竹取翁と万葉集のお勉強

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拾遺和歌集 巻01 歌番号6から10まで

2024年07月05日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻1

歌番号 6

詞書 天暦御時歌合に

詠人 源順

原文 己保利堂尓 止万良奴者留乃 堂尓可世尓 万多宇知止計奴 宇久飛寸乃己恵

和歌 こほりたに とまらぬはるの たにかせに またうちとけぬ うくひすのこゑ

読下 氷たにとまらぬ春の谷風にまたうちとけぬ鴬の声

解釈 氷さえも形を留めず溶けてしまう春の谷風なのに、季節に打ち解けないような、鶯の鳴き声よ。

 

歌番号 7 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 平祐挙

原文 者留多知天 安之多乃者良乃 由幾美礼者 万多布留止之乃 己々地己曽寸礼

和歌 はるたちて あしたのはらの ゆきみれは またふるとしの ここちこそすれ

読下 春立ちて朝の原の雪見れはまたふる年の心地こそすれ

解釈 立春になっても、早朝の野原の雪景色を見ると、また、去年のままの気分がします。

 

歌番号 8 拾遺抄記載

詞書 さたふんか家歌合に

詠人 みつね

原文 者留多知天 奈本布留由幾者 武女乃者奈 左久本止毛奈久 知留可止曽美累

和歌 はるたちて なほふるゆきは うめのはな さくほともなく ちるかとそみる

読下 春立ちて猶ふる雪は梅の花さくほともなくちるかとそ見る

解釈 立春になっても、それでも降る雪は、梅の花が咲くとすぐに散っているのかと思えます。

 

歌番号 9

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和可也止乃 武女尓奈良比天 三与之乃々 也万乃由幾遠毛 者奈止己曽美礼

和歌 わかやとの うめにならひて みよしのの やまのゆきをも はなとこそみれ

読下 わかやとの梅にならひてみよしのの山の雪をも花とこそ見れ

解釈 私の屋敷に咲く梅の花が咲く様子に習って、吉野の山の雪も梅の花のように見間違えます。

 

歌番号 10 拾遺抄記載

詞書 天暦十年三月廿九日内裏歌合に

詠人 中納言朝忠

原文 宇久飛寸乃 己恵奈可利世者 由幾々己奴 也万左止以可天 者留遠志良末之

和歌 うくひすの こゑなかりせは ゆききえぬ やまさといかて はるをしらまし

読下 鴬の声なかりせは雪きえぬ山さといかてはるをしらまし

解釈 もし、鶯の声が聞こえなかったらば、雪の融け消えない山里は、どのような手段で春の到来を知るのでしょうか。

注意 拾遺抄では詠人は中務

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