At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Jazz Jamboree 62 Vol.3 / Various Artists

2007-05-29 | Hard Bop & Modal
60年代初頭よりワルシャワで行われていたフェスティバルがこのJazz Jamboree。当時の東欧としてはかなりの規模のジャズ祭だったようで、自国ポーランドのミュージシャンのみならず、毎年のように周辺のヨーロッパ諸国から様々なゲストが参加していたそうです。本作はその様子を収めた同名の実況録音シリーズの内の一枚。全部で5枚ある62年度録音作の中のVol.3です。先日も紹介したEje ThelinのリーダーによるVol.2が一番人気ですが、何気にこのVol.3の方も侮れない内容。デンマークのヴァイブ奏者Louis Hjulmandが地元ポーランドのリズム隊とセッションした演奏が3つ、ソ連のピアニストVadim Sakunによるセクステットでの演奏が2つ収録されているのですが、いずれの曲も相当に水準が高めのものとなっています。特にVadim SakunらによるA-1のFast And Goodは、高速4ビートで迫るバピッシュで圧巻の出来栄え。おそらく何も知らずに聴いたら、これが60年代のソ連作品とはとても思わないことでしょう。バッソ=ヴァルダンブリーニらのアグレッシヴな演奏に、少しだけ東欧産の刹那感を振りかけたかのような名演です。テーマ部もさることながらソロ回しが最高。欧州ジャズ好きの心を掴まえて離しません。ニコラ・コンテのOther Directionの雰囲気が好きならばきっと気に入るはずです。また、一方のLouis Hjulmandはと言うと、A-3のSlordansがとびきりモーダルなワルツ・ジャズ。タイトに刻まれる高速3拍子の上で揺れるヴァイブとセンチメンタルなピアノの音色に、誰もが一瞬で耳を奪われること間違いなしだと思います。イギリスのLondon Jazz FourによるA Hard Day's Nightを若干テンポアップさせたような雰囲気で、個人的にはこれまでに聴いたこの人の演奏の中で一番好き。あまりどこにでもあるような類のレコードではありませんが、もし見つけたら是非聴いてみてください。ユーロ・ジャズの隠れ名作です。
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re-mode club jazz digs / Yasuko Agawa

2007-05-28 | Club Music
久々にクラブ系の新譜CDから紹介。須永辰緒氏監修による阿川泰子のリミックス集です。この手の企画盤、最近は以前ほど見かけなくなりましたが、やはり個人的にはどうにも食傷気味…。Punch The Monkeyの頃は企画自体が新鮮だったので、それなりに好きだったんですけれどね。とは言え本作の場合は参加メンバーがメンバーなので、この辺りのNu Jazz人脈のファンならば、とりあえずチェックしてみても損はないかもしれません。何せNicola ConteやThe Five Corners Quintetを筆頭に、ここ数年で著しく知名度を上げた「その筋」の豪華リミキサー陣がズラリ。参加メンバーを見ているだけで、ファンなら自然と胸がときめいてくるはず。と言うか、恥ずかしながら僕はときめきました(笑) そのNicola Conteが手がけたM-1のSend One Your Loveは、いつも通りの生音コンボ(ただしFabrizio Bossoは抜き)で演奏されるスムースな高速バップ・ナンバー。相変わらず抜群に格好いいです。しかも上ネタ(と言うか阿川のヴォーカル)がS.Wonder作のミラクル・メロディー。これはズルい。こんなの聴いて盛り上がらないわけがありません。収録曲中で一際Nu Jazz度の高いM-4のSkindo-Le-Leも最高。Gerardo Frisinaの名義になっているものの、実質手がけているのはPaolo Fedreghini & Marco Bianchiで、彼らのアルバムに近いダークな作風になっています。中盤のヴァイブ・ソロが気持ちいいですね。続くM-5のSome MorningはCalmによるディープなコズミック・ソウル。反復の美学を存分に堪能出来る名リミックスと言えるのではないでしょうか。フリーソウル風味のM-6、Surrender(Azul)もダンサンブルかつどこか懐かしくて良い感じ。そして締めを飾るM-11のWhen The World Turns Blueは須永氏自身によるセンチメンタルな高速バップ。毎度のことですが、太宰百合さんの女性的なピアノはこの手の切ない曲に、本当に良く似合いますね。幾ら食傷気味とは言え、何だかんだでアナログが出たら買ってしまうんだろうなぁ…。
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Drum Spectatcular / Kenny Clare&Ronnie Stephenson

