At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

He Will Always Be / Promise

2015-05-31 | CCM
カリフォルニアの白人4人組による1978年の一枚。Promiseというバンド名からも何となく察しがつく通りCCM作品です。牧歌的なジャケットからはちょっと想像が付きにくいですが、サウンド的にはわりと洗練されており、自主制作盤ながら同時代のメジャー系CCM作品と比べても遜色のない内容。目を見張るようなキラー曲は収録されていないものの、この程よいイナタさとメロウな質感は好きな人にとってはたまらないことでしょう。収録曲が全てオリジナル作品ばかりで占められているのも高得点。メンバー4人中の3人がそれぞれ自作曲を持ち寄っており、メインヴォーカルも曲ごとに持ち回り制となっています。AORファンから受けがよさそうなのは冒頭A-1のTake Time。キーボードを務めるRon Sawyers(ロン・ソーヤーズ)による作品です。いかにもキーボーディスト作らしい揺れるエレピと煌めくシンセ・ストリングスが印象的。歌メロ自体も往年のサバービア・ファン好みの高揚感に満ちたものとなっているので、その手のサウンドが好きな方ならまず間違いなくやられるはずだと思います。またベースのBill Lund(ビル・ランド)が手掛けたA-5のWait Upon The LordとB-1のHere And Goneは、どこかロード・ムービーを思わせる牧歌的なサウンドに柔らかくジェントルな歌声が乗るミディアム・ナンバー。昔フリーソウル・シーンで人気があったSpacearkの1stあたりに近い質感のPre-AORとなっています。CCMの自主盤という特性上、おそらく通常の流通には全く乗らず、現存するLPは彼ら自身が手売りで捌いたもののみと思われますが、その完成度の高さゆえ、このまま眠らせてしまうのは惜しい一枚。もしもどこかで見かけた際にはぜひ針を落としてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

It's Good To Be Alive / Michael Saxell

2015-05-23 | AOR~BES
コアなAORリスナーの間では比較的有名かと思われる一枚。スウェーデン生まれのシンガー・ソングライター、Michael Saxell(マイケル・サクセル)による1981年のアルバムです。巷ではよくスウェディッシュAORの名作と紹介されており、実際リリースもPolygram Records ABというスウェーデンのポリグラム系列会社からなのですが、録音そのものは彼が当時在住していたカナダのバンクーバーで行われており、歌詞も全英語詞なので正直スウェーデンらしさは皆無。内容自体は普通に80年代初頭の白人ローカルAOR~SSWです。一応メジャー・レーベルからの作品ではありますが、質感としては当時のインディペンデントな作品群に近いため、その手のマイナーAOR好きにとってはそれなりに楽しめる内容かと。おすすめはA面冒頭の4曲。中でもA-2のSeriouslyとA-3のLove Is A Shortcutはマニアックなファンならば一聴して心惹かれることでしょう。曲全体から滲み出た優しく柔らかい雰囲気はどことなくCCMにも通じるものがあり、どちらも中盤に挟まれるサックスのソロが絶品です。なんと言うかスティービー・ワンダーのYou Are The Sunshine Of My Lifeを白人風にした雰囲気というのが僕の第一印象。ダンサンブルな作風ではなく、ブラックミュージック色も薄いためクラブプレイには不向きだと思いますが、良く晴れた休日の午後に部屋聴きするには良い感じです。わざわざ血眼になって探すような作品だとは思いませんが、もしもどこかで見かけたら試聴してみると良いかもしれません。メジャーからのリリースなのでレア度は比較的低め。一昔前ならともかく、これだけグローバル化が進んだ昨今なら、おそらくそれほど苦労せずに手に入れることが可能かと思います。今のところ未CD化のようなので、気になる方はオリジナルLPを探してみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Chasin' The "Future Jazz" Gone By / Jazzanova

2015-05-16 | Compilation
少し久しぶりにMixcloudへ音源をアップしたのでご紹介。興味のない方もいるかもしれませんが、90年代後半にフューチャー・ジャズの旗手として一世を風靡したJazzanovaのマイベストです。実は作ったのがもう7年くらい前で、当時まだ2ndアルバムがリリースされていなかったため、収録曲は1stアルバムやシングル曲が中心ですが、これはこれで統一感があってなかなかに良い感じ。とりあえずいつものように以下収録曲。

1. L.O.V.E. and You & I (DJ Ghe Remix)
2. Let Your Heart Be Free
3. Fedime's Flight (Kyoto Jazz Massive Rework)
4. Atabaque
5. Another New Day
6. Theme From ''Belle et Fou'' - Bows
7. The One-Tet (DJ DSL Remix)
8. Le Jardin Secret
9. Hanazono
10. Caravelle
11. Mwela, Mwela (Here I Am)
12. Introspection
13. The Siren's Call feat. Chief

実はこれから同じように90年代のクラブ系アーティストに焦点を絞ったマイベストを作る構想がいくつかあるため、それらのフラッグシップ的意味合いを込めて、自分の中では古い作品ながら今回アップさせて頂きました。ちょうどこれを作っていた頃から、リスニングに重点を置いたコンピ作りを意識し始めたので、たぶん今聞いても問題なく楽しめるはず。当時同じように彼らに夢中になった人もそうでない人も、良かったら聴いてみてください。

