タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

卵は持って生まれたものだけですか

2016-11-18 21:20:36 | 不妊症
尼崎市崇徳院の優月(ゆづき)ちゃん、10月15日生まれ。
「素直で、愛嬌あふれる笑顔を絶やさない子に育ってください。
タマル産で産めてよかったです。
右も左も分からないのに、たいへん親切に声かけくださって、救われました。」

初めてのお産でしたからね。
でも一度でも経験すれば、百聞は一見にしかず、となることでしょう。

さて今日は、最近見たニュースのお話をしましょうか。
有名なニュースは論文として見るより、先にネットでニュースとして出るので、
医療者の知識と一般の人との間に垣根は無いのです。
違いは興味が有るか無いかですよね。

ヒトは、卵細胞と精子が受精してヒトとなるのでしたね。
だから体外受精では、卵巣を刺激して、卵をたくさん大きくして、
たくさん取れるほど、凍結したりして、妊娠のチャンスが増えるわけです。
精子はいくら少ないと言っても、1匹ということはないでしょうから。

ところがこのヒトの卵が無くても、ヒトが発生するとすればどうでしょう?

クローン技術とは違うのですよ。
クローンの場合は、卵が必要です。
卵から核を取り除いて、そこに皮膚などの体細胞と言われる細胞の核を埋め込むのですから。
卵の数までしか作成できませんし、長生きもできません。

iPS細胞とは違うのでしょうか?
iPS細胞の場合は、体細胞を刺激して、万能性が有る細胞まで初期化させるのです。
これは卵ではありませんよ。
そこからいろんな臓器に変身させるのですね。
だからヒトができるわけではないのですよ。
これが昨今、研究が進んでいる分野です。

それが最近のニュースでは、
体細胞を刺激して、身体の外のシャーレの上で、体細胞からiPSでなく、
体細胞からなんと卵を作成できたというものなのですよ。
九大と京大のチームです。

これなら卵巣刺激をして卵を取ってこなくても、
髪の毛や唾液からだって、ヒトの卵が作れるかもしれないのです。
高齢女性で、卵の質が悪くて、流産を繰り返すような場合でも、
何もないところから、良い卵が作れるかもしれないというニュースです。

もちろん、生命倫理的に、日本では許されてはいません。
ただし許されて居る国は有ります。
今のところはマウスを使った実験ですし、
ヒトに応用できても、実際に治療として使うことは禁じられているということですね。
でも、ちょっと興味深いニュースではありませんか。