2007-05-23 | Hard Bop & Modal
モダンジャズ・ドラマーの開祖として広く知られるケニー・クラークと非常に良く似た名前のケニー・クラール氏が、1966年に英Columbiaレーベルに吹き込んだ隠れ名盤。イギリス出身のドラム奏者ロニー・ステフェンソンを相棒として向かえた一枚になっています。クラールもドラマーなので編成としては2ドラムですね。やや変わった編成ではありますが、これが意外にも気持ちよく、派手に唸るビッグバンドと相まり、非常に豪快かつグルーヴィーな仕上がり。おまけに収録されている楽曲自体も、管楽器のアンサンブルを主体としたゴージャスなものが多いので、おそらくクラブ映えも抜群かと思われます。それもそのはず、それほど名の存在が知れた人ではないものの、このロニー・ステフェンソンと言う人、実はあのカー兄弟のEmcee Fiveで派手なドラムを叩いていた人物。さらにビッグバンド全体の指揮を執るのがタビー・ヘイズらと来れば、このゴージャスな展開はある意味で必然と言えるでしょう。ただ、いかにサウンドが派手とは言え、そこはあくまで紳士の国イギリスのこと、もちろん上品さも忘れてはいないのでご安心を。曲単位で僕が最も気に入っているのは、A-4に収録されたThe Hawk Talks。以前ニコラ・コンテがタビーを評して使っていた表現を借用するならば、これぞ正に素晴らしきスウィングへの挑戦と言ったところでしょう。A-1のタイトル曲なども同系統で格好いいですね。ちなみにA-3のCaravanは夜ジャズ<裏>にも収録されていました。また、2人のドラマーだけで演奏するB-6、Talkin' About Drumsなどという曲も入っていて、これがまたなかなかに面白くて良い感じです。なお、ここに掲載しているのは、EMI傍系Music For Pleasureからリリースされた2ndプレスのもの。オリジナルとはジャケットが違います。でも個人的にはこちらのジャケの方が好み。値段も随分リーズナブルですし。
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At German Jazz Festival 1964 / Eje Thelin Quintet

2007-05-17 | Hard Bop & Modal
スウェーデン出身の名トロンボニストとして割と良く知られるEje Thelinが、1964年に独フランクフルトで行ったライブの模様を収めた一枚。Metronomeが原盤ですが、僕が持っているのは最近リリースされたDragonからの復刻CDです。ちなみにオリジナルとはジャケも違うので要注意。60年代後半以降フリー・ジャズへどっぷりと浸かってしまう彼も、本作の時点ではまだオーセンティックなモダンをやっているので、フリージャズがからきしダメな人でも普通に聴けるかと思います。同郷であり同じくトロンボーンを演奏するLars Lystedtと比較されがちですが、基本的にはこのEje Thelinの方が僕は好み。例の人気曲The Runnerのようなキラー曲こそ収録されていないものの、全体を通してジャズIQ高めの演奏が堪能できるので、プレイ云々抜きに長く聴ける盤としてオススメ出来るのはこちらですね。ニコラ・コンテが以前チャートに挙げていたM-1のThe OpenerはThelinのオリジナル曲。同じトロンボニストであるフュラーからインスパイアされたと思われる曲で、高速4ビートで演奏されたアグレッシヴなモーダル・バップになっています。使いようによってはフロア対応も可能かもしれませんね。個人的に気に入っているのは、ラース・ショーステン作によるM-5のGasoline, My Beloved。どこか背徳感を煽る不穏なテーマと、モーダルに展開される各ソロが良い感じです。要所で見せるラテンなドラミングも気持ち良し。ライブ録音と言うこともあって、全体的に前作So Farより冒険度の少ない無難な仕上がりではありますが、あまり深く考えずに聴くのには、逆にこれくらいの方がちょうどいいのかもしれません。とは言え、オリジナルのLPは決して安い盤ではないので、まずはこちらのCDで一度お試し下さい。多分まだ普通に買えるはずだと思いますので。
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Desenhos / Vitor Assis Brasil

2007-05-17 | Brasil
ボサノバのKind Of Blue。ブラジルが誇る孤高のサキソニスト、Vitor Assis Brasilによる66年Forma盤です。この後、徐々に精神世界の住人となり、80年代に至るまで作品を残すことになる彼。ややジャズ度の増した次作のTorajetoも悪くないですが、やはり一枚選ぶとなると本作を置いて他にありません。それくらい圧倒的な完成度を誇った素晴らしい一枚です。正にブラジルにおけるトップ・オブ・モーダル。クラブ世代向けのガイドでは、スリリングな高速ジャズ・サンバであるA-1のNaquela Baseが良くピックアップされていますが、個人的には本作の真の魅力はその他に多数収録された、とびきりモーダルな名演群にあると思います。たとえばA-2のDevaneio。真夜中の海辺を思わせる浮遊感と、胸を締め付ける切ないアルトの音色が印象的な美しい曲です。A-5のFetico Da Villaは自作のコンピでもラストに収録した曲。こちらは真夜中を通り過ぎ、少しずつ朝焼けに近づいていく午前4時頃のイメージでしょうか。やはりヴィクトールが吹くアルトの音色が素晴らしく、ある種の感動すら覚える名演に仕上がっています。B-2のAmor De NadaとB-3のEugenieは、共にワルツ・タイムの極上ジャズ・ボッサ。特に後者におけるテノーリオ・ジュニオールのピアノ・ソロの美しさの前では、ただただ溜め息しか出ません。自らのリーダー作であるEmbaloとは異なり、全編通して一貫してサイドに徹している彼ですが、そこもまた本作の魅力の一つ。バピッシュで力強いタッチが人気な彼の、普段とは異なるモーダルな一面が垣間見れることでしょう。唯一Embalo収録曲に近い雰囲気を持つ高速ジャズ・ボッサ、B-9のMinha Saudadeにおいても、ヴィクトールの翳るアルトに引き寄せられるかのように、哀愁度5割増しのピアノを展開していて興味深いです。とにかく全編通して捨て曲一切なしの、間違いなく後世に残る名盤。一刻も早い復刻を心から望みます。
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Throw Me A Bone / Rob Galbraith

2007-05-12 | Free Soul
白人シンガーソングライター、Rob Galbraithによる76年の2ndアルバム。この辺りのミュージシャンやジャンルは詳しくないので分からないのですが、一応スワンプ・ロックという位置づけになるのでしょうか。ただ、一般にイメージされるスワンプに比べ、音楽的にもう少し洗練された仕上がりになっているので、僕みたいに土臭いのが苦手な人でもわりと普通に聴ける一枚です。Dream Makerで有名なKyle辺りに似た雰囲気。こちらの方がもう少しファンク度高めですが、何というか全体を包む空気感に近いものを感じますね。B-1のDamn It AllやB-5のInspire Meのような、テンポ遅めのアーシーな曲が良い感じ。どこか自然を感じさせる雰囲気が個人的に気に入っています。ただ、やはりA-1のJust Be Youが絶対の名曲でしょう。全収録曲中で、何故かこの曲だけ際立ってポップ色の強いアレンジになっているのですが、フリーソウル・ファンとしてはこれで正解。軽快なテンポで疾走するライトメロウなブルーアイド・ソウルで、昔流行ったこの辺りの爽やか系AORの中でも屈指の一曲になっています。黄昏の浜辺をイメージさせるイントロから既に完璧。どこまでも気持ちよく伸び上がる歌声、終盤になるに連れて徐々に込み上げていくトロピカルなアレンジ、そしてサビで見せる確信犯的なメジャー・コードへの転調と、どこを切り取っても非の打ち所がありません。Coke EscovedoのI Would Change A Thingを、もう少しだけ黄昏仕様にしたような質感で、橋本徹さんが以前よく使っていたミラクル系(笑)フリーソウルの典型的な一曲。これからの季節のドライブ・ミュージックにも最適かと思います。ただ、これまで再発がリリースされていない上、オリジナルのアナログも何気にレア。最近はチラホラ見かけるようになりましたが、見つけたところで結構良い値段も付いてます。RCAというメジャー系レーベルからのリリースなので、CD時代になって一度くらい再発がされてても良さそうな気がするのですが…。
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Vagamente / Wanda

2007-05-12 | Brasil
押しも押されぬクラシックなので、今さら紹介するのも気が引けるのですが、なんとなく最近の気分なので紹介。後にブラジル65のヴォーカリストとしても活動することになるワンダ・サー嬢の初リーダー作にして、60年代ブラジルが誇る永遠の金字塔的一枚です。いわゆる「ギター片手に弾き語り」という類の作品ではないので異論はあるかもしれませんが、個人的には本作が醸し出す世界観がボサノバの究極の形。(本来の意味での)ボサノバでオススメのアルバムを一枚挙げるとしたら、僕の場合、真っ先に頭に思い浮かぶのはG/9 Groupと本作でしょう。どちらも主役のヴォーカルもさることながら、それ以上にバックの演奏が非常に素晴らしい作品です。さて、そんな本作においてバックを務めるのは、ストリングス入りのオーケストラを1組含む計4組の別バンド。一枚のアルバムでこれだけ頻繁に演奏陣が変わるのに、全体の雰囲気がしっかりと一つに統一されているのがまず凄いですね。その4組の中で個人的に特に気に入っているのは、ルイス・カルロス・ヴィーニャスとテノーリオ・ジュニオールがリーダーを務める両コンジュント。曲単位ならばM-2のE Vem O SolとM-12のタイトル曲が好きです。前者はルイス、後者はテノーリオが中心となって演奏されるプレイですが、同じピアニスト中心のコンジュントでもリーダーによって微妙に音色に差が出るところが面白いですね。柔らかいタッチでわりと前面に出るルイスに対して、主役の座をホーンに譲りリズム隊に徹する職人気質のテノーリオと言ったところでしょうか。2人の音楽に対する姿勢の違いが伺えます。そう言えば本作は、Os CobrasのO LPやEdison Machadoの1st、それからVictor Assis BrasilによるDesenhosらの作品と並び、テノーリオのプレイが聴ける数少ない盤のうちの一つとしても知られていますね。あくまで裏方に徹しているため、ここに挙げた3作や自身のリーダー作に比べ遥かに地味な演奏ではありますが、ファンならば聴いておいて損はないかと思います。と言うより、それでなくても上にも書いたとおりボサノバ究極の一枚なので、真の音楽好きならば一度は耳を通してみてください。幸せな午後のひと時を約束します。
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You've Changed / Fabrizio Bosso with Strings

2007-05-11 | Contemporary Jazz
このところ旧譜系が多かったので、久々に最近の新譜から紹介。コンテンポラリーなジャズ・シーンにおいて最も重要な人物の一人、イタリアのトランペッターであるファブリツィオ・ボッソが先日リリースした新録盤です。クラブ界隈ではニコラ・コンテのお抱えバンドのフロントマンとして有名な彼ですが、実はモダン志向がより強い自身名義の作品もコンスタントにリリースしていて、本作もそんな作品群のうちの一枚。リリースは正確に言うと伊EMIからなのですが、ニコラのOther Directions同様に、一応ブルーノートによるオフィシャル作品と言うことになるようです。普段わりとバップ色強めの激しい演奏を展開する彼としては珍しく、全面的にストリングスをフィーチャーした室内音楽的作品になっていて、個人的にはなかなかに興味深い内容でした。なんとなく往年のイタリアン・チネ・ジャズを彷彿させる上品な演奏が良い感じ。中でもM-4に収録されたSenza Fineが、壮大なスケールで展開されるモーダルなジャズ・ワルツで最高です。おそらくヨーロピアン・モーダル好きならば、イントロ2秒でこの曲の虜になるはず。ゲストのStefano Di Battistaによるソプラノとのコンビ・ワーク、そして全面的に配されたストリングスの音色が、どこまでもエレガントなユーロ・ジャズ特有の世界観を作り出しています。また、収録曲中で唯一ストリングスが入らないM-9のJoyful Dayも素敵。若干ラテンがかったドラミングが、まるでケニー・クラークのようで気持ちいいですね。そして地味な曲ではありますが、M-7のRio De Majoもある意味ブラジリアン・フュージョン風な、きらきらした仕上がりになっていて気に入っています。夜眠る前の子守唄にぴったりと言ったところでしょうか。なお、他の曲も全体的に悪くないので、興味のある方は是非聴いてみてください。ブルーノートらしいこのジャケット・ワークを見たら、ついつい買ってしまいたくなることでしょう。ちなみに今月末には国内盤もリリースされるようですよ。
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In Europe / Brew Moore

2007-05-06 | Hard Bop & Modal
40年代から活動を開始したミシシッピー生まれの白人テナー奏者、ブリュー・ムーアが62年にコペンハーゲンにて吹き込んだ一枚が本作。原盤はデンマークのDebutですが、後にアメリカ本国でもFantasyから発売されています。デンマーク時代のサヒブ・シハブが参加しているため、若い世代のファンからも人気のある一枚ですね。ただ、彼は全ての曲でプレイしているわけではなく、あくまで2曲だけのスポット参加なので、シハブ目当てで購入を考えている方はご注意を。本作の目玉はどちらかと言うと、当時15歳のペデルセンによる神業ベース捌き。これがとにかく全編に渡って素晴らしいです。おそらく同時期に録音されたSahib's Jazz Partyと並んで、60年代における彼の最高傑作の一つなのではないでしょうか。ワン・ホーンで疾走するA-1のErgoから、もう尋常ではないくらい格好いいベース・プレイが堪能できます。また、いつものことですがアクセンのピアノもペデルセンに負けず劣らず最高ですね。もちろん先日Ricky-Tickのコンピに収録されたB-3のPigerも素敵。シハブによる冒頭の強烈なソロに隠れてしまいがちですが、ここでも実は陰の主役はペデルセン。ブンブンと豪快に唸りながら堂々とリズムを取っていく様は、とても15歳の少年のものとは思えません。ルイス・ユルマンドがヴァイブでスポット参加したB-3のRend A Hop辺りも、ダニッシュ・ジャズらしいバピッシュな高速4ビートで良いです。と言うか基本的に全曲が水準以上ですね。名義としては一応ムーアのリーダー作となっていますが、単純に60's初頭のダニッシュ・ジャズの傑作盤としてオススメしたい作品です。ちなみに僕が持っているのはTrioからリリースされた国内盤。オリジナルとは異なり、ジャケットがモノクロ仕様になっています。でも、個人的にはこちらのモノクロ写真の方がジャズらしくて好み。ちなみに現在は廃盤らしいですが、Svinget 14というタイトルでCD化もされているようです。CD派の人はそちらでどうぞ。
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Jazz Trio / Lou Stein Trio

2007-05-05 | Contemporary Jazz
フィラデルフィア生まれのベテラン・ピアニスト、ルー・ステインがJumpというイタリアのマイナー・レーベルに残した一枚。LPの方に年代の記載がなく、また彼のディスコグラフィーからも漏れていた作品なので詳細は分かりませんが、おそらく70年代辺りに録音されたレコードなのではないかと思います。ちなみにサイドを務めるベースのミルト・ヒントンと、ドラムのマウジー・アレキサンダーも、それぞれアメリカ出身。もしかしたら当時のレギュラー・コンボだったのかもしれません。作品としては良く洗練されたラウンジ・ジャズの小品集と言ったところで、取り立てた派手さは別段ないものの、全体的に雰囲気の良い一枚に仕上がっています。参加メンバーは全てアメリカ出身なものの、リリースがイタリアからと言うこともあり、作品から醸し出す空気はヨーロッパの正統派なトリオ作品風。おそらくメンバー全員が白人だと思うのですが、どことなくヨーロッパを感じさせるのは、その辺りも関係しているのかもしれませんね。A-5のGladはずいぶん前にイージー・テンポのコンピに収録済み。ただ、個人的には他の曲の方が断然気に入っていて、たとえばB-2のMy Funny ValentineやB-4の自作曲The Ballade辺りのバラードで見せるプレイが絶品。あまり詳しいことは分かりませんが、こういうのをエヴァンス派のピアノと言うのでしょうか。クラシック音楽の素養を感じさせるIQ高めのソロが耳に気持ち良いです。そして絶対の名曲はB-5のSomething。少しボサノバを感じさせる軽いタッチのドラミングが印象的な、極上のワルツ・ジャズです。澤野工房からリリースされているヨーロピアン・ジャズの諸作や、Jazz-Hip Trio辺りにも近い日本人好みの雰囲気。クラブで使えるような類のレコードでは決してありませんが、たとえば真夜中のラウンジや午後のリビングで音量を押さえて聴くには最適な一枚かと思います。聴いていると自然と幸せな気持ちになる小品集。カフェ・アプレミディ辺りのファンにもオススメです。
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