At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Kasuals / Same

2013-08-31 | Hawaii
7色のポロシャツが鮮やかな一枚。当時グアム~ミクロネシア~ハワイと太平洋一帯をまたにかけて活動していたバンド、カジュアルズによるアルバムです。録音年次の記載がないため詳細不明ですが、音から判断するとおそらく80年代前半に録音されたと思わしき作品で、どうやらミクロネシア航空とポロ・ラルフローレンが協賛により制作された模様。リリース自体はハワイのParadiseからとなっています。以前レコードコレクターズのコンテンポラリーハワイアン特集でも取り上げられていたため、ご存知の方もいるかと思いますが、内容的にはこの手の作品の中でも群を抜く極上のアイランドメロウAOR。ハル・ブラッドバリー脱退後のクラッシュやフェイズ7の2ndをもう少しメロウ寄りにシフトしたような作風となっており、アルバム全編通してリゾート感に満ちあふれた一枚となっています。冒頭A-1のMakin' Up Instead Of Breakin' UpからラストB-5のLove Me Like A Strangerまで、一曲を除き全てミディアム~スロウのライトメロウナンバーとなっており、その手のファンにとっては堪らない内容かと。中でもB-1のYou're My Favoriteは、テイストオブハニーのRescue Meを思わせる高揚感に満ちたイントロからカラパナ風のメロウグルーヴへと展開する絶品ナンバーで、フリーソウル好きならまず間違いなくツボに入ることでしょう。少し頼りな気な線の細いヴォーカルも雰囲気満天です。なお僕自身は実物を見たことがありませんが、どうやらマラニ・ビリューのソロやクラッシュとともに20年ほど前に徳間ジャパンから国内盤CDでもリリースされているとのこと。近年のParadiseレーベルのリイシューカタログからは残念ながら漏れているため入手難易度は高いでしょうが、一応CDもあるようなのでCD派の人はそちらを探してみてもいいかもしれません。アナログのレア度はハワイ産のLPの中ではミドルクラス。クラッシュやダニー・カウチほど頻繁に見かけるわけではありませんが、時折り中古市場にも流れてくるので根気良く探せば見つかるかと思います。とにかく内容的には間違いない一枚なので、メロウグルーヴ好きの方は是非。心からお勧めの一枚です。
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Crosswind / Same

2013-08-30 | AOR~BES
こちらも何年か前に発掘され話題になった1枚。オハイオで1978年に結成されたバンドの、おそらく唯一の作品となる1982年のアルバムです。なんでも結成当初は、リード・ヴォーカルのRon Boustead(ロン・ボーステッド)を除く4人組のフュージョンバンドだったようで、そこに彼らのファンでもあったロンが合流することで形作られたバンドとのこと。そんなこともあり、バンドの音としては全体的にフュージョン色が強めになっています。Bill Radin(ビル・レディン)のギターを大きくフィーチャーしたアルバム中唯一のインストとなるA-5のMidnight At Bentley'sや、高速ブラジリアン・フュージョンでジョン・ヘンドリックスをカバーしたA-3のI'll Bet You Thought I'd Never Find Youあたりがおそらく彼らの真骨頂。自主系AORの流れで発掘されたレコードなのでついAOR的な音を期待してしまいがちですが、元々どちらかというとこの手の音が得意なバンドなのだと思います。AOR~フリーソウル的な観点での注目曲は冒頭A-1のHello。ミディアムテンポの爽快なポップスで、気持ちよく伸びるロンの歌声と軽やかな演奏が気持ちいい佳作に仕上がっています。個人的に気に入っているのはB-2のHeaven。あまり他では聴いたことがないボサノバ系のワルツビートと中盤のエレピソロが非常にお洒落で、午後のリラックスタイムにぴったりな可愛らしいナンバーになっています。昔カフェアプレミディのコンピに選曲されていたタイプの曲が好きな人ならおそらくツボに入るはず。ちなみにこのブログをご覧の方は既にご存知かと思いますが、本作は数年前に韓国でCD化されており、そのタイミングでこっそりと解説付きの日本盤もリリースされていました。アナログは未だそれなりに高価なので、まだ聴いたことがないという方はCDでの購入を検討してみると良いでしょう。先日のパートタイムに引き続き、いわゆるAORな音ではありませんが、良い作品であることに違いはないので、この辺りの音楽が好きな方なら聴いてみる価値の作品かと思います。
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In Time / Parttime

