タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

赤ちゃんへのB型肝炎ワクチン始まる

2016-11-16 21:39:18 | 産科
写真は、福知山市の彩葉(いろは)ちゃん、10月16日生まれ。
「秋の綺麗な紅葉のように、様々なことを彩れる、素敵な女性になってください。
今回、ウォーターベッドでの出産は、とっても快適でした。
上の子がお見舞いに来ても、個室なのでゆっくり過ごせました。
お料理もデザートもとってもおいしかったです。上の子と取り合いでした。」

姉妹で産んでくださったのですよね。
お姉ちゃんの時は、入院も長くてたいへんでしたね。
家族で産んでもらうと、こちらも家族のように感じてしまいます。

さて、先ほども赤ちゃんが生まれたところなのですが、
今日は、いよいよ始まったB型肝炎ワクチンのおさらいです。

もともとはB型肝炎のキャリアかどうかは、妊娠初期にみなさん血液検査で調べています。
検査ではHBe抗原陽性とか、HBs抗原陽性という種類が有ります。
HBsをスクリーニングで使って、陽性ならHBe抗原も検査するという具合です。

ずっと前は感染力の強い、HBe抗原陽性のお母さんから赤ちゃんが生まれた場合だけに
予防接種をしていたのですよ。
それが最近、HBs抗原陽性のお母さんからの赤ちゃんにも予防接種をすることになっていました。
そして今回、すべての赤ちゃんに予防接種をすることになったというわけです。

どうしてでしょうか?
全世界でB型肝炎のキャリア、つまりウィルスを保有している人は、2億4千万人も居られるのです。
キャリアの人の中から肝臓ガンになって、亡くなられる人が、毎年80万人ですよ。
肝臓ガンというのは、日本の癌の死因の3番目に多い癌です。
ですからウィルスをやっつけられる身体にしておけば、死亡率が下がるわけです。

以前は恐れられていたC型肝炎は、むしろ薬剤治療で根治できる時代となってきています。
残るはB型肝炎ウィルスだけ、というわけなのです。

ところがこのB型肝炎ウィルスは感染力が強いのです。
お母さんから赤ちゃんが4割、残る6割は、人から人への感染で起こります。
性行為やキスでもうつります。
保育園やクラブ活動でも、汗などからでも集団感染することが有るのです。
そういう意味ではエイズなんかよりも、100倍、感染力が強いのですね。
だからイジメや差別につながるので、大きな声では言うこともできないのですよ。

それで今回、すべての赤ちゃんが予防接種できるのは、とても有意義なことなのです。
もし自分がキャリアで、パートナーが居る場合は、大人でも予防接種をした方がいいのです。
医療従事者も予防接種をした方がいいのです。

では赤ちゃんの摂取のスケジュールはと言いますと、
生後2ヶ月と、3ヶ月、7〜8ヶ月の3回、接種します。
今年の春夏生まれのように、1回目の接種が遅れた場合は、その分ずらしてするのですが、
3回目が1歳までに終わるように急がなくてはなりません。
1歳未満なら無料ですが、1歳を超えると自費になるからです。

もし同居者にキャリアが居られれば、たとえばお父さんとかですが、
そういう場合は生後2ヶ月でなく、生後すぐから予防接種を始めます。
定期接種に準じて小児科等で受けてください。

ただし赤ちゃんのお母さんがキャリアなら、同じように生後すぐから始めるのですが、
この場合は保険診療になります。
事前に分かっているので、生まれてすぐにタマル産ですることになります。

複雑ですが、理解してもらえましたか?
今年は熊本地震のせいで、ワクチンがインフルエンザも含めて不足しているようなので、
連絡があれば、必ず受けるようにしてください。

私の医学部の同級生は、母子感染からのキャリアから肝臓ガンになり、
100人のうち2人が20代で亡くなっていますよ。
それほど怖い病気ですからね。