![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/a6/b65ec694f1fe6a66dfdb00d1c8f0e1a5.jpg)
ヨーロピアン・ジャズの極北。ポーランドが世界に誇るピアニスト兼作曲家、故クシシュトフ(クリストファー)・コメダが63年にデンマークで吹き込んだアルバムです。過去にNormaからも編集盤がリリースされていたMuzaの初期音源と、一部ではヨーロピアン・ジャズの金字塔と謳われる65年のAstigmaticの間を繋ぐミッシング・リング的作品で、おそらくLPとしては彼の初リーダー作。地元デンマークからボッチンスキー(tp)、スウェーデンからルネ・カールソン(ds)、そして同郷ポーランドからヤン・ヴロブレフスキ(ts)とロマン・ディラグ(b)を迎えたインターナショナル・クインテット(但しボッチンスキーはA面のみ参加)によって製作された一枚です。A面いっぱいを使って収録された組曲形式のタイトル曲もそれなりに悪くはないものの、最大の聴きものはB-1のCrazy Girl。61年にスウェーデンのテナー奏者ベルント・ローゼングレンと共に吹き込んだワルツ曲の再演です。オリジナルの演奏はEP収録ということもあり、ほとんどローゼングレンのテナー・ソロのみの短尺曲なのですが、ここではそれを12分の大作に再構成していて、それが何だか凄いことになっています。特にメロディーをリードするヴロブレフスキには圧巻。自身のポーリッシュ・ジャズ・カルテットではロリンズ風の保守的なプレイに徹していた彼が、ここではなんとコルトレーンばりのシーツオブサウンドを展開していて、それがまた本家にも負けないくらいバッチリと決まっているのだから驚愕です。後のAstigmaticでのナミスロウスキ辺りにしてもそうですが、コメダの持つミュージシャンの引き出しを開けるスキルとセンスはやはり尋常ではありません。もちろんリズム隊2人のプレイも最高。コメダの手腕により自身の潜在能力限界まで高められた最高の演奏が思う存分堪能できます。元々のプレス数自体も少ないのか、盤自体のレアリティーもかなりのものですが、是非一度は聴いてみてください。ちなみに最後に件のボッチンスキーに関して少しだけ触れておくと、ここでの彼のプレイは正直それほど目立ったものではありません。一応タイトル曲にて若干の見せ場はあるものの、それも一瞬(時間にして約20秒)で終わるので、彼のプレイ目当て「のみ」での購入は控えた方が賢明だと思います。最も他の4人が充分すぎるほど素晴らしいので、個人的には全く問題は感じませんが…。真の欧州ジャズ好きにお薦めの一枚です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます