうでしょう?
1センチどころか、もっと小さな、もしくは画像ではまったく映らないようなレベルでも発見できて、
費用もたったの2万5千円です。
いえ、他の施設では7万円しているところも有りますが、
タマル産では日本で検査している施設の中でも安い方です。
しかも時間はかからず、たったの1分でできます。
しかも偽陽性、偽陰性は少ない、となればしてみませんか?

その答えは、遺伝子検査なのです。
だから血液検査でわかるのですよ。
国はこの検査を普及させるために、その開発に50億円くらい助成したのですよ。
遺伝子検査には大きく2種類有って、持って生まれた遺伝子の検査ではなくて、
ガンの遺伝子そのものを計測する遺伝子検査なので、
ガンが無ければ陰性ですし、有れば陽性なのです。ミアテストと呼んでいます。
http://www.tamar.jp/nyuugan


タマル産で、この1年間で検査された女性は12人居られて、
A判定が4人、B判定が7人、ここまでは安全レベルです。
この方々はマンモグラフィーまで受ける必要は有りませんね。
遺伝子検査の方が感度が高いのですから。
そして、1人の女性だけがC判定でした。
ただし68歳と高齢の女性です。
判定がDとEの場合は、ガンである確率は高いのですが、
必ずしも進行しているという意味ではないのですよ。
ひょっとすると画像診断で映らないレベルかもしれません。

それで12人のうち1人だけ、要精密検査となられましたから、
マンモやMRI、あるいはPETなんかを受けられると良いでしょう。
これだけでも、費用対効果がとても優れていますね。
初めから全員が画像診断を受ける必要が無いのですから。
これでは高額な医療機器を開発して売りつける企業は生き残れなくなってしまいますね。
だからこの検査が普及すると、反対する勢力も出てくるでしょうね。