麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

十二人の怒れる男たち

2015年03月29日 | 鑑賞
センバツ8強は関東3、東海2、
北海道、北陸、近畿各1と
関東勢が健闘している。一方、
九州沖縄が早々に姿を消した。

さてサムライ・ブルーも新監督の下
初戦を白星で飾った
プロ野球のオープン戦の如く、
若手がスタメンで、主力が後から
顔を見せるや役者ぶりを発揮!
結果から言えば、そんな試合。

古株がコンビネーション良いのは
当たり前。世代交代は必須。
今後のハリルジャパンの「変化」に
大いに期待したい……

個人的にショックだったのは、
バックアップも含めた大量43人が
召集されたにも関わらず、
我がマリノスからは0だった事。


クラブと代表。
演劇においていえば、劇団が前者、
プロデュース公演が後者といえる。

レンタル移籍にあたる「客演」で
座内には見当たらない役を埋めたり、
本来はサイドバックのプレーヤーの
スピードに目をつけて前に置いたり、
と劇団は工夫を凝らして上演する。

俳優を抱えないプロデュースは、
逆をいえば全てのポジションに適材適所。
センバツ6日目に観た、
俳優座劇場プロデュース公演
『十二人の怒れる男たち』は
正にそのお手本と言える舞台でした。

もともとは映像作品・・・てっきり
ヘンリー・フォンダの映画が最初、
と思っていたら、その3年前にまず
テレビドラマとして産声をあげていた。
ちなみに映画邦題は『十二人の怒れる男』
と、複数形になっていません。

三谷幸喜による『十二人の優しい日本人』
という舞台、及びその映画化や
筒井康隆の『十二人の浮かれる男』など
影響を受けた作品も多いから、
認知度の高い作品と思われます。

昨年、創立55年周年を迎えた
東京芸術座が学校巡演をしていたりも。

で、俳優座劇場プロデュースとしても
長くこの作品に取り組んでおり、
ただ今回は配役を新たに臨んだ上演。

陪審員十二人と守衛一人の座組に
顔を揃えたのは・・・
文学座=3、俳優座=2、文化座=2、
円=1、1980=1、スターダス21=1、
長谷川事務所=1、フリー=1

恐らくマイナーチェンジもあるかと
想像されますが、ちょいと検索して
出てきた90年代のあるキャストは、
文学座=5、俳優座=3、円=1、
昴=1、朋友=1、1980=1、
フリー=1という顔ぶれでした。

我が横浜からの召集なしを前段
嘆いたけれど、代表の構成に
変化はつきもの・・・新キャストも
大変バランスの良い素敵な
『十二人』に仕上がっています。
無駄がなく、静かな中に充分な力強さ。

そんな伝統の「代表」に初召集された
藤春のように、守衛役で出演する
田部圭祐くんは、今年一月の
「韓国現代戯曲ドラマリーディング」で
ご一緒した期待の新鋭だ!

22日千秋楽ですが、早々に全日完売。
さすがです
そして首都圏、四国と巡演に向かうそう。
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厠de考

2015年03月28日 | 身辺雑記
最近、外の化粧室において、
「いつも綺麗にお使いいただき」と
丁寧な感謝の言葉で始まるメッセージを
よく目にします。言うまでもなく
「一歩前に進み、汚さずに用を足してね」
というのが真意なわけです。

少し前までの恫喝(?)というか、
上から目線の指導的なのじゃ効果なし、
と悟ったようだ。或いは研究データか?

利用者をその気にさせるべく、文言に加え
花を飾ったり等の演出まで見かけますな。
あ、冒頭「外」と書いたけれど、
我が家を「内」とした場合のそれで、
ほんとに野外にある公衆便所よりは、
商業施設や企業の共用トイレを指します。
(実施している公園もあるでしょうが)

