At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Dogorodon Jhan / Jadoes

2014-01-26 | Japanese AOR
ダンス☆マンこと藤沢秀樹が参加していたことで知られる和製ソウルファンクバンドがこのジャドーズ。元々の出自がお笑いグループなのにもかかわらず、音に向かう姿勢は至って真面目で、あいにくセールス的には振るわなかったものの正統派のJ-AORサウンドを聴かせてくれる稀有なバンドです。本作はそんな彼らが敬愛する角松敏生の元を離れ、初のセルフプロデュースに挑戦した1990年の作品。冒頭から増山江威子をナビゲーターとして登場させ、誰でも知ってる「猿みたいな大泥棒」を昔の恋人呼ばわりさせるというちょっとした仕掛けはありますが、いざ演奏が始まってしまえばすぐに角松から受け継いだ都会的な夜のサウンドが展開されます。注目はなんといってもM-4の「東京プラネタリウム」。彼らのナンバーの中でも2ndに収録されたStardust Nightと並ぶJ-AOR屈指のミディアムメロウで、開始数秒を聴いただけで抜群の夜感が伝わる名曲です。夜の首都高速をドライブしているときにラジオからこんな曲が流れたら、なんだかとても幸せな気持ちになることでしょう。今から10年ほど前にクラブ界隈でヒットした流線形の「東京コースター」もそうですが、この「東京○○」というタイトルがまず秀逸。2014年の感性で聴くと、このどこかバブルの面影を感じるノスタルジックな雰囲気がたまりません。まだ僕がとても小さかったころ、色々と旅行に連れて行ってくれた大人たち(=たぶん今の僕と同い年くらい)のカーステから流れていたのがこんな雰囲気の曲だったのを微かに思い出します。おそらくLPはリリースされておらずCDのみですが、別にレアな作品というわけではないのですぐに見つけることが出来るはず。どこでも買える安くて良質な作品なので、気になる方は是非聴いてみてください。
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Sweet Sugar / 宮本 典子

2014-01-25 | Japanese AOR
どうも、少しお久しぶりです。先週『add-o-rama』のイベントに参加した後、若干体調を崩し更新が遅れていました。この手のイベントは久しぶりでしたが、個性的な皆様に出会えて非常に楽しかったです。機会があればまたよろしくお願いいたします。さてさて、そんなわけで今日のLPは前回イベント時にもかけた一枚。界隈では有名な早すぎたソウル・ディーヴァ、宮本典子による1984年の作品です。本作、名義こそ宮本典子のものですが実態はフュージョン系バンドのネイティブ・サンで知られる本田竹広(key)を中心としたバンド「本田竹広&ブレイクアウト」の作品としての色合いも濃いようで、彼女の作品の中ではやや異色。以前紹介した「Noriko」のような作品とは異なり歌謡色は薄く、後の結婚相手である中平エイジ(b)のオリジナル曲含め、全ての楽曲が全英語詞によるナンバーになっており、ある意味「日本人の手で作られた洋楽」チックな一枚となっています。人気のB-2、Umi(Suddenly Last Summer)はサザンオールスターズによる和製AOR「海」のカバー。どことなくLemuriaあたりのコンテンポラリー・ハワイアンに通じるサンセットメロウな一曲で、本場のAORと比べても遜色ない素晴らしい演奏を聴くことが出来ます。その他の楽曲でAOR色が強いのは冒頭A-1のAnother Lover。程よく跳ねるリズムと鮮烈なホーンアレンジ、ライトメロウでソウルフルなmimiの歌唱が印象的な佳曲です。ブロウ・モンキーズのIt Doesn't Have To Be This Wayあたりによく似た質感なので、あの手の跳ね系ナンバーが好きな人ならおそらく気に入ることでしょう。ちなみに本作、昨今の再発カタログからは漏れているようですが、どうやら当時CD化されているようなのでCD派の人はそちらを探すのが良いと思います。いわゆるシティポップスの音ではないので和モノ系オンリーのファン向けではないと思いますが、洋楽AORが好きならきっと好みなはず。興味のある方は是非聴いてみてください。
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イベントのお知らせ『add-o-rama』 vol.4

2014-01-19 | Weblog
突然ですが告知です。

このブログにも時々コメント頂いているariさんのご縁で、以下のイベントに参加させて頂くことになりました。
************************************
2014.01.19(日)17:00~23:00
『add-o-rama』 vol.4
高円寺 コネクシオン charge \ 0-

DJs
ari (antsvillage)
大竹哲弥
くらっきん (Mellow & Groove Station)
くり (At The Living Room Reloaded)
GEN
さかたコーチ
志田一穂
junpee (Soft,Smooth & Sensual)
中村慶 (disques blue very)
************************************

正直この手のイベントは自分が参加するどころか、遊びにいくことすら数年ぶりなので楽しみにしながらも非常に緊張しています。そもそも機材うまく触れるかどうか。。。

普段ここで紹介しているような雰囲気の曲をかけてみたいと思いますので、良かったら是非遊びに来てください。ではでは、よろしくお願いします。
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Love / So Nice

2014-01-14 | Japanese AOR
シュガーベイブついでにこちらのアルバムも紹介。何年か前に界隈で話題となった1979年の自主制作系シティポップ作品です。再発された際には各ショップこぞってリコメンドしてたので、内容は知らなくてもジャケットに見覚えのある人は多いでしょう。バンドの生い立ち等については既に各所で紹介されているほか、再発時に付いていたライナーにも詳しく記載されているため、ここで今さら書くことはありませんが一言だけ。日大藝術学部のフォークソングクラブに所属していた大学生たちが、紆余曲折を経て卒業記念的に作った作品ということを考えれば、おそろしく完成度の高い一枚です。いわゆるアマチュア作品として本作を評価するならば、超一流の作品であるということに異論のある人はいないでしょう。ただ、それはあくまでアマチュアの世界での話。当時ほぼ自主で200枚しかプレスされていないことを考えると、たしかにシティポップス幻の傑作であることに間違いはありませんが、だからと言ってプロの世界で一流として通用するほどの作品かどうかと問われると、それはまた別の話でしょう。単に各所で絶賛されている紹介文だけ読んで聴く前に期待値のハードルを上げ過ぎると肩透かしを食らうので、努々そこの勘違いだけはしないようにご注意ください。収録曲中では冒頭からシュガーベイブのフォロワー感たっぷりでポップに弾けるA-2の「光速道路」、藤丸バンドあたりに似た質感でライトメロウなB-1のLove Sick、それから三連リズムでしっとり歌い上げるB-4の「別離<わかれ>」あたりが聴きどころ。ちなみに最近ではCD/LPでのリイシューのみならずitunesで配信もされているみたいなので、気になる人はまずそちらで聴いてみるのが良いと思います。
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貿易風にさらされて / マザー・グース

2014-01-13 | Japanese AOR
昨年の11月にディスク・ユニオンから「昭和歌謡ジュークボックス」シリーズの1枚として再発された、女性3人組グループによる1977年のシングル盤。この作品リリース後に彼女たちは解散してしまうため、本作が最終作ということになります。いまいち垢抜けないジャケットが購買欲を削ぎますが、山下達郎の初プロデュース作品ということで人気は高く、また両面ともオリジナルアルバム未収ということで、その筋では結構な値段で取引されている一枚。おまけに演奏は細野晴臣(b)や鈴木茂(g)、坂本龍一(key)を始めとした当時のシティポップス第一線で活躍していたメンバーです。黄昏時を思わせるフォーキーメロウなB面の「マリンブルー」も良いですが、やはりここはA面の表題曲が一押し。元々は彼女たちの1stアルバム「インディアン・サマー」に収録されていた素朴な曲なのですが、ここでは山下達郎のリアレンジによりまったく別曲といってもいいシティポップスに生まれ変わっています。年代的なこともありソロ時代よりもシュガーベイブ時代に近い作風で、特に出だしの雰囲気はアルバム「Songs」の冒頭を飾った「Show」とそっくり。「Songs」で大貫妙子がメインヴォーカルを務める3曲は、いずれも作詞作曲含め彼女自身が主導で作り上げた作品であるため、達郎サウンドによる女版シュガーベイブという意味では本作が唯一無二だと思います。いわゆるAORとは少し趣の異なる音ですが、筋金入りのポップスマニアならきっと楽しめるはず。なお10年近く前に彼女たちのアルバム2枚が紙ジャケCDでリイシューされたことがあり、本作収録の2曲はその2枚の紙ジャケCDにそれぞれ1曲ずつ収録されています。既に廃盤になってしまっているため中古市場では高値が付いてしまっていますが、CD派の人はそちらを探してみると良いかもしれません。
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南風 / 北原 理恵

2014-01-07 | Japanese AOR
元々は日活ロマンポルノ女優にして1980年にデビューし、後に歌手→作家と活躍のフィールドを移した北原理恵という女性アーティストによる1984年のLP。僕自身まったく存じ上げなかったので、おそらくこの人自身の一般的な知名度は微々たるものかと思いますが、このLPに関しては意欲作/珍作として一部マニアの間でその存在を知られているようです。内容的には最近の言葉で言うところのいわゆる「ラグジュアリー歌謡」。「イパネマの娘」や「おいしい水」などのボサノバ有名曲やラテン音楽のスタンダードである「キエン・セラ」に、北原自身が書いた「本来の歌の内容とはまったく関係のない」日本語歌詞を乗せたナンバーを中心に収録したアルバムです。彼女自身の出自も含めて考えると、これをB級盤と呼ぶことに意義を唱える人はおそらくいないでしょう。しかしそんな明らかなB級色に満ちた作品でありながら、曲自体のアレンジや演奏、それから北原の自作詞やヴォーカル・ワークに至るまで悉くレベルが高いのだから不思議なもの。例の「ひらめきラブ」で人気の井田リエ辺りが好きな人は確実にハマると思います。ただ個人的に推したいのはこれら一連のカバー作品ではなく、唐突に収録された感のあるB-1のJust Feeling。タイトルが違うので聴かなければ分からないと思いますが、以前ここでも紹介したNoriki(野力奏一)によるYou Need Meという曲のカバーです。オリジナルでは国分友里恵が全英語詞で歌っていましたが、こちらは例によって日本語歌詞。ただしアレンジとキーボードは野力氏自身が務めているためクォリティはかなり高く、単にシティポップ~和製AORとして考えるならば完成度はむしろこちらのほうが上。ライナーにも書いてありますが完全に「セイ子ちゃん(=松田聖子)の世界」です。なお本作、意外にもCD化どころかitunesで配信までされている模様。興味のある方は是非聴いてみてください。
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センチメンタル・ニューヨーク / Cools Rockabilly Club

