麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

2005年10月12日 | 鑑賞
久々に良い天気です。

劇団近くの遊歩道の桜の木では、
セミが啼いていました。
10月も半ばだけに、セミが泣いていた…
といいたくなる風情。

さて。タイトルは「コン」と読みます。
昨日、青年座劇場で観た芝居のタイトルです。
その芝居は、一斉に蝉の鳴くSEから始まりました。
真夏。クーラーの壊れた部屋が浮かび上がり・・・

この『痕-kon-』の作者は今井一隆氏。
2年前、弊団で上演した『温室の花』の作者。
・・・冬の病室の芝居を、7月にやったのだった
今回は、10月に真夏の芝居。
文化庁の「創作劇奨励賞」グランプリ作品だ
(『温室の花』は同賞佳作受賞)

アウトラインはこのくらいで。

青年座の公演でありながら、
青年座は半分の4名…うち1名は劇団青年座でなく、
青年座映画放送…なので、8人中5人が客演とも言える構成。

確かに、今井一隆氏の、一見淡々とした日常を
切り取ったように見える世界を、いわゆる「新劇調」で
演劇的に立ち上げると、どーもうまくないわけで・・・
その点では見事なキャスティングと言えましょう

特に、桃園会出身で現在フリーの藤野節子氏は、
今井テイストを見事に体現し、
アンサンブルの効いた俳優陣の中で、ひときわキラメイていた

数行前に、「淡々と」と書いたけれど、
演出・伊藤大は、それよりも作品の核にある「痕」…

・・・劇中、ペルセウス座流星群の流れた後の
もやもやっとした煙のような「流星痕」の
   撮影をする、なんて話も出てくるのですが・・・

…人の心の奥深くの「傷痕」を、えぐりだすように、
明確な表現で、舞台を観客に提示します。

確かにその演出が、母や息子シゲルの優しさを際立たせ、
おっと、簡単に優しさなんて一言では片づかない“心の裡”
と言った方が、少しは作者の描きたかったものに
近づくだろうか?
とにかく、そーゆーものを立体化したのではないでしょうか。
たぶん。

16日(日)まで。
コメント (1)
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