タマルさんはナツメヤシ

タマルは女性の名。ナツメヤシの意味で多産を象徴。聖書には約束の地カナンは、蜜(ナツメヤシ)と乳(ヤギ)の流れる地とある。

不育症の治療後、妊娠継続中

2016-02-01 21:12:27 | 不妊症
お兄ちゃんが覗き込んでいますね。
びっくりしましたね。

ところで今日は、ちょうど今月号の本屋さんで見つけた女性向けの雑誌で、
不育症の話題が載っていたので、そのことをお話ししましょう。
不妊症と不育症は、違うのですよ。

妊娠はするけれど、流産を繰り返して、なかなかお産まで行かないという方が時々居られるのですよ。
それでもタマル産の不妊外来では、現在進行形で、少なくとも3人以上の不育症の女性が妊娠されています。

その前に不育症の原因にはさまざまなものが有るのですよ。
不育症の原因の分類には、あまり載っていないのですが、
高年齢というのも、一番大きな不育症の原因です。
このことは言うまでもないのですが、残念ながら治療に反応しにくい群ですよ。

他には、内分泌疾患というものも有ります。
よくあるのは、甲状腺の機能異常です。
機能低下症はよく有る原因で、流産率が高まります。
不妊症の原因でもありますよ。
現在、タマル産で甲状腺ホルモン剤を投薬している妊婦さんは何人か居られます。
不妊症や不育症の原因の検査中に、引っかかることが多いのです。

明らかな甲状腺機能低下症のことを、顕在性甲状腺機能低下症と呼びます。
甲状腺機能は正常なのですが、甲状腺を刺激する下垂体ホルモン値が高い場合を、
潜在性甲状腺機能低下症と呼びます。
この潜在性であっても、不育症としての流産率が高いことを、
神戸の隈病院の先生が指摘されておられますよ。

他にも、免疫的な異常が原因で不育症となることが有ります。
自己抗体という抗体が陽性の時はこれにあたります。
治療としては、ヘパリンという、血栓を作りにくくする注射を、
日に2回、自己注射するというものです。

これはかなり有効だとされていますが、残念ながら患者さんにとっては検証のしようが有りませんね。
うまく妊娠が継続しても、注射のおかげかどうか判りにくいですからね。
ただし全国的に統計をとったものでは、明らかに改善効果は有るのです。
今もタマル産の外来では、自分で連日、注射している方が居られますよ。

毎日の注射までは、と躊躇される方も居られます。
そういう場合は、低容量のアスピリンという薬もよく使用するのです。
アスピリンは少量では血液をさらさらにする作用が有るのですが、
普通の量を使用すると、その効果は得られなくて、鎮痛作用だけになってしまうので、注意は要します。
この薬を飲みながら、妊娠を継続しておられる方が、今日も外来に来られていました。
うまく妊娠して良かったですね。

こんな風に、不妊症の治療では、常に不育症の治療が必要な方も居られるということを、
少し気づいていただけると、参考になるかもしれませんね。