2014-01-05 | Japanese AOR
古くは舘ひろしと岩城滉一の出会いから始まった国産ロックンロール・バンドがこのクールス。時代に応じメンバーを少しずつ変え、現在まで30年以上にわたり活動を続けている彼らですが、本作はそんな彼らの第二期、いわゆるクールス・ロカビリークラブ時代のシングル盤です。クレジットこそありませんが、ちょうど同じ時期にリリースされたアルバム「New York City N.Y」と並び、プロデュースに山下達郎を迎えた作品として知られており、現在ではそちら方面からも人気が高い一枚。と言うよりも、今わざわざこのシングル盤を購入する人のほとんどは熱心な達郎ファンだと思われます。それもそのはず、本作のタイトル曲はアルバム収録からは漏れたものの「New York City N.Y.」収録のどの曲よりも達郎色が強く、ヴォーカルだけ差し替えれば違和感なく達郎本人の曲として通用するナンバー。岡本一生のMoonlight Singing収録曲「ムーン・マジック」と同様にLet's Dance Babyを彷彿とさせるライトメロウなミディアムアップで、まるで夜空に羽ばたいていくような都会的なアレンジが最高の一曲です。いずれも1977~78年に製作された楽曲なので、ちょうど達郎氏のなかで当時このようなアレンジの楽曲がブームだっただけなのでしょうが、現代のリスナー観点からすると間奏のサックス含め正に理想的な展開。過去にはライトメロウのコンピに収録されたこともあり、先日出た例の本にも追加掲載されていましたが、それにも納得の素晴らしい一曲です。クールス自身には興味がない人が聴いても決して損はないナンバーかと。ちなみに取り上げられることは少ないですが、カップリングの「風がかわる前に」もコーラスとオールドタイミーなアレンジがクセになるナンバーでなかなかに良い感じです。なお肝心のクールス・ロカビリークラブは、本作を最後にヴォーカリストの一人であるピッピこと水口晴幸が脱退。その後しばらくして現クレイジーケンバンドの横山剣を迎えクールスR.Cとして再始動し、名曲シンデレラ・リバティを生み出すことになるのですがそれはまた別の話。このあたりの経緯については横山剣さんの自伝にも詳しく書かれているので、気になる方は読んでみると良いと思います。
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Lemuria / Same

2014-01-02 | Hawaii
皆様、あけましておめでとうございます。新年の一枚目はこのレコード。カラパナのカーク・トンプソン絡みの作品として界隈では有名な、ハワイアン・メロウ・グルーヴの大名盤ですね。実はかなり昔に紹介しているので、ここで取り上げるのは2回目だったりするのですが、当時はまだ知識もなくレビューが今一つだったので、改めて掲載させて頂きます。さて本作、オリジナルのリリースは1978年ですが本国で1995年にCD化された後、翌年にはLPも発売。これがレアグルーヴやフリーソウルの流れで再評価され、2001年にはDreamsville Recordsから国内盤でもCD/LP双方でリイシュー、さらに2012年にはP-Vineから二度目の国内盤が発売されることになるわけですが、実はこれら一連の再発盤とHeaven Recordsからリリースされたオリジナル盤では、各曲のテイクが微妙に異なるのをご存知でしょうか。もちろん収録曲自体はまったく同じものなので、ほとんどの人にとってはどうでも良い話だと思いますが、いざ二つを聴き比べてみると細部に明らかな差異が認められるため、気になる人はオリジナル盤を聴いてみると良いかもしれません。特にA-4のMister Uなどオリジナル盤はリイシューに比べ収録時間が1分以上長いので、聴きこんでいる人は一発で分かると思います。ちなみに内容に関しては今さら言うことなし。個人的にはBabaduも歌っていたA-2のAll I've Got To Giveと、夕暮れ時を感じる絶品メロウ・グルーヴのB-4、The Making Of Youが昔から好みですが、それ以外の曲にも捨て曲は一切なく、きれいなピアノのイントロで始まるA-1のHunk Of Heavenから唯一の男性Vo.曲であるラストB-5のThe Lady And The Dudeまで、全曲がハワイアン・メロウ・グルーヴの超一級ナンバーです。このあたりの音楽が好きな人で知らない人はいないと思いますが、もしもまだ聴いたことがないという方がいればすぐに聴いてみてください。ブログ復活以後ここで度々紹介してきたコンテンポラリー・ハワイアン作品の入り口としてもお勧めの一枚です。
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