例えば打ち合わせで伺った某社では、
幾つか並ぶ男性用小便器の前面に、
桜の風景や浮世絵が、どど~んと
銭湯の富士山よろしく貼られていました。

もちろん社内のPCから出力したもので、
それだけでっかいと画質もかなり低い。
それを眺めていたら、脳内スクリーンに
以下の映像が自然と流れましたよ。

「ミーティングでも議題に出た
トイレ美化の案件、考えてみてよ」

どんな部署も忙しい時、暇な時、
或いは忙しい一人、そうでない人、
様々あって……上司としては
遊ばせておくわけにもいかず。

新人は研修中。
その指導に中堅は忙しい。
去年入った佐川さん(仮名)に
課長は仕事を振るのであった。

彼女はまずネット検索し、
他社の取り組みをリサーチする。
ふむふむ。
昼休み、ランチを買うついでに
百均で造花の鉢を購入。
領収書を切るのも忘れない。
全館のトイレ分だから割と数も多い。

午後、心安らぐ画像をチェック。
傍から見たら、えらく一所懸命。
いや勿論本人は真面目に取り組んでいる。
が、言えばネットサーフィンである。

時間をたっぷり使い、北欧の風景や
日本の古刹に動物の赤ちゃんなどを
選んで社内LANで転送。
部署にあるA3までのコピー機じゃなく、
全紙に印刷可能なマシンのある階で。

「そーいえば、このプリンター
活用率低いんじゃんね?」
プリントアウトを待つ間に沸いた疑問。
あとで稟議書であげようと閃く。

と、この大型印刷機の使い方を、
少しぶっきらぼうに教えてくれた
色黒で、絵に描いたような九州男児の
倭門のことも久方ぶりに思い出した。
昨秋、帰郷した三年先輩からは
稟議書の書き方も習ったのだ。

倭門で「やまと」と読むからには
邪馬台国と関係あるんですか?と
質問したら「あれ、お前馬鹿にみえて
割と教養あんのな」と笑った顔や
「親父倒れて、家業継ぐから帰る」
と、言葉はやっぱりぶっきらぼうに、
でも捨てられた犬みたいだった顔。
それから、それから・・・
この印刷室をきっかけに色んな顔を見た。
居酒屋で、ドライブで、彼の部屋で。

ようやく印刷を終えた模造紙を
まとめてクルクル巻きながら、
「おっと仕事中にやばいやばい」
佐川(仮名)は口に出して反省しつつ、
あの秋に言えなかった言葉を呟いた。
「ついて来いとは言ってくれないの」

「これこそ正に一歩前に、じゃね?」
スマートフォンに目を落とし、
静かに電話帳を開こうとする指先に、
ひとしずく、ぽとり。
・・・きっと汗だ。少々蒸し暑い。

季節は春から初夏へ移ろうとしていた。
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笑むと得る

2015年03月27日 | 身辺雑記
前回のブログでコンビニの話を書いた。

コーヒーを買って店を出るところで
お話は終わったのだが、今日は
そのコンビニコーヒーについて。
いや、正確を期すとサイズの話か。

    

蝶ネクタイのマスターが、
長年培った技術で落とす喫茶店なら
お札でお釣りが来るかこないか。

立ち飲みまたは小振りなテーブルで
一服するチェーンならその半額以下。
それも革命的だったが、ついに百円だ。

でもって決して不味くない。
ただ、その百円のサイズが異なるから
たまに困惑しちゃうのである。

店員さんから「サイズは?」と聞かれて、
「えっと…、ホットで百円のやつ」と
答えることもしばしばだ

ところが。
改めて調べてみたら概ねSが百円だった。

*以下コンビニ名《展開ブランド》
 サイズと金額

セブンイレブン《セブンカフェ》
レギュラー¥100、ラージ¥150

ローソン《マチカフェ》
S¥100、M¥150、L¥180

ファミリーマート《ファミマカフェ》
S¥100、M¥150

サークルKサンクス《淹れたてコーヒー》
オリジナル¥100

ミニストップ《M´s style coffee》
S¥100、L¥150

ちなみにL社のみ店員さんが
淹れてくれるシステムで、
他はカップを貰うセルフタイプだ。
K社はカップに加えカートリッジも。
それを装着してスイッチを押す。
M社はポットから注ぐので、
気の利いた居酒屋の升酒よろしく
なみなみ淹れることも可能だ。