Chasin' The "Future Jazz" Gone By
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Intuition / Pauline Wilson

2015-05-15 | Hawaii
元シーウィンドのヴォーカリストであるPauline Wilson(ポーリン・ウィルソン)が、西海岸を中心に活動する日本人コンポーザー横倉裕をプロデューサーに迎え1992年に発表した一枚。作品のリリース時期がちょうど90年代初頭にあったAORリバイバル・ブームと重なるので、その頃からのAORファンならばリアルタイムで聴いていたという方も多いことでしょう。後に数年遅れでアメリカ本国でも発売されることになりますが、どうやら元々はポニーキャニオンから日本オンリーでリリースされていたようです。内容的にはこの時期らしいスムース・ジャズ。ミディアム~バラードの楽曲が中心となっており、音の質感も全体的に硬めなので、レアグルーヴ以降のリスナーからすると苦手な類の作風かもしれませんが、なんと言っても彼女の場合、天から授かったその素晴らしい歌声があるので、アレンジ云々は関係なくその声だけで聴かせてしまうものがあります。ソウルフルでいてアーバン、かつどこか儚げな女性らしさを感じる歌声は、恐らくレアグルーヴ世代でも嫌いな人はいないはず。冒頭M-1のWalking My Way To Youから始まりラストに至るまで余すことなく彼女のヴォーカルを堪能することが出来ますが、中でもレアグルーヴ好きと親和性が高そうなのはM-8のBack Again, Back In Love。フリーソウルの頃のオルガンバー・スイートに入っていても違和感なさそうなライトメロウ系のミディアムナンバーです。まるでデュエットでもしているかのようにポーリンのヴォーカルと寄り添い絡みつくアルトサックスが素晴らしく、前後の曲をうまく考えれば恐らくDJプレイの中に組み込むことも可能かと。ポニーキャニオンから発売されていたこともあり、それほど苦労せずに手に入れることが出来ると思うので、良かったら探してみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Ooh Yea ! / BCU and The Towncriers

2015-05-09 | Hawaii
バークリー音楽大学出身の日系ギタリスト兼コンポーザー、BCUことBenny Collins Uyetake(ベニー・コリンズ・ウエタケ)が1992年にCDとカセットテープでリリースした一枚。名前に聞き覚えのある方は少ないと思いますが、以前こちらでも紹介したHeartfeltというグループでメインギターを務めている方ですね。ジャケットの配色がカナリア・カラーで、写っている本人もサッカーをやりそうなラフな格好をしているため、知らなければなかなか食指が伸びづらいですが、これが実はなかなかに充実したコンテンポラリー・サウンドだったりします。ウエタケ自身がヴォーカルを務めるのは冒頭M-1のタイトル曲と、同じく日系の女性シンガーLaureen Nakano(ロウリーン・ナカノ)とデュエットを奏でるM-5のWhen I Met Youのみで、その他の楽曲では外部ヴォーカリストを起用。Maurice Bega(モーリス・ベガ)が3曲、Jeff Rasmussen(ジェフ・ラスムッセン)とRon Kuala'au(ロン・クアラアウ)がそれぞれ2曲ずつ歌っており、これらシンガーの名前を聞いてピンと来る中級レベル以上のハワイ好きであればまず間違いなく楽しめる作品になっています。中でも特にAOR好きにおススメしたいのはモーリス・ベガが歌うM-6のLate Nights。軽快な8ビートにメロウなウワモノと甘い歌声が乗るブリージンなナンバーで、先日紹介したベガ自身のソロアルバム収録曲とは一味違う雰囲気が面白いです。ヘンリー・カポノのKona Windsをもう少しライトメロウ寄りにテンポアップさせたような曲調になっているので、おそらくあの曲が好きな人であれば気に入るはずかと。また、ロン・クアラアウが歌うM-9のAnother Chance On Loveも同様の雰囲気。その他にもメロウなナンバーが幾つかあるのですが、この2曲が収録されているだけで既に聴く価値が十二分にある一枚だと思います。ちなみにリリース元はお馴染みBluewaterから。相変わらず流通量が少ないため狙って探してもなかなか出てこない一枚ですが、どこかで発見した際には是非聴いてみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Mango Season / Mango