2013-08-18 | AOR~BES
鍵盤奏者のPaul Biemans(ポール・ビーマンス)を中心としたオランダの11人組バンドによる1981年作。見た瞬間に名盤と感じる爽快なジャケット、そしてオランダ・ローカルプレスという希少性から近年その筋では人気の高いアルバムです。便宜上AOR~BESにカテゴライズしたものの、実際のサウンドとしてはもう少しジャズ寄り。この年代のヨーロッパ産作品に良くある、ジャズとソフトロックの要素が混在したポップスと言った趣のアルバムです。先日神戸のディスク・デシネからリイシューCDがリリースされ一部で話題となりましたが、よくよく聴いてみるといかにもデシネ好みな音作り。軽いボサノバで始まる冒頭A-1のSimply、ラウンジーで寛いだピアノが印象的なA-2のTonight、そしてHelpのカバーで知られるロニー・デューン・カルテットみたいなA-4のA Paris Stripteaseなど、いずれもアメリカ産ではありえない類の音なので、そうしたヨーロッパ特有の洗練されたポップスが聴きたいという方にはぴったりなアルバムでしょう。個人的にはジェントルなボサノバで歌われるB-1のIt Hurtsと、若干フリーソウルを感じるB-2のOnly Good Friendsがお気に入りです。どの曲においても言えることですがポイントはやはりビーマンス自身が弾くピアノ。どうやら曲によってエレピと生ピアノを使い分けているようですが、どちらも主張し過ぎることないソフトなタッチで、上手くメインに華を添えることに成功しています。もしもこの手のヨーロッパ系ポップスが巷で持て囃されたカフェ・ブームの頃に発掘されていたら、たちまち大人気盤になっていたことでしょう。マリンフレーバーという煽り文句に、いわゆる米西海岸やコンテンポラリー・ハワイアンのようなサウンドを期待すると若干裏切られますが、これはこれで悪くないので気になる方は今回のリイシューを機に聴いてみても良いかもしれません。ちなみにオリジナルはなかなかに高額。いわゆる最近主流の音とはやや趣を異とする作品なので、購入前にはまずリイシュー盤で内容を確かめることをお勧めします。
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John Brennan / Same

2013-08-18 | AOR~BES
何年か前に発掘され、マニアの間ではわりと知られるようになったLP。カナダはノバスコシア州ノースシドニー生まれの男性シンガーソングライター、John W. Brennan(ジョン・ブレナン)による1982年のデビューアルバムです。リリース元がCBC(カナダ放送協会)の運営する国際放送局のRCI(ラジオ・カナダ・インターナショナル)なので、一部でライブラリー作品と言われることもありますが詳細は不明。ただジャケットも表裏きっちり作りこまれており、しっかりとクレジットも載っていることから考えると、おそらく非売品ではなく正規に発売された作品ではないかと思われます。録音はノバスコシアのダートマスとモントリオールで行われたようで、カナダ産らしくライナーについても英仏2ヶ国語で書かれていますが、楽曲については全て英語詞。普段US産音楽に慣れ親しんでいる人でも違和感なく聴けることでしょう。もっとも僕としてはフランス語で歌われたほうが面白みがあって良いかなと思いますが。。。マッキー・フェアリー系の甘く色気のあるヴォーカルが特徴的な人で、A-1のSo ExcitingやA-3のThree Times We Tested Loveなどはライトメロウな佳曲。際立った派手さはないものの、この手のマイナー系AORが好きな人ならおそらく気に入ることと思います。個人的に好きなのはB-3のVera Cruz Ladies。軽くボサノバのリズムが入ったどことなくリゾートを感じさせるナンバーで、先日ここでも紹介したマイケル・J・バーセルマーあたりに近い質感となっているので、そうした雰囲気が好きな方ならお勧めです。なお、今のところ割と頻繁に日本に入ってきているようで、それほどのレアリティーは感じませんが、市場から一度はけてしまったらもう出てこないというのがこの手のマイナー系レコードの常。気になる方は普通に手に入るうちに買っておいた方が良いでしょう。ちなみにカナダの角松ことDwight Druick(ドワイト・ドルイック)がコーラスとして参加。楽曲の雰囲気と録音されたロケーションから考えれば納得の人選ですね。
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Love Will Keep Us Together / James Taylor Quartet