ブログのタイトルは「MとL」。
つまりSとMとLの差異をテーマに
書き進める心積もりだったのだが、
セブンはSじゃなくRだったのか…


いずれにしろスムーズじゃない
(僕だけだろうか…
決して統一しろとは言いません。
ただ分かりやすくは出来るんじゃね?
と。例えば・・・
ファミマはサイズでカップの色が違う。
ボタンとその色が対応していると楽。

喉の潤いや体を温めるのと同時に
ほっと一息つくのもコーヒーの効用。
とすれば、
買う時ストレスが掛かるのは……。

笑むを得られる100円コーヒーを是非。

こんな安くて美味しいの飲んでおいて
調子に乗るなと言われそうだけれど。




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個性的な品揃え

2015年03月25日 | 身辺雑記
本屋さんで立ち読みしていると
店主が無言ではたきをパタパタ。
そんな光景は今はないのかな?
過ぎ去りし昭和の風景だろうか…。

    

紙媒体の本が売れなくなったと
何でもデジタルな今日、耳にする。
そのような時代を背景にして、
立ち読みどころか店内に椅子を置き
ゆっくり品定めして善いですよ
って書店が増えた。或いはまた、
独自な品揃えで個性を出したりも。

コンビニや居酒屋も、チェーンながら
オーナー権限でオリジナリティ豊かな
店作りをしている処に、時折出くわす。

こないだ入った、ある街のコンビニの
雑誌コーナーが面白かった。

画像だとわかりづらいかしら?
雑誌名を拾いあげてみよう。

安倍晋三その人脈と金脈
日本の名刀と鐔
エースパイロット列伝
天皇125代
これが皇居です
警察組織のすべて

賛同も非難もなく、
そのユニークさに脱帽する。

   

売れなくなったとはいえ、
(いや寧ろ売れないからかも…)
毎日二百冊も本が世に出る中、
上記の雑誌は、町の本屋さんでは
少なくとも置かないと推察されます。

コンビニなんだから無難なの仕入れて
売り上げを稼いだほうが良いはず。
限られたスペースだし……。
それを百も承知で、しかも
かなり目立つ場所に配置している、
とゆ~ことは余程強い信念を持ち、
世の中に発信したいんだろうな、
と。
・・・そーいえば。
小劇場ブームだった頃は、演劇界も
今よりもっと個性豊かだった。
「才能」が集結していた。
芝居が目立てる場所だったのだ。

勿論、目立つために「演劇する」のは
正しい姿ではないのだけれども。

バンドブームと聞けば、その手の「才能」は
楽器が出来ようが出来まいが
歌を作ってしまうわけである。、
で、今はお笑いとかゲームとかに
流れているような気がする…。
by the way

正しく(?)演劇を志す者たちで、
面白い舞台をラックに並べられるよう
もっともっと切磋琢磨せねば
熱いコーヒーを握りながら店を出た。
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さようならタイニイアリス

2015年03月24日 | 鑑賞
17日(火)から始まった連日の観劇は、
日曜昼、青年座『鑪』のあと夜に、
モズ企画の『憂鬱郡悲し村老い里』
『とんでもない同居』を見て一息。


モズ企画の上演会場はタイニイアリス。

新宿三丁目の雑居ビル二階、
のちに小劇場演劇の旗手となる小屋が
産声をあげたのは1983年。
90年からは国際交流も手掛け、
現在の新宿二丁目に移転したのは95年。

東京一極化に異を唱え、国内各地の
カンパニーを招聘し「その延長線上」と
タイニイアリスの西村博子氏は
様々なところで発言しているが、
韓国、中国、台湾など東アジアの国々と
アグレッシヴな企画を発信し続けた劇場だ。

そんな小屋が長い歴史に幕を引く。
3月末予定がこぼれて4月頭まで。
……惜しいけれど
我々が言えるのは「ありがとう」と
「ご苦労様でした」の二言だろう。

22日の芝居は「アリスフェス2014」の
14本演目のなかの一本で、
26日初日の次の演目にも顔を出したい
と思っている。
それが「最後の」アリスフェス作品。
(劇場では、その後も数本上演)

俳優座劇場やアサヒ・アートスクエア
なども予定に入れている。

昨日は「ぬ企画」の打ち合わせもあり
休観日としたが、今日もこれから二本。
テアトルアカデミーで『夏の夜の夢』、
アクターズスタジオ櫻会で『風見鶏』。
てなわけで今週も五本は観るぞ

