タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

黄体機能不全のお話

2016-11-09 21:09:47 | 不妊症
写真は、神戸市北区の明久(あきひさ)くん、10月1日生まれ。
「人の気持ちがわかる、誠実な子に育ってください。
出産するまでがしんどかったです。
質問にわかりやすく答えてくれたので、不安が全く無かったです。」

嫌いなセロリも食べれるようになったそうですよ。
けっこう、野菜が嫌いな女性は多いですね。
トマトもセロリも、私は大好物ですけれどね。

さて、今日も2人赤ちゃんが生まれましたよ。
ほとんど同時でしたから、バタバタしてしまいました。

それでは今日は、不妊症のカップルに向けて、よく有る質問で、
黄体機能不全のお話にしましょうか。

まず、不妊症の一連の検査で、黄体期の検査というものが有ります。
黄体期とは基礎体温で言えば、高温期のことです。
卵巣から卵が排卵すると、その抜け殻が卵巣の中に残ります。
これを黄体(おうたい)と呼ぶのです。
この黄体から黄体ホルモン(プロゲステロン)というホルモンが分泌されるのです。

プロゲステロンには、乳房を張らせる作用や、体温を上げる作用が有るのです。
黄体期には眠たくなるのもその作用の1つです。
妊娠しないと、14日ほどで、黄体は縮んできて、プロゲステロンが出なくなって、
子宮内膜が剥がれて月経となってしまうのですね。

ところがこの黄体期が短い女性が居られます。
12日間とかですね。すると妊娠しにくいのです。
プロゲステロンが子宮内膜も分厚くさせるので、
卵巣から排卵した卵が精子と出会って受精卵となり、分割して子宮の中に流れてくるのですが、
排卵後7日目、前後1日にしか、子宮に着床しないのですよ。
なのに、プロゲステロンが下がってきて、子宮内膜が分厚くならなくては、
着床しにくくなるでしょう?

黄体期の働きが悪いことを、黄体機能不全と呼びます。
黄体期の期間が短いことでも分かります。
また、子宮の内膜を1ミリくらい取って検査すると、
月経周期の21日目などと分かるものなのですが、
これが2日以上ずれている場合をとくに、黄体機能不全と定義するのですよ。

それで以前はよく子宮内膜を採取したのですが、
少し痛みも有るし、出血もするので、最近ではこの検査はあまりしていません。
その代わりに、子宮内膜の分厚さを超音波で測定したり、
血液検査でプロゲステロンが、ちゃんと出ているかを見ることにしていますよ。

黄体機能不全の治療として、プロゲステロンそのものを外から薬として処方します。
体外受精の時などは自然周期ではないので、膣錠や注射剤などで、より強力に補填するのですよ。
よく排卵誘発剤の飲み薬で、クロミッドという薬を飲むと、
卵は大きくなるのですが、子宮内膜が分厚くならないことが有ります。
こんな時はプロゲステロンと同時に、エストラジオールという薬も効果的なことも有ります。
ですがタマル産では、時間がもったいないので、そういう場合は注射薬の排卵誘発剤を使いますが。

ところで10年ほど前は、40人に1人は体外受精で生まれていると言われましたが、
最近の報告では、21人に1人が体外受精で生まれているのですね。
2004年から公費助成が始まったせいも有るようですね。
それでも可能な限り、しかも短い時間でいいですから、
保存的な治療から始めるべきなのですよ。
体外受精や顕微授精は抵抗が無くなったとはいえ、どんな治療かということは十分に理解してください。