タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

北摂丹波の分娩考

2016-11-25 21:20:48 | 産科
昨日、生まれた赤ちゃんのお父さんですよ。
夜中に心拍が下がって心配しましたが、無事に生まれて良かったですね。

ところで勤労感謝の日はいかがお過ごしでしたか?
私は予告していましたように、マークエステル展を観に行ってきましたよ。
残念ながらマーク先生は一宮神社に奉納に行かれていて、今回はお会いすることができませんでした。
会期は日曜日までですので、新神戸トンネルを出たところです、みなさんも是非ご観覧を。

さて、今日は北摂丹波地域における帝王切開考といきましょうか。
毎年この時期、近隣の病院の雑誌が届きます。
これは公なものですので、公表しても問題は無いでしょう。

今見ているのは、三田市民病院の分娩件数です。
平成26年度の分娩件数が438件で、帝王切開が93件です。
帝王切開率は21%ほどですから、病院にしては少ない方ですね。

平成27年度の分娩件数が368人で、帝王切開が67件ですから、
帝王切開率は18%と、やはり頑張っておられるようです。
ただ、分娩数が減っているのは、気になるところです。
三田市でも、小学校が無くなったりしている地域も有りますからね。

北に移って丹波市には県立柏原病院が有りますが、
毎年30%ほどの帝王切開率です。
少し高めのようですね。

そしてタマル産では、毎年200人前後のお産が有って、10人ほどの帝王切開で、
率にして5%程度ですよ。
いかに帝王切開が少ないかがお分かりいたでけますでしょうか。

帝王切開の多い少ないは、指導的立場の医師の考え方によります。
例えば、私が前に勤務していた兵庫県立塚口病院では、
部長のお産では40%程度が帝王切開でしたからね。
それに対して、京都大学付属病院も、天理よろづ相談所も、帝王切開率は少なかったですよ。
若い医師の指導的立場にある病院では、安易な帝王切開は避ける傾向が有るからだと思います。

ではどんな女性が帝王切開になるのかといえば、
前回の帝王切開が一番多いのですよ。
一度帝王切開をすると、次も帝王切開だということですね。

ということは初めてのお産が帝王切開になった理由を考えないといけませんね。
特殊なものとしては、さかごのお産です。
今では、さかごで産める施設は少なくなりましたからね。
タマル産では来週、さかごでも経膣分娩したいという初めての妊婦さんが居られます。

最近の流れとしては、分娩施設側が分娩方法を決めるのはよくありません。
どういう分娩方法が有って、どちらもリスクとメリットをお話しなくてはならないのです。
ですがそうは言っても、結局は医師が勧めるお産の方法になることが多いですからね。

来月でしたか、既往の帝王切開の経産婦さんが居られます。
次は経膣分娩を希望されていますが、リスクもお話して、今どうされるか考えておられますよ。
ただ、これからの時代、帝王切開率が低いだけでは自慢にはならず、
また帝王切開ばかりして医療事故が少ないことだけが良いとも言えず、
妊婦さんの満足度が高いことが理想と考えています。
そのためにはこちらも臨機応変に変化していかないといけませんね。

今年もあと1ヶ月になりました。
年末年始の勤務表を作っているのですが、毎年この時期はたいへんです。
職員さんがたくさん休み希望を出しますからね。
もちろん私は1日だって休みませんよ。
365日、24時間、この少ない人数でやりくりするのも、すべて皆さんに喜んでいただくため。
ですが日本も少子化ですから、この先どんな世界になっていくのでしょうね。