で、観ていただく方は30日19時開演。
月に一度のロングランの続く『ROSE』

こちらも宜しくお願いします。
志賀澤子渾身の一人芝居。
料金は1000円。両国のシアターΧにて。

備忘録

17(火)、東京演劇アンサンブル
『第三帝国の恐怖と貧困』

18(水)、劇団俳小『子供の時間』

19(木)、劇団銅鑼『父との旅』

20(金)、Brother『猫と針』☆

21(土)、オイスターズ『日本語私辞典』
同、劇団遊戯『楽屋』

22(日)、青年座『鑪』
同、モズ企画『憂鬱郡悲し村老い里』他

☆GP拝見の予定が大幅に押して
場当たりを見たので……観劇はないな

以下予定

24(火)、テアトルアカデミー『夏の夜の夢』
同アクターズスタジオ櫻会『風見鶏』

26(木)俳優座劇場プロデュース
『十二人の怒れる男たち』

28(土)劇団め組『野郎歌舞伎・墨堤桜』

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鑪-たたら-

2015年03月23日 | 鑑賞
劇団青年座第217回公演
創立60周年記念公演第6弾
『鑪(たたら)』
(作/早船聡、演出/須藤黄英)は
本当に素晴らしい舞台でした。



僕は料理に明るくはないが、
すきやきで肉と白滝は並べない
ってことくらいは判る。

卵焼きとほうれん草と蒲鉾と
きんぴらと豆とおしんこと……
その盛り付け方でまるで違う
「お弁当」が出来上がる。

演劇においても一つの戯曲に
色んな社会現象を取り込んだ時に
「わかるけど詰め込み過ぎだよ~」
と、しかめっ面で言われる場合と
「現代を巧く切り取ったね」と
誉められる場合とがある。

まさにお弁当箱と同じなのだ。
或いは白滝と肉の扱い方の違い。

昨日観た『鑪』は盛り沢山な話ながら
レシピ(戯曲)がよく整理されていて、
それをシェフ(演出)が正確に、かつ、
自分なりのアイディアも盛り込んで
めっちゃやたらに輝かしいディッシュに
仕上げた芝居でございました。

利尻昆布に松阪牛、関鯖、九条葱、
丹波黒豆、由比桜海老……
役者一人ひとりが皆達者な高級素材。
これがまた豊穣な香りを放って

忘れてはならないのが、皿。
伊藤雅子の舞台美術が凄い
とにかく凄い

29日まで青年座劇場。
絶対に見逃してはいけません。



さて、そんな東京は今日
櫻の開花が発表されました。

甲子園では選抜が三日目だ。

頼りなげな一年生が日々の練習を重ね、
逞しい最上級生になる様に・・・
昨日観た舞台で一番強く思ったのは
演出家・須藤黄英の成長。

今は亡きベテラン演出家の助手として
東演の稽古に来ていた「きえちゃん」が、
今や青年座で一番力があるのかも、
とさえ感じさせる善い舞台を紡いだ。

戯曲も役者もスタッフワークも
みんな素晴らしかったけれども、
終幕し、劇場が一度まっ暗になって、
再び明るくなった時、一番最初に
演劇人・須藤黄英の成長に感動した。


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日本語私辞典と楽屋

2015年03月22日 | 鑑賞
妻が鍵を置いて家を出た。
水曜日のことだ。

こう書くと穏やかではないが、
実父の誕生日祝に両親を連れて
大阪への小旅行に行ったのだ。

今度は一転良い話になっちゃうが、
親孝行を隠れ蓑に、今はまっている
アーティストのコンサートを見に
わざわざ大阪くんだりまで。

まぁ僕も若い頃、さらに遠い長崎へ
毎夏詣でていたから他人のことを
とやかく言える立場ではないが

てなわけで、一昨日帰京。

義理の両親は静岡在住なのだが、
昨日の昼に拝見したのは東海地区
(名古屋)に拠点を置きながら、
東京、大阪ほか国内のみならず、
韓国公演も敢行し、演劇シーンに
その勢いの良さを見せる「オイスターズ」。

作品は『日本語私辞典』。
札幌、名古屋、伊丹、広島(以上2013年)
そして今年の福岡、東京、仙台で上演。

妻がはまっているのは隣国の歌手で
(とゆーと妻は怒る。CDショップでも
他の韓流はK-popに並んでいるが
そのグループはJ-popのコーナーにあり、
歌もほぼ日本語だし、コンサートのMCも
見事な日本語だと説教されてしまう。
……さ、注釈はしたので先に進む)
夜見た劇団遊戯の代表はペ・ミヒャン。
韓国を代表する女優の一人で、
今は拠点を日本に置いて活動している。

清水邦夫の『楽屋』を演出。
会場は遊戯のアトリエで三河島にある
「日暮里ART-CAFE百舌」。

そーいや先月、別の『楽屋』を観たが、
やはり三河島の小屋だったな。
あちらは大胆かつアグレッシヴ。
こちらはわりとオーソドックスに。

またアトリエの壁一面に備え付けた鏡の
一部を楽屋の鏡台にする舞台美術や
障子紙から作った白い衣裳など、
ペ・ミヒャンが一手にプランを担当。
統一感のある力強い舞台を生んだ。

清水のこの戯曲は名作の誉れ高いが、
『日本語~』も面白い本であった。

五十音から、例えば「た」を失くす。
「私」は「わし」になる・・・
次々になくなる「日本語」から
会話が困難になる可笑しさの、
その向こう側に見える世界は、深い。

もう少し書きたいが・・・
家を出ないと青年座に間に合わない。
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父との旅

2015年03月20日 | 鑑賞
今週は観劇週間になってまして。
火、東京演劇アンサンブル。
水、劇団俳小。
木、劇団銅鑼。
金、Brother。
土はオイスターズと遊戯。
で日曜日、青年座。
見過ぎだろ~

『第三帝国の恐怖と貧困』は
サンフレッチェのようだった。
広島育ちのプレーヤーによる
戦術を十一人全員が理解したサッカー。
『第三~』は火曜日観劇。

翌日の『子供の時間』はC大阪。
新井純、早野ゆかりという
大物を客演で招いての公演は、
フォルランを獲得し話題となった
セレッソを彷彿とさせた。
このクラブは下部組織から
優秀な選手を産みだすことでも
評価が高いが、『子供~』は
俳小育ちの役者たちの健闘が
印象的で、その点も合致。

そして昨夜の『父との旅』。
青木豪のオリジナルを磯村純が演出。
銅鑼の代表作のひとつ『流星ワゴン』を
紡ぎだしたコンビの第二弾だ!

『父~』はさしずめ横浜FC。
主人公の田渕鶴吉を演じた
超ベテラン山田昭一の活躍が
キングカズの姿と重なったからだ。

    

磯村演出の特色は速いパス回し。
今回も小気味いい台詞のパスが
根来美咲の舞台美術というピッチ上で
展開されたが、山田にのみ
ボールを長く持つことが許され、
それがまた作品全体のリズムに
良い意味でアクセントをもたらした。

あ、もう一名。
コメディリリーフのポジション・
近くの蕎麦屋のおばさん役の
谷田川さほにも、勿論、
自由にボールを持つことは許された。

話が前後するが『父~』の舞台は
城崎温泉のとある旅館であった。

それぞれの事情を抱えながらも、
外湯めぐりを楽しんだりもする
個性豊かな登場人物たち……。

そしてまた。
客席の僕達も温泉に浸かったような
ほっこり感にひたることの出来る
約一時間四十分の「旅」になる。

22日(日)まで俳優座劇場。



作品とは直接関係ないけれど。
舞台となった城崎温泉のロケハンを
演出家と美術家は行っている。
日本演劇界の未来に欠かせない
アーティストである二人は、
日本屈指のおもろい夫婦でもある(笑)。

弾丸ツアーとなった多忙な二人の、
恐らくは珍道中になったろう旅は
また別の素敵な芝居になったかも
……などと帰路に思った。
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第三帝国の恐怖と貧困

