旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

初マラソン初優勝のさわやかさーー中村友梨香さん

2008-03-10 21:47:28 | スポーツ

 

 昨日の名古屋国際マラソンの優勝者中村友梨香が、北京五輪代表最後の枠にすべり込んだ。初マラソン初優勝という新顔の登場で、女子マラソン界はまた厚みを増したことになるのだろう。それよりも、この初顔の清々しさが印象に残った。
 まず、初マラソンの印象を聞かれた優勝インタビューに対し、「マラソンって、沿道にこんなにたくさん人がいるのかと驚きました」という発言が初々しかった。おそらく彼女の名前はそれほど知られていなかった筈で、名指しの応援は少なかったに違いないが、ただ「頑張れ、頑張れ!」という声援を大きな支えにして走り続けたのだろう。
 プレッシャーについての、「はじめてが一番プレッシャーなく走れる。何度も走っている方がしんどいのかなあと思った」という応えも初々しかった。この無欲の挑戦が(もちろん彼女も勝ちたいと思って走ったのだが)勝利をもたらしたのかもしれない。
 彼女も勝ちたいと思っていたことは次の発言で明らかだ。
 「五輪はいつか出たい大会・・・、選考会に出られてよかった。これで(五輪に)近づいた」
選考会に出られたこと自体を喜びとし、それによりやがての夢五輪出場に近づいたことを素直に喜んでいることがほほえましかった。
 初々しさの極めつけは、一夜明けた今朝のインタビューでの発言であった。それは、
 「ゴールの仕方がダメでした。みんなもう少し笑顔でゴールしているが、余裕がなくて考えられなかった」

 私は告げたい。「中村さん。百戦錬磨の選手が、作ったような笑顔でゴールする姿より、力を出し切り、苦痛にゆがんだ貴方の顔の方がはるかに美しかったよ」と。

 期待された高橋尚子選手は想像以上に不振であった。半月板の手術による不十分な練習で身体が動かず、彼女は「こうまで体が動かないのか・・・おかしいな、夢かな・・・」と思ったと言う。
 時代は常に動いている。ここにもまた新しい世界が現出しているのである。
                            


投票ボタン

blogram投票ボタン