2013-08-17 | Acid Jazz~UK Soul
アシッドジャズブーム末期の1995年にリリースされた傑作。同年にリリースされたアルバムIn The Hand Of The Inevitableからカットされたシングル盤です。アシッドジャズ黎明期からインストゥルメンタル曲中心に活動している彼らですが、おそらく一般ウケが最も良い曲がこれ。前年にリリースされたEPのリード曲Stepping Into My Life(これも同系列の名曲)に引き続き、メインヴォーカルにAlison Limerickを迎えた高揚感溢れるミディアム・アップの90'sフリーソウル・ナンバーです。僕自身がこの曲に出会ったのは、まだアシッドジャズに関してほとんど知識がなかった10年ほど前。まだ全盛期だった渋谷のDance Music Recordで、ピクチャースリーブ付きのリイシュー盤が入荷されているのを偶然発見し、なんとなく気になって試聴してみたのがきっかけです。当時ちょうどオルガンバー経由でフリーソウル系の作品を色々と勉強中だった僕にとって、試聴機のヘッドフォンから流れてきたのは求めていた音そのもの。軽快でグルーヴィーなリズムとソウルフルなこみ上げ系女性ヴォーカルが大好物だったこともあり、90年代の曲でもここまで理想的なフリーソウルがあるのだということを知り、ひどく衝撃を受けたことをよく覚えています。この曲と出会ったことがきっかけとなり、自分の中でそれまで無視していたアシッドジャズ株が急上昇。インコグニートやブラン・ニュー・ヘビーズ、そしてジャミロクワイなどのCDをブックオフで大量に購入することになるのでした…。何だか盤自体のレビューというより思い出話みたいになってしまいましたが、自分の中ではそれだけ思い入れのある一枚です。ちなみにこのシングル盤にはAn Green Radio Mixと名付けられた別ミックスが収録。アルバム・ヴァージョンよりタイトにまとまっており出来が良いので、気になるという方はこちらのシングル盤購入をお勧めします。12インチでもMaxi CDでも比較的簡単に手に入るはずなので、この辺りのジャンルに馴染みがない方は是非探してみてください。いわゆるフリーソウル系列のブルーアイドソウルが好きな方なら、ハマること間違いなしかと思います。
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The Present / The Max

2013-08-15 | Acid Jazz~UK Soul
一般的には知名度が低いと思われるアシッドジャズの隠れ名盤。ガリアーノへの参加などでも知られるErnie McKone(アーニー・マコーン)とマルチプレーヤー兼コンポーザーであるMichael J McEvoy(マイケル・マケヴォイ)の2人によるユニット、The Maxによるおそらく唯一のアルバムです。フィーチャリング・ヴォーカリストにXavier Barnett(ザビエル・バルネット)を迎え、アーニー自身のレーベルBoogie Back Recordから92年にアナログオンリーでリリースしたM-6のタイトル曲を含む全11曲。おそらく当時CDのみでしかリリースされなかった作品と思われますが、手元にあるのはドイツ盤だったりするので、そもそもUKではリリースされていないのかもしれません。調べてみたのですが情報が少なく、色々な意味で良くわからない一枚です。ただ内容的には紛れもなく極上。基本的にはブラン・ニュー・ヘビーズ路線の生音ジャズファンク系アシッドジャズですが、もう少し落ち着いた雰囲気の作品となっており、既にクラブを卒業した大人でも鑑賞に耐えうる名盤に仕上がっています。同じような類の作品としては、元ジャミロクワイの2人が結成したSamuel Purdey(サミュエル・パーディー)のアルバムが何年か前に再発され、AOR界隈でも微妙に話題になりましたが、本作の方が録音年次が古いこともありもう少しストレートにアシッドジャズ。件のタイトル曲を始め、M-1のTime For ChangeやM-2のThat's The Way It Isなど、クラブ上がりの30代が聴いてグッと来るナンバーがギッシリ詰まっているので、そうした方には非常にお勧めな一枚です。ちなみに本作、オリジナルのCDはレアでなかなかに入手困難ですが、数年前にRezzonator Musicなるレーベルからダウンロード販売が開始されており、媒体にさえ拘らなければ現在ではitunes storeでも気軽に購入可能。試聴についてもお手軽に出来るので、興味の湧いた方は是非チェックしてみてください。AORファンでも案外違和感なく受け入れられる作品だと思います。
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Don't Let It Go To Your Head / The Brand New Heavies