2015年03月19日 | 鑑賞
東京演劇アンサンブル
創立60周年記念公演3
『第三帝国の恐怖と貧困』は
とてもエレガントな仕上がり。
そして猛烈にアンサンブルらしい舞台だ。

構成・演出の松下重人が大きな仕事をした。

生え抜きの選手を適材適所に配し、
札束にものを言わせて補強する
ビッグチームにジャイアントキリングを
喰らわせるプロのクラブ。
セレクションで生徒を集めた強豪校に
チーム一丸で番狂わせを起こす公立校。

そんなチームの清々しさ、力強さを
3時間の舞台からひしひしと感じた。

22日まで。拠点のブレヒトの芝居小屋。
必見の「演劇」だ!

※※※

広渡常敏という巨人の育んだ劇団の、
節目の年の演出を担ったのは、
小森明子、公家義徳と松下の三人。

2006年に逝った広渡の「思い」を、
それぞれに継承し、また新味を加え、
ドイツの戯曲三本に取り組んだ。
おっと。
演劇は一人の力では紡げない。
「猛烈にアンサンブルらしい」と
書いたが、劇団力が半端ない集団だ。
今回の『第三~』でも如何なく発揮され、
そこに身震いし、また少々笑った。
それはTEEが持つあるコケティッシュさ。

本来の「艶かしい」「蠱惑的」ではなく、
日本的な解釈「ユニークな可愛らしさ」
「独特なキュートさ」としての
コケティッシュさに微笑む場面が沢山あった。

1945年にベルトルト・ブレヒトが発表。
タイトルからも明確な内容だ。
「70年前の戯曲だが今を射抜く舞台」
と謳い文句では書かざるを得ないし、
実際、確かに現在の日本を照らしてはいる。

東京演劇アンサンブルという「個性」から
その「表明」のボルテージは強く、
観客の中には違和感を覚える人もいよう。
ただ、そんなことは。
太陽が東から昇るように明らかで、
そんな目と60年堂々と対峙してきた劇団だ。

やや遠回りになったけれど。
社会的であり、告発的である芝居の、
その先というか、凌駕して余りある
「ひとつの演劇」としての魅力に
めちゃめちゃ溢れた総合芸術として
松下版『第三~』は素敵だな~と、
個人的に思いました・・・とさ。


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飯田橋のメッカ

2015年03月17日 | 身辺雑記
『十二夜』劇場入りの前日だから、
東京に冷たい雨の降った三月九日。
先週の話になるがACFの会合があった。
制作チームの集まりで……これ以上は
まだオフレコにしておきましょう。

顔を揃えたのは飯田橋駅。
隣の水道橋駅には東京ドームがあるが、
さて飯田橋となると……まずは神楽坂。
警視庁の遺失物センターもある。

そんな飯田橋に今度は東京メトロの
「お忘れ物総合取扱所」が上野から
移転してくると大きく告知されている。


これで一気に忘れ物のメッカだ。

《なくしたものがメッカっていいだばし》
なんて無理矢理なキャッチ誕生か?

飯田橋は山手線の内側で、かつ
中央総武線の中間辺りに位置して、
さらに東京メトロの東西線、有楽町線、
南北線と、都営大江戸線……なんと
五つもの路線を有しているわけで、
なるほど遺失物の取扱所には
相応しいのかもしれないな~。

余談ですが・・・
JRと東西線の所在地は千代田区、
有楽町線、南北線は新宿区、
大江戸線は文京区と三区に跨ってます。

JR七路線、メトロ二路線が乗り入れる
超巨大ターミナル上野駅※は
城東の方々には便利だけれど、
地図的にいえば、やや右上に過ぎた。

※新幹線、山手線、東北本線、宇都宮線、
高崎線、京浜東北線、常磐線(以上JR)
銀座線、日比谷線(以上東京メトロ)



電車の網棚にバックや上着を置き、
座席で本を読んでいたりすると、
つい熱中して「あ、降りる駅だ」と
慌てて飛び出して「やっても~た~
と、よくやってしまう私である。
飲食店のカウンターの下の
小さな荷物置場に忘れることも
しばしばだ。ただ大概戻ってくる。

きっと飯田橋の総合取扱所に
お世話になることもあるだろう。
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