At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Tina / Tina Santiago

2014-08-09 | Hawaii
7upを模したジャケで知られるフェイズ7の1stやMuro氏のミックス収録曲が入ったアル・ノブリガの2ndと同じ、ホノルルのBroad Recordsから1980年にリリースされたLP。ジャケットの雰囲気からすると何となくトラディショナルをやりそうですが、実際の内容は意外にも良質なコンテンポラリー・ハワイアン・ポップスです。波と風と雷のSEから始まるA-1のBeyond The Reefはアップテンポなハワイアン・ディスコ。4つ打ち一歩手前の高速ディスコ・ビートに乗るポリリズムとストリングス、そしてソウルフルなヴォーカルが気持ちいいナンバーです。レアグルーヴ経由のマイナーディスコが好きな人はおそらく気に入ることでしょう。そしてこのハワイアン・ディスコ路線をもう少しライトかつフリーソウル寄りにしたのが、B-3に収録されたI'm Going To Be Alright。以前ここでも紹介したAudrey Meyers(オードリー・メイヤーズ)やJohn Rowles(ジョン・ロウルズ)にも通じるライトメロウでポップなナンバーなので、同じディスコ音楽愛好家でもR35なサバービアOBリスナーにはこちらがお勧め。ドリーミーなこみ上げメロディーとシャープなホーンが最高です。中盤に入るエレキギターとトロンボーンによるインスト・パートも素晴らしく聴き応え充分。おまけにトロンボーンを吹いているのはお馴染みIra Nepus(アイラ・ネプス)です。また個人的にイチオシなのはB-1のThe Sun。朝の日差しを感じるエキゾチックなミディアムアップで、ノヘラニ・シプリアーノあたりとかなり近い雰囲気のナンバーに仕上がっています。ちなみにほとんど全曲を手掛けているのはプロデューサーでもあり、おそらくレーベルのボスと思われるGordon Broad。今回は紹介しませんでしたが、アルバムにはバラード曲も収録されており、なかなかにバラエティに富んだ楽曲製作を行う人物のようですね。いずれにしろ冴えないジャケットのわりに、聴きどころが多数ある作品であることは確か。これからの季節のBGMとしてもぴったりな一枚かと思います。
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Barry Kim / Same

2014-08-03 | Hawaii
ハワイの男性ポップスシンガーによる2ndアルバム。Bee Bee Recordsなる聞いたことないレーベルからリリースされていますが、規格番号をみる限りおそらく自主製作盤かと思われます。正直これだけだと食指が動かないのですが、裏ジャケを見るとProduced by Brian Robertshawの文字。ピンとこない方も多いと思いますが、実はこの人、マッキー・フェアリー・バンドの傑作1stでホーン&ストリングスのアレンジとレコーディング・エンジニアを務めた人物で、その彼が本作ではプロデュース~アレンジ~エンジニアを務めた上、全編にわたりキーボード演奏まで披露しています。おまけにスペシャル・サンクスには、ブルース・ハマダやマイケル・パウロなどお馴染みの名前がちらほらと。これは多分当たりだろうと試聴してみたら、想像通り当たりの一枚でした。この手のポピュラー系ボーカル作品の様式美に則り、基本は選曲・アレンジとも甘い雰囲気のナンバーで占められていますが、そうした中に都会的なアレンジのアイランド・メロウ作品が数曲収録されており、AORファンにもアピール出来る内容となっています。中でも聴きどころは冒頭A-1を飾るParadise。ロックンロール・スターからプロデューサーに転身したことで知られる故Teddy Randazzo(テディ・ランダッツォ)のペンによる作品で、Melinda Caroll(メリンダ・キャロル)なる女性シンガーをパートナーに迎えアーバンメロウな雰囲気の曲をやっています。同じハワイ系だとHeartfeltあたりが好きな人はおそらく気に入るはず。そしてもう1曲見逃せないのがB-3のAll I Ever Need。オリジナルはジョニー・マティスの渋いボーカル・ナンバーですが、ここではそれをエリック・タッグあたりに通じる跳ねたアレンジのAORでプレイしており、フリーソウルファンならやられること間違いなしです。ちなみに製作年は不明ですが、音の雰囲気から察するにおそらく80年代中盤。それなりに珍しい作品と思いますが、興味のある方は探してみてください。
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Service To The King / Tropical Knights

2014-08-02 | Hawaii
先日より紹介しているTropical Knightsの3作目。盤やジャケットには記載がないため正確な製作時期は不明ですが、AmazonやDiscogあたりのサイトを見る限り、どうやら95年に発売されたようです。ちなみにリリース元は前作と同じくKDE Records。前作までとはメンバーが一人入れ替わっているものの全体の雰囲気は変わらず、アイランドコンテンポラリー~ジャワイアン~トラディショナルと幅広い音楽性を持つユニークな一枚となっています。ただ、時代の流れもあってか収録曲では比較的ジャワイアン系のナンバーが多め。そのためコンテンポラリー・ハワイアンにカラパナ・ライクなAORのみを求めるようなファンにとっては、やや厳しい作品かもしれません。いちおうM-2のTearsが辛うじて…と言ったところですが、その他にAORっぽい曲はないので、そうした雰囲気を期待して買われる方は要注意です。もっとも、もう少し視点を広げてみると、レゲェの要素を持つナンバーの中にも興味深い曲はあるので、ジャンル横断型リスナーは単にAORではないからと切り捨てるのは早計。特にM-8のDaddy's Little Girlは、アップテンポな裏打ちリズムと郷愁を誘うオケが&歌メロが好対照な好曲に仕上がっています。またこちらはジャワイアンではありませんが、M-4のU 2 B Uもホーンを交えた80'sライクなアレンジが気持ちいい佳曲。ファンカラティーナ辺りが好きな方はきっと気に入ると思います。さてさて今回まで3回に渡り取り上げたTropical Knights。年代的にCDのリリースしかないため、いまいち大々的に取り上げられているところを見たことがありませんが、これまで書いてきたように、内容的には90'sコンテンポラリー・ハワイアンの中でもかなり高レベルです。地元コミュニティでのローカル・リリースという性質上、日本で普通に流通している類の作品ではありませんが、インターネット時代の今となっては気軽に海外から取り寄せることが可能なので、聴いたことがないという人はチェックしてみると面白いかもしれません。
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