2013-08-15 | Acid Jazz~UK Soul
しばらくアシッドジャズ関連の紹介が続きます。本作は彼らの作品の中では注目されることが少ない1992年の4曲入りシングル。ブラン・ニュー・ヘビーズと言えばクラブヒットしたNever Stopや初期の傑作Dream Come True、それからブーム終焉後の楽曲ながらそのクォリティの高さで話題をさらったYou Are The Universeあたりが人気かつ定番曲ですが、ここに収録されたA-1のタイトル曲はそれらに負けず劣らずのクォリティを誇る傑作90'sフリーソウルで、実は以前からお気に入りのナンバーです。オリジナルはJean Carn(ジーン・カーン)が1978年にリリースしたミディアムテンポのフィリーソウルで、クラブ界隈ではBlack Harmonyらによるラヴァーズ・ロック・カバーでも知られる一曲ですが、ここではそれを絶妙なアシッド・ジャズ・マナーでカバー。元曲より格段にグルーヴィーになったオケとN'Dea Davenport(エンディア・ ダヴェンポート)のソウルフルなヴォーカルが心地良い素敵な一曲に仕上げています。何年か前にアシッドジャズ系の曲ばかりを集めたコンピを作ったことがありますが、その中に彼らの曲で唯一収録したのがコレ。個人的にNever Stopには正直あまり魅力を感じないのですが、この曲については今の耳で聴いても全然通用すると思っています。なおCDでは1992年にインターナショナル盤としてリリースされたThe Brand New Heaviesのみに収録。このアルバムは90年にUKでリリースされたオリジナル盤、翌年にアメリカでリリースされた北米盤、そしてこのインターナショナル盤と同一タイトルながらヴォーカリスト含めそれぞれ内容が微妙に違いややこしいですが、個人的にはこのDon't Let~が収録されたインターナショナル盤がお勧めです。ちなみにタイトル曲の完成度が高過ぎて他の曲に触れられませんでしたが、A-2のKeep It ComingはK-Collective(彼らの別働隊ユニット)名義でリリースした楽曲の再演でこちらもなかなかにグッド。いずれにしろレアな作品ではないので、中古屋で見つけた際には是非試聴してみてください。お勧めの1枚です。
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Tribes, Vibes And Scribes / Incognito

2013-08-13 | Acid Jazz~UK Soul
しばらくハワイものが続いたので今夜は少し趣向を変えて、こんな定番アルバムを紹介。ブラン・ニュー・ヘヴィーズやジャミロクワイ、そしてレーベルメイトでもあるガリアーノらと共に、90年代初頭に一世を風靡したインコグニートの1992年作です。アシッド・ジャズと一口に言っても、コーデュロイのようなモッド系からガリアーノのようなポエトリー・リーディングまで色々なスタイルの音楽がありますが、メロウサイドの代表作と言えば本作を置いて他にないでしょう。70年代のソウル・ミュージックを、レアグルーヴ以降の価値観で極限まで洗練させた文句なしの名盤です。特にアナログで言うところのA面に当たる5曲の完成度が異常なまでにハイクォリティ。当時のクラブ界隈でスマッシュヒットしたこともあり、スティービー・ワンダーをカバーしたA-4のDon't You Worry 'Bout A Thingばかりが取り上げられがちですが、ニューソウル風味なA-2のChangeや、いかにもアシッドジャズと言った趣の畝ねるベースがクセになるA-1のColibriなど、実は非常に聴きどころが多く、今の耳でも充分鑑賞に耐えうる仕上がりとなっています。中でも個人的なフェイバリットはA-5のMagnetic Ocean。元々アシッドジャズ以前からフュージョンバンドとして活動していた彼らの面目躍如とでも言うべきメロウなインストゥルメンタルで、真夜中の東京ドライブによく似合うたまらなくアーべインな一曲です。一般的な知名度という意味では、彼らの代表曲であるStill A Friend Of Mineが収録された次作Positivityの方に軍配が上がりますが、ことアーバンメロウ度という点においては本作の方が幾分上。もしかすると最近の若いリスナーだと世代的にこの辺りの作品はスルーしているかもしれませんが、普段ここで紹介しているような曲が好みなのだとしたら知らないのは確実に損です。CDならブックオフやアマゾンでいくらでも叩き売りされていますし、アナログで買ってもせいぜい1000~2000円。レアで高額な作品を否定するわけでは決してありませんが、時にはこうした定番作品を改めて聴き直してみるのもまた新鮮で面白いものなので、興味がわいた人はこれを機に是非聴いてみてください。文句なしのお勧め盤です。
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Local Eezzz / Kevin Mau

2013-08-11 | Hawaii
昨日紹介したケヴィンが1998年にリリースした2ndアルバム。前作のジャケットと比べ服装や抱える楽器ががらっと変わり、随分と軽く明るい雰囲気になっていることからも分かるように、全体的にサラッとした印象のラウンジーな作品になっています。コンテンポラリー・ハワイアンに期待されるアーバンメロウなAOR色は希薄なため、そういった類の音楽のみを求めている人には不向き。ただし軽く聞き流せるBGMとしての出来はそう悪くなく、手軽に南国リゾート感を味わいたいときには何かと重宝しています。連日うだるような暑さが続いていますが、こういう季節を涼しく過ごすには打って付け。軽やかな冒頭M-1のStraight From Hawaii To Youを聴いた瞬間、部屋に爽やかなハワイの風が吹き込みます。初期のサバービア・スイート掲載作品を思わせるソフィスティケイトされたラテン感覚が好印象。特にインストのみで演奏されるM-4のタイトル曲あたりは、そのままカフェ・アプレミディのコンピに収録されていても違和感がないです。前作からの流れを汲んでおり、アレンジや歌唱法にマッキー・フェアリーの影がちらほら見え隠れするのはM-7のBaby Don't You Like ThatとM-8のMalia。どちらも派手さはないものの、ローカルなコンテンポラリー・ハワイアンと言った趣で個人的には気に入っています。そして本作最大のフック曲がM-9のTogether。スタイル・カウンシルのHave You Ever Had It Blueに通じるお洒落系フェイクボサで、小気味良いヴォーカルと洗練されたオケが心地良いリゾート感たっぷりな一曲に仕上がっています。これはサバービア好きならきっと惹かれるはず。全体的にどの曲も変にベタついていないので、カフェなんかで昼間に流すBGMとしては最適な一枚かと思います。例によって1st同様レアなので万人には勧め難い作品ですが、興味のある方はジャケットを記憶のどこかに止めておいても損はないアルバム。どこかで見つけたら聴いてみてください。
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Maybe / Kevin Mau

2013-08-10 | Hawaii
以前ここで取り上げたNalu同様、一部マニアから支持を受ける90'sコンテンポラリー・ハワイアンのレア盤。知られざるチャイニーズ・ハワイアン・シンガーソングライター、ケヴィン・マウ氏による1stアルバムです。ジャケットはこんな風ですが内容的にはソフト&メロウ。マッキー・フェアリー似の甘い歌声で心地良いハワイの風を運んでくれます。特にマニアの間でよく話題となる冒頭M-1のThe Love She Gives To Meが抜群。ゆったりとしたミディアム・テンポのボサリズムに乗せた、いかにもハワイといった趣のAORサウンドとなっており、巷で人気が高いのも頷けます。その他の収録曲については触れられることが少ないですが、同じくボサノバ調で聴かせるM-4のSunlight、アイランドメロウ感たっぷりなM-7のタイトル曲、そしてロッカバラード調のAORなM-9のGoodnight My Love辺りは地味ながらなかなかに完成度が高く、この手のマイナー系AORサウンドを求める人ならまず満足頂けると思います。やはりハワイ産ということで90年代の作品ながら、米本国のAORとは異なり、それほど大仰な音作りになっていないところが個人的には好感度高め。今日みたいな休日の朝には、この軽い感じが非常にしっくりと来てつい何度もリピートして聴きたくなります。ただ本作唯一の難点はその突出したレアリティー。元々プレス数が少なく市場に出回りにくいこの手のハワイ・ローカル盤の中でも、際立って入手が難しい一枚です。個人的な感覚ではNaluの諸作品以上にレアかと。内容的には間違いのない一枚なので、以前Kool Elevationをリリースした実績のあるVivid Soundあたりからリイシューして貰えないものかと密かに考えているのですが、あまりにマイナーすぎて正直ほとんど売れそうにもないので、やはりなかなかに難しいものなのでしょうか。もしもどこかで見かけたら必ずゲットした方が良い作品のうちの一つです。
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