竹取翁と万葉集のお勉強

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拾遺和歌集 巻1 歌番号31から35まで

2024年07月12日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻1

歌番号 31

詞書 題しらす

詠人 大中臣能宣

原文 尓保比遠波 可世尓曽不止毛 武女乃者奈 以呂左部安也奈 安多尓知良寸奈

和歌 にほひをは かせにそふとも うめのはな いろさへあやな あたにちらすな

読下 匂ひをは風にそふとも梅の花色さへあやなあたにちらすな

解釈 梅の匂いを吹く風に添わせ漂っても、梅の花の色までは、むやみに儚く風に散らさないでくれ。

 

歌番号 32

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 止毛寸礼者 可世乃与留尓曽 安遠也幾乃 以止者奈可/\ 美多礼曽女个留

和歌 ともすれは かせのよるにそ あをやきの いとはなかなか みたれそめける

読下 ともすれは風のよるにそ青柳のいとは中中みたれそめける

解釈 ともすれば風の力で撚れるので、春の若い青柳の糸のような枝葉は、かえって、乱れ始めるようです。

 

歌番号 33

詞書 屏風に

詠人 大中臣能宣

原文 知可久天曽 己呂毛万佐連留 安遠也幾乃 以止者与利天曽 美留部可利个留

和歌 ちかくてそ いろもまされる あをやきの いとはよりてそ みるへかりける

読下 ちかくてそ色もまされるあをやきの糸はよりてそ見るへかりける

解釈 近くに寄ると色も一層に優る、その青柳の糸のような枝葉は、その風に揺れて縒れるようすを、寄って眺めるべきでしょう。

 

歌番号 34 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 凡河内躬恒

原文 安遠也幾乃 者奈田乃以止遠 与利安八世天 堂衣寸毛奈久可 宇久飛寸乃己恵

和歌 あをやきの はなたのいとを よりあはせて たえすもなくか うくひすのこゑ

読下 青柳のはなたのいとをよりあはせてたえすもなくか鴬のこゑ

解釈 青柳の縹色の糸のような枝葉を、縒り合わせて作った糸が切れない、その言葉の響きではありませんが、寄って合わせて絶えずに鳴く鶯たちの声よ。

注意 藤原定家は、色を示す縹の漢字を花田と好みで表記しますので、伝本では花田と表記するものがあります。

 

歌番号 35 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 者奈美尓八 武礼天由个止毛 安遠也幾乃 以止乃毛止尓八 久留比止毛奈之

和歌 はなみには むれてゆけとも あをやきの いとのもとには くるひともなし

読下 花見にはむれてゆけとも青柳の糸のもとにはくる人もなし

解釈 花見には人々は群れ連れだって行きますが、新緑の青柳の糸のような枝葉の下には、それを眺めに来る人もいません。

 

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