2015-05-06 | Hawaii
知っている人は知っているハワイの男性デュオ、Mango(マンゴー)による1984年のアルバム。メンバーはKenneth Makuakane(ケネス・マクアカネ)とCarl Villaverde(カール・ヴィラヴェルデ)の2人で、共にヴォーカル以外にもギターとウクレレ演奏を披露していますが、マクアカネの方は更にプロデューサーと全曲の作編曲まで務めており、どちらかと言うと彼のプロジェクトというイメージが強い作品です。ちなみにこのマクアカネ、一般層には知名度が低いですが実は現在に至るまでコンテンポラリー/トラディショナル問わず第一線で活躍しているハワイアン・ミュージック最重要人物の一人。そのため本作は、そんな彼のアーリー・ワークスという観点で鑑賞してみるのも面白かもしれません。全体的にいなたく湿度が高めな作風となっているため、洗練されたAORのみを好むリスナーには不向きですが、ある程度ローカライズされた作品にも耐性がある方なら問題なく楽しめるはず。以前ここでも紹介したトマ/ナットの1st辺りに似た質感の一枚です。コンテンポラリー・ハワイアン好きとしては、疾走するウクレレ&ビートに控えめなエレピとライトメロウなヴォーカルが乗るB-1のHonoluluや、落ち着いたサックスが夏の夕暮れを感じさせるB-5のSunny Daysあたりが聴きどころ。特に前者は近年リイシューされたCountry Livingやバート・バスコーンのファンにも訴えるものがあると思います。これからの季節、トロピカルなカクテルでも飲みながら聴くのにも最適。なおリリース元がTropic Express Recordsで規格番号がTER-1001なので、おそらく限りなく自主盤に近い一枚かと思いますが、昨今のコンテンポラリー・ハワイアン再評価に伴い最近では中古屋では時折見かけるので、気になる方は買えるうちに買っておいた方が正解かと。この夏、お勧めの一枚です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2 Hearts/ Maurice Bega

2015-05-04 | Hawaii
元マッキー・フェアリー&ナイトライフのメンバーにして、最近ではカラパナのサポート・メンバーも務めるシンガー・ソング・ライター、Maurice Bega(モーリス・ベガ)による1995年作品。掲載しているジャケットは2003年にCool Soundからリイシューされた際に差し替えられたもので、このリイシュー盤ならば中古屋で頻繁に遭遇するため、中級者以上のAORリスナーならば内容はともかくジャケに見覚えがある方もいることでしょう。打ち込みが全盛となった90年代に入ってからの作品であるため、フリーソウル以降のAORファンにはどうにも敬遠されがちな印象がありますが、内容自体はそれなりに充実しており聴き逃すのは損な一枚です。なんと言っても抜群に素晴らしいのはその歌声。マッキー・フェアリーに勝るとも劣らない甘いイケメン風ボイスはトロピカルな雰囲気満天で、聴いていて非常に心地よいものとなっています。特にアルバム中でも一際AOR度が高く開放的なM-2のTalk To The People辺りは、この辺りのコンテンポラリー・サウンドが好きならば一発でやられること間違いなし。どことなく後のブラジリアン・ハウスにも通じるM-6のShining Starや海辺の雰囲気が似合うM-9のHoldin' Me Tonightも良い雰囲気に仕上がっており、これからの季節にはぴったりだと思います。またリアルタイム派のAORリスナーにはM-1のタイトル曲がおススメ。同じハワイ系ならばMike Lundy(マイク・ランディー)辺りに通じる、クールでソウルフルなナンバーです。オリジナル盤は流通量が圧倒的に少ないためそれなりにレアですが、最初に書いたように国内盤でリイシューが出ているため音源自体の入手はかなり容易。アルバム全体としても90'sコンテンポラリー・ハワイアンのお手本のような雰囲気に仕上がっているため、この辺りの作品の入門編としてもいいかもしれません。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

More And More/ The Krush

2015-05-01 | Hawaii
もう1枚続けてクラッシュの作品を。こちらはハル・ブラッドバリー脱退後、若干のメンバー変遷を経て80年代中期に発表された一枚です。正確な録音年次が記載されていませんが、収録曲目のカバー元から判断して1983年以降に製作されたのは明らか。従って82年にリリースされたNever Felt So Rightより後発の作品と言うことになり、彼らの作品としては通算4作目にあたるアルバムとなります。Never Felt~時代から既にそうでしたが、曲によっては打ち込みのものもあり、同時期に製作されたメインランドの作品群と似たような肌触りの作品と言って良いでしょう。ただ、そうした作風においてもコンテンポラリー・ハワイアン特有のメロウネスは幾ばくか散りばめられており、特にスロウ~ミディアム作品においてその傾向は顕著。例えばB-1に収録されたIn Way Over My Heartは、ブラコンAORの雄として知られるStevie Woods(スティービー・ウッズ)のカバーですが、原曲の持つシルキーな雰囲気は良い意味で薄く、ここではアイランド・メロウの佳曲として仕上げられています。同じくバラード調であるA-2のタイトル曲やミディアム・アップで聴かせるB-3のA Little Romanceあたりも似たような雰囲気となっており、AOR的な観点での聴きどころはこの辺りかと。なお本作と先日紹介した2ndの収録曲のうち何曲かは、後年リリースされたベスト盤CDにも収められていますが、実はどちらのアルバムも1991年に日本国内オンリーで単体CD化済み。かなり古い作品な上、リリース枚数自体も少なかったため、入手難易度はオリジナルのLPよりも遥かに上ですが、どこかで見かけたらチェックしてみると良いかもしれません。ちなみに本作もリリース元はBluewater。毎回書いていますが親会社のParadise同様、このレーベルの作品はコンテンポラリー・ハワイアン的には宝の山なので、見かけたら即買いが基本です。気になる人は是非探してみてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする